ポケモンは、そもそも任天堂から出ている携帯ゲーム機「ゲームボーイ」のソフトである。1996年2月に『ポケットモンスター赤』『ポケットモンスター緑』が発売され、初回出荷数は2色合わせて計23万本。当時ゲームボーイ自体が落ち目だったこともあり、今日の人気を予測できた人は少ないだろう。しかし、ポケモン人気はだんだんと高まり、1996年7月に『青』バージョン、1998年7月に『ピカチュウ』バージョンが登場し、現在全バージョンの累計売上数は1千万を越えている。
これ程までのお化けソフトに成りえたのは、なぜだろうか?
ゲームの内容は、ごく普通のRPG(ロールプレイングゲーム:プレイヤーがゲームの主人公になり、物語を進行させていくゲーム)である。 ポケモンは、メモリの制約がある携帯ゲーム機のソフトということもあり、RPGとしては、ごく単純なつくりをしている。複雑な謎ときもないし、入り組んだ長いダンジョンなどもない。途中で出会うボスキャラ(親分格の敵)たちも、普通にレベルアップしていけば、難なく倒せる。携帯ゲームだから、もちろんドットの荒い画は美しくない。色だって、昨年10月にゲームボーイのカラーバージョンが出るまでは白黒だった。
このように書くと、ポケモンはとてもつまらないソフトのように思えるが、実は正反対である。ポケモンはRPGとして、そして携帯ゲーム機用のソフトとして、過不足なくシンプルな所が利点なのだ。携帯ゲーム機の長所は、気軽にどこでも遊べることである。例えメモリの問題がなくても、あまりに複雑なRPGはこれに反している。
だが、ポケモンの本当の凄さは、その非常に高い互換性だ。ゲームボーイには2体のゲーム機をつなぐ、通信ケーブルという周辺機器がある。これまでは、対戦用にのみ使われていたが、ポケモンでは「ポケモンの交換」に応用した。前述のポケモンソフト4本には、150種類のポケモンが登場する。しかし、それぞれのバージョンによって、ポケモンの出現率が異なる。ゆえに、ゲームの目的の一つ、「ポケモンずかんの完成」のためには、ソフト1本では不可能なのだ。また、通信ケーブルを使わないと進化しないポケモンもいる。
ポケモンは色が違っても、ストーリー自体は同じである(『ピカチュウ』バージョンのみ、アニメの要素が多少加わったが、基本は同一)。それにもかかわらず、ポケモン交換という特徴のために、ソフトを色違いで何本も持つ人は多い。しかも、新しい色が出ても、今までのポケモンを転送することが可能なため、ソフトが古くならない。今年の6月に、ポケモンの『金』『銀』(新しいストーリーで、ポケモンの数も増える)が発売予定だが、今までのソフトで育てたポケモンたちは、全て新バージョンへ移行可能だという。
ポケモンの互換性はソフト同士のみに留まっていない。任天堂64というテレビゲーム機用のソフトとして、「ポケモンスタジアム」(1998年8月発売)「ポケモンスタジアム2」(1999年4月発売)がある。ここのポケモンバトルで使うポケモンは、ゲームボーイのソフトで育てたポケモンが前提である。しかも、トーナメントに参加するには、レベルの規定がある。そのため、再びゲームボーイに戻り、ポケモンを捕まえて育てることが必要になってくる。「ポケモンスタジアム2」のトーナメントによっては、エントリーできるポケモンは進化前のものばかり。ゲーム中1匹しかゲットできないポケモンを進化させてしまった場合、 RPGをまた一から始めるということだって考えられる。
しばしばRPGには、ストーリーモードをクリアした後にならないと行けない場所があり、そこでさらに強い敵と対決する、というおまけがついている。ポケモンにもそういったおまけがついていて、そこで最強のポケモン、ミュウツーをゲットできる。「ずかんの完成」は、従来のRPGの観点からいえば、おまけ的要素にすぎない。しかし、ポケモンでは、おまけがその殻をつき破って、主役(RPG)と肩を並べるまで(あるいはそれ以上?)に成長してしまった。『金』『銀』には、ポケモンに性別がつき、繁殖もできるという。どこまで広がるのか、期待半面、恐ろしい気もする。