Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (ハリー・ポッターとアズカバンの囚人) 2000.4.15更新
J.K. Rowling
「ハリー・ポッター」シリーズの第三作目です。四作目は、今年の七月に出るらしい。必要に迫られていたので、一気に読了。
やはり、一番おもしろいのは、第二作目ですね。こちらは、ちょっとテンポがのろいかも。本自体が分厚いので、もたついた部分があるとちょっとうざったく感じました。事件の重大さと通常の学園生活が平行しているのですが、それが今回は大きなギャップとなって作品の矛盾をつくっています。緊迫した場面があるかと思うと、なんだかいきなり普通の学校生活と変わらなかったりして。だって、十何人も殺人したという凶悪犯罪者が、もっとも警備が厳しい刑務所を脱獄して、もっとも安全だといわれる魔法学校に入り込むという緊急事態であるにも関わらず、いつまで(半年以上)たっても捕まらない。現代最高の魔法使いと謳われる校長を始め、有能な魔法使い、魔女、それに刑務所から身も凍るようなおっそろしい追っ手もいるのに、どうして捕まえるどころか、そいつを見つけることすらできないのか。
けれど、種明かしが、ネタばれシーンになるまで分からないのはさすが。この作品での本当の悪玉は誰なのか、しかもどういう形で表出されるのかは、全然想像できませんでした(単に私の想像力が欠如しているだけ?)。だから、ちょっと途中で少々のろのろしても、結末を知りたい!!という欲望で読み切ることができます。
しかし、やっぱり主人公のハリー自身がイマイチ。なんでこの子がヒーローなのかが、よくわからない。すごさを感じさせないところが、じつは本当は一番すごいんでしょうか?自分の命がねらわれていて、まわりは国家体制で彼を守ろうとしている。でも、肝心のハリー本人は、全然自覚していないのか、目先の楽しみを優先させて問題を起こす。けっこうイライラしましたね。等身大のヒーローにしてはすごすぎるし、典型的なヒーローとなるとちょっと器が小さい。一体どういう子なのでしょう。一作ごとに一つ年をとっているので、思春期を迎えてからどう変わっていくかに注目です。
Harry Potter and the Chamber of Secrets(ハリー・ポッターと秘密の部屋) 2000.4.14更新
J.K. Rowling
洋書のレビューなんて、ちょっと嫌みったらしいですが、話題の「ハリー・ポッター」の第二作目ということで、載せることにしまいた。
一作目より、こっちのほうがずっとおもしろかったです。私は第一作目は邦訳のみ、二作目は原書で読んだせいかもしれませんが、英語のほうがずっとわかりやすいし、話に入っていけるなあという印象を持ちました。おそらく、日本人が邦訳を読むのと、イギリス人が原書を読むのを比べると、後者のほうがきっと簡単に読めるでしょう。
『賢者の石』で気に入らなかった、ハリー・ポッターの謎が、徐々にですが、わかってきます。これは、作者がもともと七作シリーズを想定して書いていたため、一作目には明かされないことがあるのだと思います。やっぱり、シリーズものは全巻出そろわないと、評価が難しいことを再認識。全体を通して見ると、一巻目もあれでオーケー!となるかもしれません。
しかし、それにしても、ローリングは読ませる力を持った作家だと思います。特に、デビュー作だった『賢者の石』に比べて、ストーリー展開などが洗練されてきました。読者に次々とページをめくらせる。言うのは簡単ですが、実行するのは大変なワザです。そして、わかるようで実はわからない謎解きがうまいですね。私は最後の最後の種明かしで、かなりびっくりしました。
それでも、この超人気作に対して全く不満がないかというと、そうともいえません。まず、前作でも感じたのですが、やはりハリーがのっぺりしすぎ!たとえば、『ホビット』のビルボにしても、『ゲド戦記』のゲドにしても、主人公としてのインパクトは強烈でした。かといって、「ナルニア」シリーズのように確固とした異世界があるかと思えばそうでもない。そして、悪玉が、まだまだ漠然としています。彼の昔のエピソードなどが大分出てきましたが、それでも、ローリングが「悪」をどういう意図で表現しようとしているのか、なんだかよくわからない。きっとこれも、だんだんに解き明かされていくのでしょうが。
この作品の邦訳は、九月に出るらしいです。せっかくおもしろい(とくに、第1作目よりも)ので、翻訳も良いものになればと思います。しかし、その頃はブームは終わっているだろうから、もしかしたら、一作目よりは売れないかもしれない。それはちょっと残念。
そういう訳で、第三作目もさっそく読み始めました(公事で必要に迫られていることもあるため)。今後どういう展開になるのか、ハリーが年を重ねるにつれて、どのように変化(成長)していくのかが楽しみです。
J・K・ローリング著、松岡佑子訳、静山社
話題になっていますが、今頃やっと読みました。じつはこれ、研究者の間ではかなり評判が悪い。これが傑作なら、もっと素晴らしい本はたくさんあるのに!というのが共通意見なんですけれどね。あと、個人的には、作者と翻訳者の苦労話を美談にしているところが気に入らない。生活保護を受けながら一杯のコーヒーとか(『一杯のかけそば』みたいだ)、亡き夫の遺志をついで出版社をやっている、なんてどうでもいいと思いますけど。
内容は、やっぱり別にぃ?という感じで、可もなく不可もなく。よくまとまっていて、読ませるとは思います。簡単で読みやすいし(でも、日本語訳よりは、原作のほうが、もっとシンプルです)。学園物語も、魔法学校も、魔法使いも、今までによく知られたものですからね。特に、魔法学校の様子は、ゲド戦記『影との戦い』によく似ています。でも、そういうオイシイところを上手につなぎ合わせたのがいいのかも。あと、ハリーがヒーローになっていく様子が、のっぺりと描かれていて、あまり説得力ないような。敵がどうやってやっつけられたかも、なんか曖昧にごまかされた感じです。
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