■高橋尚子とイチロー、長嶋茂雄と王貞治 7-9 2001
今日はスポーツの大きなニュースが並んだ。まずは高橋尚子。「レースの破壊者」はさらにパワーアップして我々の前に姿を見せた。以前にも書いたが、この選手の素晴らしいところは、常に何かとてつもないことをやるのではないかと期待させる点にある。今回はその「とてつもないこと=世界最高記録更新」をあらかじめ目標として打ち出しており、否が応でも期待感は盛り上がる。美しいベルリンの町並みを疾走する高橋は、予告通り史上初めて女子選手として2時間20分を切るタイムでゴールに飛び込んだ。なんという爽快感だろう。最初から最後までレースらしい競り合いはまったくなく、まさに「破壊」に専念した高橋の、底知れぬ凄味に最大限の賛辞を送りたいと思う。陸上史上のみならず、人類の歴史上にも残る大記録である。次にイチロー。彼はジョー・ジャクソンの持つ新人シーズン安打数記録を更新する234本目を放った。実に90年ぶりの更新という。イチローの活躍によって、これまで日の目を見なかった選手や記録が次々と人々の知るところとなり、そういう意味では埋もれた歴史を掘り返すほどの活躍に、やはり大いなる敬意を表すべきである。
一方、長嶋茂雄の引退セレモニーが東京ドームで行われた。狭い狭い「東京ドーム村の村祭り」でしかない。あざとい演出には醒めた気分しか残らない。それから王貞治。というより日本野球の腐った体質。シーズン本塁打数で王に並ぶ近鉄のローズに、ダイエーバッテリーはまったく勝負をしようとしなかった。同チームの若菜コーチは「いずれアメリカに帰る選手には打たせたくない」と言ったそうで、もう情けないの一言である。大リーグのどのチーム、選手、監督、コーチが「いずれ日本に帰る選手だから」といって、イチローと勝負しないことがあっただろうか。王は「勝負しないように」との指示は出していないとするが、ならばそういう指示を出したコーチ、勝負を避けた選手を厳罰に処すべきである。呆れるほかない。高橋やイチローに比べあまりにも狭い視野で志が低く、そして旧態依然とした日本のプロ野球の体質に、ますますの衰退を確信した。(2001/9/30)
■人間の屑
町田康の半自伝小説を映画化する。どうしようもない、まさに「屑」としかいいようのない時間を過ごす男を、村上淳が見事に「けだるく」好演する。佐伯日菜子の「生産性の低そうな女」っぷりも面白い。ただし映画としては小説の筋を忠実になぞっているだけなので(結末部の設定はやや異なるが)、目新しい要素はない。それでも町田康の暑苦しい文体をよく映像で再現していると思う。(2001/9/30)
■山本文緒『群青の夜の羽毛布』(幻冬舎文庫)
(2001/9/30)
■矢口史靖『ウォーターボーイズ』(角川文庫)
基本的に映画と同じ。矢口自身の手になるイラストが味わい深くてよい。(2001/9/30)
■ウォーターボーイズ
映画が終わった瞬間の劇場内の雰囲気が印象的だった。「静かで穏やかな気持ち」となった顔があたりに満ちあふれていて、もうそれだけで幸せな気分になってきた。この映画はコメディである。しかし、笑わせるためのコメディではない。「男子高校生がまじめにシンクロナイズドスイミングに取り組む」というミスマッチも、コメディ的というより年頃の男子高校生の持ってだろう不純な動機(とりあえず目立ちたい)と照らし合わせると、現実にありそうな設定である。コメディ的に見えるのは、あくまでも現実の男子高校生がやりそうな行動そのもののおかしさや馬鹿馬鹿しさであり、そういう意味では極めてリアルな映画ともいえる。クライマックス・シーンのシンクロ演技の場面では、いつまでもこの時間が続いてほしいと思わされた。その時にしかできないこと(しかもやったからといって、それが何かに繋がるということなどは決してない)に全身全霊を傾けて取り組む姿は、いつも特別な輝きを放っている。 製作に当たっているアルタミラピクチャーズは、周防正行と磯村一路が自分たちの撮りたい映画を作るために立ち上げた会社である。これまでの作品は「Shall We ダンス?」「がんばっていきまっしょい」であり、そこにこの「ウォーターボーイズ」が加わることとなる。極めて良質の作品を送り出していることに、注目すべきであろう。なおアルタミラの次回配給作品は、磯村監督の手によるもの。山本文緒『群青の夜の羽毛布』を原作とする。(2001/9/30)
