7-9 2000

■『名画日本史』(朝日新聞社)
熱海にあるMOA美術館蔵の尾形光琳「紅白梅図屏風」は、毎年2月の1ヶ月間しか展示されることがない。私もかつて一度だけ見る機会を得たが、異様なまでの迫力を誇るその図柄には、実は隠された意味があるという。セザンヌやゴッホらの西欧印象派の人気の高い我が国では、日本の絵についてそれほど高い関心を持たれているとは言いがたい。西洋絵画から教え込まれた「絵の文法」とはかけ離れた地味な画面からは、何を伝えようとしているのか、判然としないことが多い。しかしながら、その裏側を知るとき、我々の目には新しい絵の姿が映し出されることになる。この本にまとめられるのは、そうした「絵と歴史・事実」の交わりをわかりやすく説く、現在も続いている朝日新聞日曜版の同題の連載である。(2000/9/25)


■破壊の美
高橋尚子が最強の名を証明するかのような強いレースで金メダルを獲った。世界最高タイムこそ刻めはしなかったが、考え得る実力者すべてを切り捨てての優勝は、実に見事なものであると思う。彼女のレースは競り合いや駆け引きとは遠いところにあり、自分のためのタイムトライアル、いわば「レースを破壊する」ところに最大の魅力がある。今回は中盤でのミドルスパート、そして35キロからのラストスパートと、二段噴射型ロケットのような底力を見せたが、個人的にはスタート早々からの「レースの破壊」を期待していただけに、展開という面では物足りなかった。ただし五輪マラソンは四年に一度しかないレースであり、こうした手堅い勝ち方も必要になってくるのであろう。宿題として残された世界最高タイム、そして史上初の女子2時間20分以内という記録は、次の楽しみとしておきたい。(2000/9/24)


■いろいろとあります −久々のミニのトラブル−
以前から雨模様になるとエンジンが息継ぎをしていた。そのミニのエンジンが遂にかからなくなってしまった。雨との関係から濡れやすい位置にあるディストリビューターの故障かと思ったが、原因はそこではなくキャブレータの不調であった。うちのミニは1991年製でまだインジェクション仕様になる前の型である。シンプルなSUキャブがついている。そこがやられてしまった。つまりはうまく燃料がエンジンに送られていないということである。コンピュータ制御による燃料噴射装置が当たり前の今の車にあって、このわかりやすさは感動的ですらある。(2000/9/23)


■ジェットセットラジオ(セガ)
近未来の東京を舞台に、インラインスケートを履いた少年少女を操るアクションゲーム。3Dアニメを駆使した絵による空間は独特の存在感を見せ、キャラクターの動きも妙になまめかしくて面白い。こうした尖った感覚のゲームはセガならではのものだと思う。いろいろと見せてくれるキャラの動きも秀逸である。惜しむらくはボリューム不足という点か。あと二つくらい大きな街があればいいのにと思った。佳作。(2000/9/23)


■『Car Graphic 選集 フェラーリ』1・2(二玄社)
改修なったモンツァで行われた世紀末のイタリア・グランプリは、大混乱のレースをフェラーリを駆るシューマッハが制してティフォシを大喜びさせた。これでチャンピオンシップの行方がまたしても混沌としてきて、残り3戦の戦いが興味深いものとなった。フェラーリはレース界のみならず、ロードカーの世界でも特別な威光を放つメーカーである。その歴史を繙くのによい本が、この2冊である。「カー・グラフィック」誌は美しい写真と読み応えのある記事で人気の高い自動車誌である。その中からフェラーリ関連の記事だけを抜粋して別冊とした。1は1962-1988、2は1989-1999までをそれぞれまとめている。あわせて約1000ページ、隅から隅まで跳ね馬一色である。資料的価値も高く、フェラリスタ必携の書籍である。(2000/9/11)


■ナビィの恋3 食べっぷりのよさ
公式ホームページで注文して手に入れたDVDを繰り返し観ている。いろいろと気付かされることがあって、それは追い追い書き連ねていきたいと思う。まずは西田尚美の食べっぷりについてである。「ナビィの恋」で主人公の奈々子の食事する風景は全部で6回。いずれも豪快でおいしそうな食べっぷり・飲みっぷりが実に気持ちよい。

