|
9月17日午後7時、テレビは北朝鮮における小泉首相の記者会見の場面を映している。
4時ごろからこの問題についての報道をずっと見守ってきた。
拉致問題では11人中4名生存6名死亡1名不明という衝撃的な結果であった。
このほかにも今まで拉致されたとされていなかった2名の死亡が発表された。
いくら北朝鮮の死亡率が高いからといっても、このような結果は誠に不自然である。
今後さらに真相を解明しなければならないのは言うまでもない。
拉致問題の家族たちの記者会見では、涙を禁ずることはできなかった。
もしこれが自分の家族であったらと思うと、いたたまれない気持ちになるくらいだから、それこそもういまは遺族となってしまった方々の気持ちはいかばかりかと思う。
この人たちはいくら怒ってもよい。北朝鮮や政府や外務省の責任をとことん追及すべきである。
どんな過激な発言をしようとも構わない。その気持ちを思えば当然のことだ。
それなのにその発言はむしろ悲しみの中にも抑制されていると思えるくらいだ。
支援してきた議員連盟の発表の方が過激なくらいである。(ただし国交正常化まかりならんなどといささか嘘っぽかった。)
だが、マスコミは、遺族の取り巻きたち(彼らも一生懸命やったことは認める)と一緒になって感情的にこれを煽りたててはならない。
寡つて日本は、今回の事件とは桁違いに多い人々を朝鮮から強制的にあるいは騙して日本に連れてきて重労働させ、多くの人を死なせている。
あまり騒ぎ立てれば、じゃあ自分たちはどうしてくれる、という議論が韓国を含む朝鮮で巻き起こることは必至で、これは単に経済上の問題だけではなく感情的なしこりとなって残るだろう。
勿論、それはそれこれはこれであるが、お互いのためにならないことは確かである。
マスコミが煽りたてねば太平洋戦争は起こらなかった、ともいわれている先例を反省しなければならない。
今回の北朝鮮金正日の発言はいわば全面降伏である。
不審船問題はもとより、ミサイル実験は凍結(無期限?)すると言っているし、核兵器の開発疑惑等についても、国際間の取り決めを順守する、と言明している。
拉致問題については、遺族たちは不満だろうが、その安否について率直に発表しているようだ。
調査対象以外の人の死亡も発表しているぐらいだし、もっと灰色の方法もあったかと思われるが、従来とは態度を変えて拉致を認め、正式に謝罪している。
これが彼の本心であるかどうか、また北朝鮮が約束を守るかどうか、先のことは分からないが、上記の発言が日本の首相に対し、北朝鮮の国家代表として発言された意味は極めて重い。
今後は外交努力によって、この国交正常化交渉で拉致事件の真相を明らかにしていくとともに、約束を守らせることが重要である。
補償の問題は高くつくかもしれないが、これまでの裏交渉で、およその見当がついている、と推察する。
勿論交渉ごとは利害が対立するから行うのであって、今後も山あり谷ありだろう。
日朝双方とも国内外からのもろもろの圧力はあるだろうから交渉中断とか決裂もあるかもしれないが、内憂外患で追い込まれている北朝鮮との交渉は、今の時期が最適である。
マスコミが感情的に煽りたてさえしなければ、客観的歴史的に見て満足できる結果が得られるであろう。
怖いのは国民感情である。
このパスカルの論評で、マスコミが煽って住専問題に国費六千億の投入を非難し続けた結果、国費の投入がためらわれ不景気が拡大したことを指摘しておいたが、これもそのときの国民感情がもたらしたものにほかならない。
結果として今日までにどれぐらいの国費が投入されたか考えてみよう。
国民感情は今やもっと投入しろといっているぐらいなのだ。
今回の北朝鮮との交渉は十分成果があったと評価できるので今後はこれを無にすることのないように,冷静に毅然とした態度で接することが必要である。
以 上
|