■ブックオフに入った
話題になっている中古本専門店「ブックオフ」を見つけたので、さっそく入ってみた(ちなみにJR吹田駅近くの店)。噂に違わない品揃えで、下手な新刊専門書店など裸足で逃げ出すほどである。しかも安い。加えて新刊を扱う書店ではもはや見つけられないやや古い本も、何気ない顔をして並べられている。確かにこれなら流行ると思った。まさに「書籍を扱うコンビニである。近々自宅近辺にもオープンが予定されているので、そちらにも行ってみたいと思う。(2001/9/14)
■ポタリングは気分がいい
20分以上の有酸素運動は心肺機能の向上につながるということなので、毎日自転車で走り回っている。その日の気分によるが、だいたい1時間くらいは走る。これだけ走ると、自分の住んでいる近辺はほぼ隈無く走れ、細かな観察も可能である。徒歩では無理、車だと気付かない、そういうところがたくさんあって、とても楽しい。何より街を三次元で感じられるのがいいと思う。高低差がまともに体に跳ね返ってくるため、意外な発見も多いのであった。気候も自転車向きになってきたので、ますます楽しんでいる毎日である(体力がどうなっているかは不明(^^;)。(2001/9/14)
■永田裕志と秋山準の挑戦
一度袂を分かってからは決して交わることのなかったアントニオ猪木とジャイアント馬場。両者の創設した新日本プロレスと全日本プロレスは、猪木と馬場の考えを色濃く反映した団体となったが、主義主張がまったく違うので当然のように交流など夢のまた夢であった。ところが、時代は新世紀(あまり関係ない)、ついにその新日本プロレスと全日本プロレスの真の後継たるプロレスリング・ノアが交流を開始する。これはもうプロレス史上画期的なイベントといって過言ではない(プロレスファンの方以外にはまったく通じないかも知れないけれど、まぁ、そういうことです)。しかも組むのが両団体の事実上のエースである永田裕志と秋山準というから嬉しくなる。10月8日の新日本東京ドーム大会で武藤敬司と馳浩のコンビと闘う。猪木が相変わらず「つまらない」などというまさに「つまらない」コメントを出しているが、いつまでも自分の思い通りになるわけでないことを知り、相手(ノアのチャンピオンだ)に対して敬意を持って接するべきであろう。ともあれ、今から楽しみである。(2001/9/14)
■小林泰三『玩具修理者』(角川ホラー文庫)
怖いものが大嫌いなので、ホラー関連(本・ビデオ・映画など)はこれまでお近づきになったことがない。しかし、表題作は紛れもないホラー小説である。しかも第2回の日本ホラー小説大賞短編賞まで受賞しているというから、筋金入りのホラーである。読むと……気持ちが悪くなった。でも先が気になって結局終わりまで読んでしまう羽目になったのは皮肉な話である。なぜこういう展開になったかというと、この小説が映画化され、来春公開されるという情報を得たから。主演は田中麗奈。だから……。(2001/9/14)
■周防正行『「Shall We ダンス」アメリカを行く』(文春文庫)
「もののけ姫」が数々の邦画に関する記録を更新するまでの最高ヒット作品が「Shall We ダンス」である。監督の周防正行はこの映画によって新たな地平に立ったといってよいが、中でも海外で初めて自作が公開されたことが大きいであろう。この本は全米に進出した「Shall We ダンス」とその周辺を、周防監督自らが綴るというものになっている。日本とアメリカの違いにとまどいながら奔走する姿が面白くまた興味深い。読んでいると、久しぶりにこの映画が観たくなってきた。(2001/9/7)
■千と千尋の神隠し
