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この事件の報道の始まりは、治外法権である領事館内に中国の武装警官がやってきて(押し入ってというニュアンス)、亡命を求めてきた北朝鮮の二名(後から五名に訂正)を連れ去ったことに強く抗議した、と言う外務省の発表から始まった。
そもそもここで使われている武装警官という言葉からして何やら怪しい。
警官なら何らかの武装をしているのは当たり前であり、日本でも警官は警棒や拳銃で武装しているがこれを普通単に警官といってわざわざ武装警官と言うことは無い。
これは中国でも同様であろう。
だから武装警官と聞くと何やら自動小銃を小脇にとか、拳銃を構えながらといった情景を連想してしまう。
だが実態は亡命を支援する韓国NGOのとったヴィデオで見るとおりほとんど丸腰とも思える警官である。
外務省はこの効果を狙って武装警官という言葉を選んだとしか思えない。
つまり自分達が何の抵抗もせずに、あるいは自ら進んで亡命者を引き渡した失態の言い訳に便利だから使ったのに違いない。
警官は武装しているのだから嘘ではないということになる。
それともうひとつ、彼らの属する組織の名称が武装警察というのだ。
だから正確には武装警察の警官と言うべきなのだがこれを武装警官とわざといってるのだ。
このような誤魔化しのレトリックは、事実を把握するために派遣した小野部長(そもそも内部の者が調査しても真実は出て来ないのだが)の報告書にも使われているから、我々はこれに誤魔化されてはならない。
嘘は書けないまでも、誤解させるような、あるいは書くべきことを書かないような方法はいくらでもあるのだ。
報告書では盛んに、同意を与えた事実は無い、と言っている。
中国の警官の総領事館立ち入り、査証待合室から男性二人の連行、女性三人の総領事館敷地内からの引きずり出し、いずれについても日本側が同意を与えた事実は無い、としている。
これはあたかも反対したかのような印象を与えるが、同意を与えなかったと言うことは、相手側から同意を求められたと言うことを意味すると解釈するのが自然であろう。それに対して反対すれば当然報告書も反対したと書かれるはずだがそうではない。
報告書では警官が無断で領事館の中に侵入したとは書いてない。
亡命を支援する韓国NGOの映像での警官はその場の成り行きで入ってしまったようだが(これは厳重抗議しなければならない)その後のことは無断とは考えられない。 暴力を振るって、あるいは武器を突きつけてと言うことではないのだから、同意はしなくても黙認したとしか考えられない。
それなのにあたかも反対したような印象を与える報告書だ。
韓国NGOの撮ったヴィデオを見ても、あの正門前に出てきた副領事が警官たちが門内に入って揉み合っていたのを見ていないとは時間的に考えてもありえず、警官の帽子、女性の靴を門内で拾っているのに、敷地内に立ち入った認識は無かった等ととぼけた報告をしている。
この認識は無かったと言うのも実に曖昧な表現で、後で見たではないか、と追求されてもはっきり意識しなかったと言い逃れが利く。見なかったとはっきり言わないのである。
また報告書は領事館事務所に戻る副領事の後から武装警官が門内に入り、事務所内でこの副領事の脇をすり抜け、言葉を発する暇も無いうちに男性二人を連行していった、とあたかも抵抗や反対をしなかったことをやむを得なかったかのように書いているが、これもまやかしである。
武装警官だったからと言いたいのかもしれないが、その武装の実態は先に記したとうりだ。
第一門の外で両手を広げて抵抗した等と言っているのだから領事館内で抵抗できないはずはない。
例え武装していても体をはって止めれば領事館の中でもあり十分防げたはずだ。
それに別の副領事が事務所内で男性二人から亡命であると言う趣旨の英文の文書を受け取ったりしている。
状況がわかるこの場面を報告書ではあまり大切なことと思わなかった、などと言ってカットしている。 自分の都合悪いことは報告しないという典型的な例だ。
報告書に書いてないことでは、抗議をする副領事が相手の隊長と握手をするとか五人が連れて行かれた後で挨拶の電話をかけたとか何やら和気藹々たる雰囲気すら伝わってくる。
そして今相手と大事な交渉中だからこちらの不利になることを言うなと盛んに小泉首相はじめ政府関係者が主張しているが、ではその交渉は何かと言えば、五人が出国する前に日本側も関与させろと言う点だ。
それがそんなに大事なのだろうか、これが最も大事とされている人道的見地とどのような関係があるのだろうか。
真実を糾したいのだとも考えられるが、都合の悪いことを言わせないように圧力をかけるのだとも邪推したくなるではないか。
この点は中国も同じだろう。
この事件を考えてみるに、もしNGOの関与がなければ問題は大きくならず決着がついたであろうことは想像に難くない。
彼等は北朝鮮のの問題をアッピールすると共に腰が引けている中国や日本政府の対応を世に知らしめたのである。
真実が如何に大事でまたこれを知らしめる事が如何に重要かと言うことがよく判る。
外務省報告書はその観点から外れた、自分達の失態を出来るだけ覆い隠そうと言うことに主眼が置かれている言われても致し方がないではないか。
自らの失態を隠すことなく認めた上で、相手の悪いところを指摘して行けばはるかに迫力があるはずだ。
国益より自らの利害を重んじる体質がいまさらながら痛感させられる。
以 上
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