・帰島後すぐ、実家でナビィおばぁ特製のおやつを囓る。
・本家宅で泡盛を豪快に飲み干す。
・福之助のリクエストに応えて果物を採って囓る。
・海辺で泡盛を飲み、焼いたタコに囓りつく。
・牧場で弁当をほおばる。
・焼き魚をくわえながら走る。

これらの場面を観るだけで、この奈々子というキャラクターの本質が非常によくうかがえる。旺盛な食欲はすなわち強力な生きる力である。これはうさんくさい島の占い師によって「家が滅びる」とされたことへの、見事なまでの反発となっていよう。それは最後の場面で福之助との間にできた7人もの子供からもうかがえる。彼女は旺盛な繁殖の力(性欲?)まで有していたのである。

おいしそうに食べる、飲むという演技は、西田尚美の俳優としての確かな力を感じさせる。(2000/9/10)


■ナビィの恋2 歌詞を聴く
ミュージカルを楽しむのに、そこで歌われるセリフ代わりの歌詞を見過ごすわけにはいかない。様々な音楽に満たされている「ナビィの恋」でも、それは同じことである。初めて見たときにはほとんど意識していなかった歌詞に、改めて注目して見直したところ、しっかりと物語の根幹に繋がるものになっていることに気づかされた。やや冗長に見えた音楽描写も、決して無駄に置かれているのではないのである。いろいろなことの顛末が、これも歌詞として出てくる「焼いた魚も空を飛ぶ」結果になったのは、たいへん面白い。(2000/9/5)


■ネット上の新しい書店
大手出版社8社(角川書店、講談社、光文社、集英社、新潮社、中央公論新社、徳間書店、文芸春秋)が共同で設立した「電子文庫出版社会」が、絶版・品切れ本を中心にインターネット上でテキストデータを販売する「電子文庫パブリ」を開いた。新しい試みとして注目していきたいが、すでに無料で本文データを手に入れられる「青空文庫」などのサイトがあるため、どれほどの利用者がつくのか、いささかの疑問がないわけでもない。販売価格帯は500円から800円が中心となるらしい。著者名やジャンルなどから電子化された本を検索できる。アドレスは(http://www.paburi.com)。(2000/9/1)


■アドレスに日本語
これまで英字や数字などの1バイト文字しか使えなかったインターネット用のアドレスに、この11月から2バイト文字であるひらがなや漢字が使えるようになるという。便利そうに思えるが、そういうアドレスを持つサイトには、日本語を入力できるシステムの入っている機器からのみということになる。もっとも日本語サイトに行こうかというような人のパソコンには、必ず日本語システムが入っているだろうから、大きな問題にはならないのだろう。(2000/9/1)


■真保裕一『連鎖』(講談社文庫)
食品の輸出入にまつわる不正・衛生などをチェックする小役人が、親友(ジャーナリスト)の自殺未遂事件をきっかけにある巨大な食品犯罪の謎に取り込まれる。この作家独特のリズムで次から次へと事件は展開する。合間には他の作品でもそうであったように、綿密なる取材・調査に基づくリアリティが追求されている。ノンフィクションの重みすら感じさせるところもあるが、作者としては決して社会的な告発を目指したものではなく、あくまでも汚染された食料の輸出入を題材としたエンターテイメントを描いたという。「買ってはいけない」とは当然同列に並べられない。江戸川乱歩賞受賞作。(2000/8/31)


■村上春樹・友沢ミミヨ『またたび浴びたタマ』(文芸春秋)
回文集。変なタイトルの本だとお思いの方は、これを末尾から遡って読んでいただけるとおわかりになるだろう。「仕事をしないでおこう」と決意した村上春樹が、メモを片手に五〇音すべての回文に取り組んだという。すべての回文に解説(らしきもの)がつく。納得のものから強引なものまで。言葉遊びに辻褄合わせは必要ない。友沢ミミヨのイラストが味わい深い。(2000/8/31)


■蟋蟀の声
「ひみつの花園」を見終えた深夜、今年初めて蟋蟀の声を聞いた。確かに季節の進んでいることを知る。(2000/8/30)


