『結晶塔の帝王』
まず、ごく個人的な感想から。私はあくまでまずピカチュウファンである。だから、映画の最大の目的はピカチュウであるし、要はピカチュウが可愛くてカッコ良ければ○。そういう意味では、愛らしく強いピカチュウがスクリーンいっぱいに堪能できて、満足でした。
さて、本題。結論からいうと、個人的には充分楽しめたが、ややあっさりめ。っていうか、充分楽しめたのは、私がファンだからというのが筆頭の理由である。ポケモンファンじゃなかったら、「映画」として同じように楽しめたかどうかははなはだ疑問だ。なんだか、盛り上がる前に終わってしまった感があって、ちと消化不良は否めない。その最大の原因は、ミー、パパ、エンテイの関係性が曖昧なままで終わり、さらに追い打ちをかけるように、ミーのママらしき登場人物がエンディングに登場したことにある。
ミーの夢(というか正しくは想像世界なんだろうな)を、アンノーンが反応して具象化したのは別にいい。というか、ここまではあくまで素材であって、それをどう料理するかの方が大切なのだ。問題は、パパがアンノーンに呑み込まれた現実と、ミーの想像世界をアンノーンが具象化したというバーチャル世界が、イマイチうまく繋がっていないこと。ミーが孤独になるためにはパパの存在が邪魔だった訳だけれど、だからといって、アンノーンが呑み込まなくて実現可能だ。逆に、ミー、パパ、アンノーンの関係性をかえって混乱させただけだと思う。それに、執事が、ミーは天涯孤独になってしまったと嘆き、ミーもひとりぼっちで寂しいと泣くからには、ママはこの世にはいないんだろうなーと思いこんでいたら、いきなりエンディングに現れるとは!!最後のこれが、かなり墓穴掘ってしまった。ポケモン映画なんて、儲かっているから予算はたくさんあるんだろうし(きっとそうでしょ?)、海外でもあれだけの興行成績をうち立てたんだから、国内外で次回作は?!と期待している(というか、批判しようと手ぐすねひいて待っている)輩は多いんだから、もうちょっと基本の骨組みをしっかりしないとマズイのではないだろうか。それでなくても、あんなに儲けていて、出る杭は打たれる状態なんだから、つまんない大人たちもぐうの音が出ないような力作にしてほしいのに。
前作『ルギア爆誕』に比べて、CGが格段となめらかになったのは買い。サトシたち人物が、背景から浮いていなかった。花畑とか、とても美しかった。がっ!なんだかピカチュウの顔(特に横顔)が?!?!というくらい雑な時があったのが不満。こればっかりは、私のピカチュウ基準として譲れない。大画面ならではの、茶色がかったうるうる瞳があまりなかったのも残念。
今回は、バトル重視だったようで、カスミとタケシががんがん戦っていたのは評価できる。特に、タケシの判断力、洞察力はすごくかっこよかった。逆に、ロケット団、ピカチュウ以外のサトシのポケモンたちはほとんど及びじゃなかったのは残念。まあ、全部つめこむのは無理かもしれないが。しかし、せっかく金銀編になってゲットしたポケモンたちがもっと活躍しても良いのではないだろうか。下に書く『ピチューとピカチュウ』でも出番がほとんどナシだったし。それで、別れたリザードンがオイシイところをかなり持っていくんだから、一体サトシのパーティってなんなんだ?という疑問を持ってしまう。肝心な時にリザードンに頼らざるを得ないなら、別れなくちゃよかったのに。サトシの仲間がわざわざピンチに助けに来た!と言いたいのは理解できる反面、都合よく使われちゃっていて気の毒という印象は拭えない。
あと、予告編と本編が食い違うのはいい加減やめて欲しい。去年もそうだった。今年は、CMでピカチュウが泣きながら「ピカピー!」と叫ぶシーンなんてなかったぞ。
最後にエンディングについてちょっと。去年の、画面と全然合っていないアムロの歌に比べて、ちゃんとしていた。でも、素朴な疑問として、あの歌、森公美子が歌ってなにか効果あったのか?誰がうたっても変わらなそう。
途中まではすっごく良かった。ピカチュウとピチュー兄弟が所狭しとかけまわる様子は楽しそうでめちゃくちゃ可愛かったし、デルビルやカビゴンなど、脇をかためるポケモンもツボをついていた。しかし、最後に、前2作と同じパターンになったのががっかり。どうしてみんなで一致団結して頑張るってのが必ず入らなくちゃいけないのか?!さすがに3度目になると、マンネリだ。しかも、構図がほとんど同じだもんなあ。
ポケモンかわいい度は、今まででダントツだっと思うから、最後の団結シーンのマイナスを補ってあまりあると思う。特に、ピカチュウがあんなにいろいろな表情を見せたのは今回が一番。ピチューとピカチュウってのも、見た目バランスいい。
今回は、ピカチュウ以外のレギュラーポケモンたちが、最初と最後にチラッとしか出てこないのはいたく残念。今までは、みんなで冒険するという形だったのに、今回はピカチュウオンリーで。それだけ制作側の試みが感じられるが、新しくゲットした子たちの活躍も見たかったなと思ったりするのはファンの飽くなき欲求である。
前2作と異なり、今回は町の中ってのは新鮮だった。なんだか、自分たちの遊び場をつくるポケモンたちと、ニューヨークのストリートキッズが重なってしまった。ごみごみした町中でも、たくましく、楽しく、工夫して暮らしているのが楽しそう。はたして、あの子たちは、みんな野生のポケモンなんだろうか?
音楽も、今回も楽しくてよかった。特に、オープニングのトランペットが調子よく響いて、気持ちよい。
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