夏休みも終わったので平日の映画館も空いているだろうと考え、ワーナーマイカルシネマ茨木に出向いた。ところが、この映画は未だに大入りである。大学生以上の若いカップルも多いが、それ以上に年輩の方々が目立つ。すでに宮崎アニメは「アニメ=子供」という偏見から抜けだし、大人の楽しめる娯楽として認知されたのであろう。環境破壊などの重いテーマを扱った「もののけ姫」に対し、少女の成長と冒険を描くこの映画は、ストレートな楽しさにおいておおいに勝っていると思う。効果的な音楽の使い方とも相まって、こちら側の感情をうまく掻き立ててくれた。それから映画の世界全体の臨場感を高める環境音も素晴らしかった。惜しむらくは最後の場面での両親との再会が思ったほど劇的でなかったことくらいか。リピーターが多いらしいのもよくわかる映画であった。(2001/9/4)
■ヤンヤン 想い出の夏
ある家族に起きる一夏の出来事を少年の視点から描く感動作という触れ込みで、なおかつ世界の有名な映画祭で様々な賞を獲得しているとあったので観てみた。正直言って、どこがよいのか、よくわからなかった……。もちろん退屈な時間ではなかったが、家族全員がそれぞれ問題を抱えているため焦点が定まらず、しかも主人公である少年とは無関係に進行するので、肝心の彼の存在感がまったくなくなってしまっている。父親の浮気、母親の新興宗教へののめり込み、姉の友人との恋愛トラブル、祖母の病気と死。どれもがそれだけで一本の映画となるものである。これらがオムニバスよろしく連続的に続いていくのであるから、当然まとまりがなくなるだろう。全編で約3時間、それを最後まで観ることができたのだから、悪くはないと思うのだが、それでもよくわからないとしかいいようがない。(2001/9/3)
■ひまわり
麻生久美子の映画が観たくて借りてきた。彼女の演じる主人公真鍋朋美が海難事故に遭い、行方不明となってしまう。物語は彼女の通夜・葬式に集まってきた人々(中心になるのは小学校時代の同級生達)の記憶を寄せ集めていくことで進んでいく。ほとんどつきあいのなかった真鍋朋美に対して、最初は冷淡な態度を取っていた友人達であるが、さまざまな視点から捉えられた彼女の断片が次第にまとまった形となってくると、全員の心の中には確かな揺らぎが生じていた。そのあたりのうねりがよく描かれていると思った。麻生久美子は映画デビュー(カンゾー先生)の年に田中麗奈と各種新人賞を分け合っていたが、現在の演技力でいえば、断然麻生が勝っていると思う。二人に共通するのは決してテレビに出ないこと。今後も生粋の映画俳優として日本映画界を力強く支えていってほしいと思う。(2001/8/29)
■初恋の来た道
「あの子を探して」と同じ監督の作品。「人を思う心の美しさを描く」などとまとめると、いかにも独特の臭みがありそうだが、この映画に関してはただもう素直に感動してもよいのではないかと思わされた。自由恋愛が極めて珍しい時代の、しかも大きな身分差のある二人が、深く静かにお互いを思い合う心の純粋さに、こちらもどんどん引き込まれる。最後に息子が年老いた母親の望みをかなえてやるところも、お約束の展開とはいえ、そうあってしかるべきという安心感と説得力を持っている。(2001/8/29)
■爆笑問題『世紀末ジグソーパズル』(集英社文庫)
この人達に時事ネタをやらせると面白いね。別に政治や社会を批判する意図はなく、単にいじったら面白いという潔さが素晴らしいと思う。(2001/8/27)
■好き(チャーシュー麺・波・テンカウント)
はずれでした。そもそも主役が田中麗奈でなければならない必然性がなく、また彼女の演技もすべて悪い方向に出てしまったように見える。それぞれが30分の短編で、それなりのまとめようがあると思うのだが。こういうレベルの映画(この3作を映画とよんでよいかは議論が分かれるだろう)に出ていると、単なる「旬のアイドル」としてしか見てもらえないと思う。三作とも「そこに確かにある」という現実感やリアルな存在感が希薄で、筋書きだけを追いかけてお終いという印象が強い。彼女の出演作では「GTO」と同等の完成度の低さであろう。(2001/8/27)