■ひみつの花園
「ナビィの恋」の西田尚美の飾らない演技に惹かれて、彼女がかつて主演したこの映画を観た。お金にのみ執着する女性が、銀行強盗犯の残した5億円を手に入れるため、あらゆる困難を乗り越えていくのであるが、その姿が第三者には積極的にいろいろなものにチャレンジするポジティブな人間に見える、というコメディである。自らの意図とは別のところで他人は評価を下している滑稽さが非常にうまく描かれている。各場面で笑いながらもどこか心に引っかかってくるのは、そうした「ある種の人生の真実」を掬い取っているからだと思われる。それにしても西田尚美の独特な存在感はどうだろう。「アドレナリンドライブ」の矢口史靖監督。(2000/8/30)


■真保裕一『奪取』(講談社文庫)
偽札作りは割に合わない犯罪であるらしい。その楽をして儲けるところから一番遠く、しかも発覚すれば国の根幹を揺さぶる大犯罪人となることに情熱を傾ける人々の物語である。文庫本で上・下二分冊の長編でありながら、話の展開が非常にスピーディなため、一気に読破できる。どちらかといえば作中人物の情緒的な面より、偽札作りとそれを巡る人々の動きが中心であるため、ひたすら結末(完璧な偽札の完成)に向けて走っている(または走らされている)印象が強い。ジェットコースター的な展開が楽しめる。ただしエピローグの部分は興醒めである。そこまでの感興が失せてしまうほど、白けてしまった。惜しい。日本推理作家協会賞・山本周五郎賞受賞作。(2000/8/29)


■「ekiden」の前売り券を買った
今秋公開予定の「ekiden」の前売り券を買った。田中麗奈の主演する映画では3作目となる。いよいよ女子高校生役は卒業し、大学生から企業勤めの役をするらしい。楽しみである。さて購入の際に田中をはじめ主演3人の直筆サイン入りのポスターをもらった。望外の喜びであった。田中麗奈の所だけを切り抜いておく。(2000/8/29)


■ナビィの恋
沖縄粟国島を舞台に祖母と孫娘の同時に進行する熱い恋愛模様を描く。全編、沖縄の音楽に彩られる。加えてケルト民謡やアイルランド民謡、はてはカルメンのハバネラまで。監督自らも「これはミュージカル」というくらい聴き所満載である。フィドル奏者として名高いアシュレイ・マックアイザックと三線の達人である登川誠仁が絡む意外性がよい。

さて話の方は非常にストレートな恋愛感情をテーマにしている。齢八十を迎えようかという老婆が、若き日の初恋の相手とかけおちするという非現実かつ不幸な出来事も、この映画の中ではまるで深刻さや後ろ暗さはない。むしろ自らの本能に基づく行動原理に従う人間らしさに全面的に賛意を表しているため、カラッと明るく爽やかな印象だけが残る。登場する人物すべてがとにかくエネルギッシュで、見ているこちらも朗らかな気分になる。平良とみ(ナビィ)と西田尚美(奈々子)が同じように愛らしく見えた。期待していた通りのよい映画だった。(2000/8/26)


■ホワイトアウト
真保裕一の1995年ベストセラーの映画化。日本映画では不可能だと考えられていたスケール感を、なんとか及第点をつけられる程度に表現していた。ただし真保本人による脚本は、映画的時間の制約によってかなり原作を簡略化しており、もとの小説を読んでいない人には理解できない部分が多く残るように思われた。特に物語の導入部分が駆け足過ぎて、気がつけばもうダムはテロリストの支配下に置かれているという具合である。テンポが速すぎて緊迫感が高まらないのは残念である。織田裕二・佐藤浩市は好演、松嶋菜々子は見せ場が少なかった。(2000/8/21)


■野沢尚『破線のマリス』(講談社文庫)
「自分の主観こそが真実である」という信念のもと、テレビ放送用フィルムを作成する人気女性編集者が、やがて自己の内部で現実と虚構の境界線が熔けだし、作為の映像とともに自滅していく。本来無色透明な存在であるべきテレビの映像が、実は編集者の「ちょっとした意図」あるいは「無意識の思いこみ」により、事実と大いに異なる結果を生む。その恐ろしさが強く伝わってくる。展開がスピーディーで一気に読ませる。著者は人気テレビ脚本家で、刊行当時は業界の内幕あばきと評判になったらしい。第43回江戸川乱歩賞受賞。(2000/8/21)


