ポケットモンスター(以下ポケモン)は、現在ゲーム、アニメ、キャラクターグッズと、売れに売れている。元来ゲームソフトのキャラクターであるポケモンは、ゲームだけでも151種類、その中でも、断トツの人気を誇るポケモンの代名詞的存在が、ピカチュウだ。
ピカチュウはゲームが出た当時から人気はあったが、テレビアニメの主役に抜てきされたことによって、ポケモンを代表する存在に成長した。ポケモンのゲームやアニメを知らない人でも、ピカチュウの名前と姿が一致する人はたくさんいるだろう。
ピカチュウを語らずしてポケモンは語れず。ここでは、ポケモン人気を更に押し上げ、「ポケモン」という枠を越えたキャラクターとなったピカチュウについて考えてみたい。
ハローキティ、ドラえもんなど人気のあるキャラクターには、おおよその共通項がある。シンプルで丸みのあるライン。短い手足に大きな頭で、二〜三頭身など。ピカチュウにもそれが当てはまる。「丸くて単純」なだけなら、いくらでも簡単につくれそうだが、突出するキャラクターは顔立ち、体つきのバランスが絶妙にとれている。
ピカチュウの場合は、上目づかいの瞳、ちょこんとした鼻、谷ふたつの口が愛らしさをかもし出している。目は、少し離れめ(目約二個分)が望ましい。鼻の大きさ、形や、鼻と口の間隔なども重要であるが、最大の決め手は、目とほっぺの大きさである。目と鼻はほぼ同じ大きさがベストなのだ。(「ピカチュウ」はチワワ、シャム猫のように「ある種の総称」を指し、それぞれのピカチュウには個体差があるのであくまで目安である。)
ピカチュウの顔のバランスの良さは、ピカチュウの進化形、ライチュウと比べれば明らかである。ライチュウも上記の条件を満たしているが、どこか違う。
まず、ライチュウは、ピカチュウと比べて、目は小さすぎ、逆にほっぺは大きすぎである。鼻も大きくなり、しかもピカチュウ時代の逆三角形から、だ円に近い形になった。口は谷二つの形からゆるやかな波形へ。これらの変化によって、ピカチュウ時の愛らしさが減り、どこか間の抜けた顔つきになった。(ライチュウに魅力なしと言っている訳ではない。)
ピカチュウの見事なバランスは、配色にも表われている。黄色いボディにくっきり浮かぶ赤いホッペが愛らしさを増し、黒い耳の先端はアクセントとなっている。
ここでもう一度、申し訳ないがライチュウに登場してもらい、比較したい(筆者はライチュウが決してキライではない)。ライチュウは顔が山吹色で、ほっぺは黄色。顔とほっぺにあまり色差がないので、ぼんやりした印象だ。耳も黄色と茶色のコンビで、全体的にあまりパッとしない配色である。同系色とはいえ、原色のピカチュウと暖色のライチュウでは、見た目の華やかさが相当違う。やはり、ピカチュウは可愛い、という結論に到る。
ここまでピカチュウの外観的魅力について述べたが、ピカチュウの性質についても、少し触れたい。アニメ化にするにあたって、女の子のファンも獲得すべく、可愛い系のポケモンを主役にもってくることが決まり、ピカチュウの他に、ピッピ、プリンなどが候補にあがったということである。そして、ピカチュウという選択は全くもって正しかった。
かわいい系のポケモンは、はっきり言って弱い。バトルでは全然使えない。ピッピ、プリンにいたっては、ノーマル系という、特に得意な相手を持たないタイプに属し、レベルアップで覚える技も補助的だったり、攻撃力が低くて、これといった決め技はない。
それに対して、でんき系ポケモンであるピカチュウは、属するポケモン数が多いみず系そしてひこう系を得意としている。さらに、でんき系には「10まんボルト」「かみなり」といった、極めて威力の高い技がある。また、すばやさが高いため、強さがトップクラスのポケモンでも、得意タイプであれば、先制して一撃で倒すことも可能だ。
かくして、アニメの「可愛くて強い」ピカチュウが誕生したのである。従来からのファンであった男の子のキープはもちろん、女の子をポケモン世界に引っ張り込むことにもしっかり成功した。今やピカチュウが流行から定番となったのは確かだ。