■もうDVDになった「連弾」
この春に劇場で鑑賞し、非常に面白かった映画がもう家庭で楽しめるようになった。個人的には竹中直人の出演作で最もよい出来だと思う。本編だけではわかりにくかった細かな設定も、収録された未公開シーンや竹中自身の解説によって理解することができた。もちろんその場面が映画に入っている方がよいかどうかはまた別問題である。天海祐希のシャキシャキした演技はまさに彼女の役柄にぴたりである。(2001/8/27)
■新しい自転車に乗って
家人が新しい自転車を買うというのでついていった。あれこれと眺めているうちに自分もほしくなった。そして買った。何と短絡的な展開であろうか。我ながら嫌になるくらいであるが、気に入った自転車が目の前にあるという喜びは何ものにも代えられない。手に入れたのはプジョーのMTB(VTT305)である。プジョーの自転車はかっこばかりで中味がないと批判される代物であるが、確かについているパーツは安物ばかりである。しかしながらその佇まいはなかなかのもので、そのあたりに人気の秘密があるのだろう。ただしフレームだけは立派で、何とカーボン製である。少し慣れてから安いパーツはシマノのDeore LXあたりにまるごと取り替えて、全体としてかっちりした自転車に仕上げるつもりである。(2001/8/27)
■猫の避妊手術
去年の暮れから家族となった雌猫も生後九ヶ月となり、避妊手術を受けさせることにした。健康な猫に手術を施すことに抵抗感はあったが、繁殖させた後に責任をもって子猫を育てられないだろうし、また発情した猫を押さえ込みストレスを感じさせるのも本意ではない。婦人科系(猫にそういうのが適当かどうかはともかく)の病気も少なくなるという。そんなこんなで決めた次第である。術後はさすがにショックが大きくて元気もなかったが、一週間もすると以前の活発さが戻ってきた。大事な家族として育ててやりたいと思う。(2001/8/19)
■ビリケン
通天閣に行ったこともあって、五年ほど前に公開された「ビリケン」をもう一度観たくなった。杉本哲太や山口智子らの大阪弁に違和感はあるものの、みな新世界になじんだ演技をしている。あの大きなビリケン像がほしい……。(2001/8/19)
■内田百間『ノラや』(中公文庫)
読みたかったこの本をようやく見つけた。愛猫が行方不明になった時の「狂乱」ぶりがすさまじい。(2001/8/19)
■Red Shadow 赤影
ストーリーがやや単調で浅いといえなくもない。設定や時代考証も厳密になされていないため、史実に詳しい向きには我慢ならないかもしれない。しかし、ジェットコースター的な現代の忍者映画と割り切れば、楽しめるものであった。安藤政信(赤影)と村上淳(青影)の新たな一面が見えた。二枚目主人公が勧善懲悪の世界をわかりやすく演じるのではなく、人の命の重さに悩みながら、自己の存在理由を考え抜いている。タイトルそのものは懐かしいものだが、内容は完全に今時のテーマを扱っている。映像・音楽も時代劇を題材にしたSFの趣で、スピード感溢れるものであった。琴姫役の奥菜恵の演技だけは学芸会並みの拙さでどうにも救いがない。逆に飛鳥役の麻生久美子は自分自身をどのように見せればよいかをよく考えていると思った。「カンゾー先生」でも演技力の確かさを発揮していたが、こうした完全な娯楽映画でもその存在感は見事なものである。(2001/8/19)
■最悪
奥田英朗の『最悪』が原作。大森一樹が監督を務める。映画的な描写を期待していたが、さにあらず。これは極めてテレビドラマ的手法で作られていた。その点は残念であった。沢田研二や西田尚美らもそうした演出に自由に羽が伸ばせなかったのではなかろうか。原作のあらすじを追うことに忙しくて、細部のリアリティに欠けているのがうまくないと思う。もともとがBSデジタル放送用のドラマだから嘆いてもしょうがないといえばそれまでである。(2001/8/19)