■流☆星
世間からはみ出す形で生きる3人(無職の老人・若いチンピラ・目標のない高校生)が、一頭の競走馬によってそれぞれの生き甲斐や生き方を発見する。シナリオが杜撰で演出もさえないため、だらしなく伸びきった時間だけが流れていく。B級映画の中でもさらに位置づけは下の方になろう。主演の一人、清水真実は「がんばっていきまっしょい」で好演していたが、それに続いて撮影された本作では今ひとつの印象である。なぜそのように行動するのか、という裏付けや説得力が感じられなかった。(2000/8/16)


■ノッティングヒルの恋人
下町の本屋の若主人と世界的に有名な女優の恋物語で、数々の苦難を乗り越え最後は見事に結ばれる。結末がわかりきっているだけにどう展開するのかと興味を持って見たものの、新味も意外さもついに見つけることはできなかった。なぜいくたの苦難を乗り越えるだけの愛情が芽生えたのかという部分で説得力を欠くし、その苦難も苦難とはいえないほどのさっぱりしたものである。主演したジュリア・ロバーツは、若い頃の溌剌とした美を失っているように見えたが、いかがなものか。(2000/8/13)


■国宝の土佐日記
京都国立博物館で開かれている「古典と美術 大阪青山短期大学コレクション」に行って来た。目的は国宝の藤原為家筆土佐日記である。1984年に突如出現したこの本は、紀貫之自筆本を「一字不違」の態度で書写されたもので、紛れもなく現存する最善本である。為家筆本により、我々は奇跡的に平安時代の作品の姿をそのまま手に入れたといえる。展示室では著名な冒頭箇所が開かれていた。他にも成尋阿闍梨母集・松浦宮物語・顕注密勘・明月記(いずれも鎌倉時代)等の重要文化財を含む貴重な古書籍が出展されている。国際観光都市京都ならではであろうが、外国人の見学者も多く見えた。彼らは奈良絵本や屏風類を熱心に見入っていた。8月31日まで。(2000/8/12)


■あの、夏の日
痴呆症の老人とその孫のひと夏のふれあいを描く。大林宣彦の尾道新三部作の一つで、1999年に公開されたもの。俗な精神を失いつつある者と、俗に侵されていない者の交感は、時に絵空事のように見えはするが、実に説得力のある物語となっていた。尾道の穏やかな空と海は、まさにこの二人の精神のありようを象徴的に表している。老人の死をもって物語のとじめとするが、悲しみの色は薄い。むしろ老人がこれで完全なる俗からの離脱を成し遂げたこと、そして少年がそれを祝福しているかのように見えること、これらの点で晴れ晴れとした気持ちで見終えられる。(2000/8/9)


■ファイナルファンタジー9(スクウェア)
ファンタジーへの原点回帰を謳った人気シリーズの最新作。約1ヶ月かけてクリアしたが、この種のロールプレイングものとしては比較的難易度が低いと思われた。キャラクターのレベルさえ上げておけば、敵方の強さは一定なので、相対的に戦闘が楽になる。前作の8はこちらのレベルに合わせて敵も強くなったり弱くなったりするところがあった。常にスリリングな戦闘を楽しむ人にはよいシステムだが、戦闘以外の部分を楽しみたいものには辛い仕様であろう。個人的には鍛えた分だけ相手を圧倒できる9の方が、精神衛生上よかった。

物語のテーマは共生・友情・愛といったお約束のキーワードで語り尽くせよう。窮地にある姫を白馬に乗った王子が助けるという典型的なシンデレラ型の物語である。結末が完全なるハッピーエンドであるから最終的な達成感や満足感は高いが、深みや味わいという点では淡泊である(そういうものを求めてはいけないといえば、それまでであるが)。次作10ではネットワーク対応で大きく仕様を替えてくると言われている。そういう意味ではシステム的にも内容的にも、これまでのファイナルファンタジーの集大成(最大公約数ともいえる)として、この9を捉えることができるかもしれない。(2000/8/1)


■ビル・クロウ、村上春樹訳『ジャズ・アネクドーツ』(新潮社)
(2000/7/30)