■新世界と通天閣
通天閣に行ったのは小学生以来である。何が変わっているのかもまるでわからない。それでも想像していたとおりの通天閣らしさを味わうことができた。ビリケンは可愛らしい神様だし、やる気のなさそうな喫茶室、商売上手な売店のおばちゃん、片方だけが新しいエレベーターなど、先日昇ってきた東京タワーとはまるで違う価値観で存在し続けている。この両極にあるような東西を代表するタワーの設計者が、実は同じ人物であるとは意外なことである。通天閣の切り抜き紙細工になっているパンフレットも楽しめた。新世界も新世界らしさを見せる。通りを歩いていると、娘に「パチンコの景品や。あげるわ。」と言ってチョコレートをくれる初老の男性がいた。他の場所では到底受け入れがたいが、ここだとなぜかほのぼのさせられる。帰りに立ち寄ったフェスティバルゲートも楽しいところであった。(2001/8/19)
■ファイナルファンタジーX(スクウェア)
(2001/8/12)
■湯本香樹実『夏の庭』(新潮文庫)
小学生にとって死とは遠いものであり、それはおとぎ話や物語の中だけにしか存在しない。仲の良い3人組の小学6年生が、近所の老人の死を見届けるべく「夏休みの観察」を始める。ところが、意に反してその老人宅に出入りするようになり、逆に無目的に生きてきた日常生活に大きな力をもらって成長していく。老人側の事情が伝わらない前半はなかなか話が流れていかない印象であるものの、両者が交わるようになると一気に話が展開していく。少しもの哀しい結末だが、少年達の小学校後の生活への意欲がはっきりと感じられて明るい気持ちにさせられた。(2001/8/12)
■あの子を探して
中国の過疎の村では毎年百万人もの子供が学業を諦め働きに出されているという。この映画はそうした問題を抱える村の小学校の代用教員を主人公として描く。教員としてやってきたのはわずか13歳の少女であり、彼女もまたわずか1ヶ月50元ほどの給料のために困難な仕事を引き受けている。過疎化の進むことを憂う村長(どうやら上辺だけのようだが)は任期中に一人も生徒が減らなければあと10元支払うという。以後の少女の行動はすべてそこが基点となるが、逆にそれが奏功する。出稼ぎに出された少年を追って闇雲に街へ向かい、そこで奮闘する彼女はいじらしいが、その時彼女の脳裏によぎっていたのは何か。物語をともに追いかけてきた鑑賞者には、彼女がお金のためだけに動いているのではなさそうなことが知れ、安心して感動?できるのであった。(2001/8/12)
■川上弘美『センセイの鞄』(文藝春秋)
(2001/8/12)
■太陽は、ぼくの瞳
「運動靴と赤い金魚」がよかったので観てみた。盲目の少年の感動の一作ということであるが、個人的には「運動靴〜」の方が質が高いと感じた。そもそも「感動」などとうたいあげるものにろくなものはない。神の姿を見たいと願う少年が、最後に神に接したと思われる終わり方をするのもわざとらしい演出(絶命した少年の手が黄金に光る)であった。(2001/8/12)
■MONDAY
酔いから醒めると4人を殺した凶悪犯罪者となっていた男を描く(ちなみにこれはコメディです)。堤真一が気弱なアルコール依存症男を好演している。もともとのキャラクターに近いかもしれない。エピソードとエピソードの繋がりに強引さはあるものの、不自然さはないと思った。こういうB級邦画が捨てられずに作られているのが頼もしい(というか嬉しい)。(2001/8/12)
■3度目のキャッツ大阪公演
初めて観たミュージカルが「キャッツ」である。1984年、劇団四季が初めてこの演目を東京西新宿の専用劇場で行ったのはよく知られている。当時たいへんな人気でチケットを取るのは至難の業であったが、たまたま上京した時に当日券が手に入り、大喜びで観たのを覚えている。もう17年も前のこと……。当時若手であった保坂知寿は今や四季の看板スターとなり、キレの良いダンスで観客を魅了した加藤敬二もこの公演では全体の振り付け指導役となっている。光陰矢のごとし(月並みです)。