■犬丸りん『おじゃる丸のまったり人生のススメ2』(幻冬舎)
(2000/7/30)


■キッズ・リターン
高校生活をドロップアウトしそうな少年たちの姿を描く。やるせない閉塞感もどこかに繋がる道を残している。主人公の二人の行動は場当たり的で無計画なものであるが、その積み重ねこそが生の証であることをうかがわせている。本気で打ち込んでいるはずのものが、ある日突然そういうものとして見えなくなる哀しさが切ない。北野映画特有の陰惨さはなく、静かな哀調が全編を貫く。エンディングの台詞「まだ何も始まっちゃいない」に味わいあり。北野武監督、音楽は久石譲。(2000/7/30)


■後藤健生『サッカーの世紀』(文春文庫)
(2000/7/30)


■後藤雅洋『ジャズ完全入門!』(宝島社新書)
(2000/7/30)


■林望『日本語へそまがり講義』(PHP新書)
(2000/7/30)


■GTO
公開時の評判がよくなかったので劇場へ足を運ぶこともしなかったし、ビデオ化された後も田中麗奈が出演していなければ観ることもなかっただろう(彼女にとって思い出したくない一作となるのは確実)。果たせるかな、この映画を観た時間が惜しいと思った。すべての登場人物があまりに戯画化(またはステレオタイプ化)され過ぎて、気味が悪いほどである。実力を持った演技派(西村雅彦・谷口浩正・戸田恵子ほか)が多数出演しているのを、まったく生かしていない。志の低い監督に撮られた(名前だけ有名な)映画はこんなものであろう。(2000/7/22)


■ポケットモンスター 結晶塔の帝王
世界中で人気となっているポケモンである。テレビアニメはもとより、前作・前々作の映画の観客動員力も相当なものであると聞く。この「結晶塔の帝王」はポケモン映画の第3作目である。子供に付き合ってシリーズ全作を見てきたが、前のものが比較的大きなテーマ(環境問題・遺伝子操作など)を扱おうとしたのに対し、今回は親子の絆や愛情を表に出したものになっている。しかも主人公達の仮想敵となる一家が本質的に悪ではないため、盛大な戦いの後の勝利の余韻というものに乏しく、観賞後に爽快感が感じられない。監督自らが「子供を連れてきた大人に楽しんでほしい」と語っているが、本来の客である子供にとっては少々退屈な映画かもしれない。(2000/7/22)


■皆既月食の夜
これは皆既月食を迎えた月の様子である。7月16日の午後10時頃に撮影した。赤銅色をしているのは、太陽光線が地球の大気で屈折する際、吸収され損なった赤い波長の光が月に届くためとのこと。それにしても不思議で凄味のある色をしている。

ただ空を見上げて撮っただけなので、説明がないとよく分からないところなのはご愛敬(^^;。 (2000/7/17)


■村上春樹『そうだ、村上さんに聞いてみよう』(朝日新聞社)
村上春樹の主宰する「村上朝日堂ホームページ」は、現在公開休止中である。作品の向こう側に隠れて見えない作家の裏側がいろいろとうかがえて楽しめるところであった。本書はそこに寄せられた数々の疑問・質問・相談と、それにたいする村上の回答が載せられている。実に多種多様で幕の内弁当的愉楽に満ちている。人によってはちっとも面白くないかもしれないけれど。なお上記のページがまるごとCD-ROMに収められて発売されるという。『夢のサーフシティ』に続く第2弾である。(2000/7/13)


■ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ
多発性硬化症という難病で42歳で生涯を終えた稀代のチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレ。今もって史上最高のチェリストと評価する人も後を絶たない。主演のエミリー・ワトソンの風貌がデュ・プレのそれと重なって見えるため、ともすれば実録映画を見ているような錯覚を覚える。原題は「ヒラリー・アンド・ジャッキー」となっており、タイトル通りデュ・プレ姉妹の幼時からジャクリーヌの死までの愛情と憎悪と葛藤に満ちた関係を描くものである。生活をともにしたダニエル・バレンボイムからも理解されることなく、天才ゆえの悩みと狂気を抱え、奇行を繰り返すジャクリーヌ。その妹を信じられない手段まで講じて癒す、普通人たる姉の苦悩が痛々しくかつ美しい。(2000/7/12)