今回何と言っても目を引いたのはタントミール役の高倉恵美である。長い手足を優雅にかつ機敏に動かし、群舞の中でも抜群の存在感を示していた。挙げ句の果てに、各場面での主役を観ずに、彼女ばかりを目で追いかける始末であった。飯野おさみ・服部良子の二人は、初演から演じ続けているはまり役をそれぞれ楽しそうにこなしているのが印象的だった。
「キャッツ」の鑑賞はこれで5度目(多分)。猫を実際に飼い始めてからは初めてであるが、以前は気にならなかった俳優の細かな仕草が、実は本物の観察から成り立っていることを改めて気付かされた。(2001/8/3)
■葛西・お台場・芝
ディズニーランドの後は新浦安にあるホテルに泊まったので、翌日はここから羽田空港まで無駄なく戻るスケジュールを立てた。まずは葛西臨海公園へ。ここには臨海水族園がある。水族館はどこも同じような内容であるが、清涼感が楽しめるとあって、全国各地に工夫をこらした造りのものが続々と登場している。ここの売りはマグロの回遊する水槽である。銀色に渋く光る巨大なマグロの群れなして泳ぐ様はなかなかのものであった。次はりんかい線に乗り換えてお台場へ。新しい遊び場らしく若い人が多かったが、観光目的で来たと思しき「非東京人」も多数見られた(自分もだ)。フジテレビの見学はたいしたものではなかったが、おすぎとピーコの番組の収録をしているところを観ることができた。パレットタウンの観覧車にも乗る。「はつ恋」で田中麗奈と真田広之が乗っていたやつである。乗るまでに30分ほど並んだが、さすがに眺めが良く楽しめた。
最後は東京タワー。これも何年ぶりだろうか。おみやげ売り場に並んでいる商品のチープさ、格好悪さがかえって楽しめる。(2001/8/3)
■ミッキーマウスの聖地
約10年ぶりに東京ディズニーランドに行った。8月2日の朝日新聞の記事によれば、ディズニーランド訪問者の約98%が2度目以上のリピーターとのこと。私自身はそんなに通うほどのものではないと思うのだが(年間ここに数十回も通う強者もいるとか)。今回もスペースマウンテンとビッグサンダーマウンテンの二つのジェットコースターに乗ることができれば、後は子供まかせ、成り行きまかせでいいという気持ちであった。幸い涼しい日となったので、それほど疲れることもなく、朝一番から夜のパレードまで過ごすことができた。ちなみに乗ったのは次のもの。スターツアーズ・スペースマウンテン・カリブの海賊・ジャングルクルーズ・スプラッシュマウンテン・スモールワールド・ホーンテッドマンション・シンデレラ城ミステリーツア・ビッグサンダーマウンテン・トムソーヤ島いかだ。けっこう多いね。これらに加えて昼と夜のパレードを観た。特別混雑するアトラクションには、時間指定の整理券(ファストパス)が発行されている。これを有効に活用すると、並ぶ時間がおおいに短縮できる。また行きたいかと聞かれれば、「しばらくは結構です」と答える。次は地元にできたユニバーサルスタジオジャパンか。(2001/8/3)
■みんなのいえ
三谷幸喜監督の第2作。前作「ラジオの時間」は舞台をそのまま映画に持ち込んだようなところがあったが、「みんなのいえ」では映画らしいドラマを描こうとしていると感じた。爆笑するということはないが、常にニヤニヤしながら終わりまで観ていた。結末部分が急ぎすぎてやや物足りないが、総じて佳作のコメディーと言ってもよいと思う。さてこの夏は話題になる映画が目白押しで嬉しくなるが、演出過多でバブリーな「パールハーバー」「A.I」はまったく期待できないのでパス。賑わっているらしいが、理解できない。「ジュラシックパーク3」も同様。今、見に行く予定にしているのは「千と千尋の神隠し」、それに「赤影」の2本である。これは楽しみ。(2001/7/19)
■ソニック・アドベンチャー2(セガ)
これだけよい出来のアクションゲームが、消えゆくドリームキャストでしか遊べないのが本当に惜しい。アクションが苦手、好きでないという人以外なら、誰にでも薦められると思った。ゲームそのものの難易度は高めだが、繰り返すことで必ず壁は乗り越えられるし、何度もやり直しをさせる魅力も十分ある。遊びやすさややり込み要素もよく考えられいるし、スピード感ある音楽(基本的にアメリカンロック)もゲームとよくなじんでいる。そして何より主人公のソニックが実に魅力的である。(2001/7/19)
■ワーナーマイカルシネマ茨木
こんなにかっこいい映画館ができていたのかと驚いた。合理的かつシンプルに10ほどの映画館が並列している。座席はスタジアム式に設置されていて、前席の人の頭はいっさい気にならない。足下も十分な広さが確保されているので、極めて快適に鑑賞できる。映画館としての箱の大きさから、スクリーンそのものは若干小さいのであるが、迫力ばかりを前面に押し出す映画でなければ、さほど問題にはならない。何より気持ちよく映画の世界に入り込める環境として、よく練られた造りであると感じた。近いので何度も足を運びたい。(2001/7/14)
■ポケットモンスター セレビィ時を越える遭遇
過去の3作はクローン・環境破壊・家庭崩壊といった社会的な問題を扱おうとし、結果として小難しいだけの楽しくない映画になっていた。せっかくのポケモンもテーマの壮大さの前に小さくならざるをえない。さしずめ刺身のつまといったところであろうか。ところが今回の「セレビィ」は友情というシンプルかつストレートなテーマであったため、主人公やポケモンとも違和感なくつながり、物語も自然に流れていった。最後まで間延びした気持ちにならずに見ることができたのは初めてである。ところどころに宮崎アニメの影響(というかパクリだ)が見え隠れするものの、総じてポケモン的解釈によってうまく取り込んでいると思った。今回の主人公ポケモンセレビィは、愛らしく魅力的であった。(2001/7/14)
■多岐川恭「落ちる」(創元推理文庫)
「直木賞受賞作」の帯につられて買った。自分の無知をさらけ出すことになるが、この作品は1959年の直木賞であったのを、読み始めてから知った。作中人物をはじめ、彼らを取り巻く状況設定に時代を感じさせる。面白いが独特の世界。好き嫌いが分かれそうである。(2001/7/14)
■重松清「エイジ」(朝日文庫)
これまで読んだ重松のどの作品よりも楽しめた。楽しいというには題材が重いから、のめり込んだというべきか。今時の中学生の引き起こす日常と非日常が描かれる。さまざまな少年犯罪が起こる昨今であるから、ここに登場する中学生もその延長線上で見てしまうのであるが、ふと思うに、中年である作者の描出した小説内の中学生像が、リアルな現実となっているのかどうか。必要以上に戯画化されていまいか。解説の斎藤美奈子は手放しで褒めているが(この人の文章はどうも信用できない)、その部分だけが読後に気になった。山本周五郎賞受賞。(2001/7/14)
■村上春樹「約束された場所で」(文春文庫)
文庫化。(2001/7/14)
■近田春夫「考えるヒット2」(文春文庫)
この人の書く文章は感覚的に見えながら、実は極めて論理的に考えられて作られている。したがって単なる悪口も強い説得力を持っている。売れている人々の仮面を剥ぎ、無名の実力者を発掘する。眼力の確かさと自分の能力への自信を思い知らされる。(2001/7/14)
■DVDになった「月とキャベツ」
なにげなく立ち寄ったレコード店(最近は何と呼ぶのがよいのだろう)で、「月とキャベツ」のDVDを見つけた。篠原監督がインタビューの中で面白いことを言っていた。あるフランス人ジャーナリストに映画のタイトルをひどく褒められたという。なぜかというと、フランスでは「キャベツは成長するもの」「月は他者の成長をうながすもの」というイメージで捉えられていて、それらがまさに主人公のヒバナとハナビの象徴となっているからである。篠原監督はそんなことは考えていなかったらしいが、今ではそのように答えることにしていると言う。確かに偶然とはいえ、あまりにもできすぎた話である。本編の細かい鑑賞はこの夏の仕事となるだろう。(2001/7/5)