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アメリカに住む友人が、日本の景気はいつ回復するのだろう、意見を聞かせろ、と言ってきた。
専門家でもないのだから、景気を予測するのはおそれ多いことではある。
だがあえてやってみよう。
なるほど日本の景気は長期に低迷が続き、その回復がまたれている。
待つといってももう10年以上になるのだから、いい加減待ちくたびれて、もうどうにでもしてくれ、と言いたいぐらいである。
この間には、堺屋経済企画庁長官(当時)が景気回復の胎動が聞こえる、などとノーテンキなことを言っていたが、内閣改造でその発言の責任をとる必要もなくなったのは、本人にとってよかったね、というところだろう。
そもそもこの人は、オイルショック時代、通産省の官僚だったのだが、「油断」という本で、今にも石油が消費され尽くしてしまうかのような前提で、この場合どのような破局状況が起こるかということを煽りたて、産油国の手先かとも思わせたが、今日に至るも石油は一向になくならず、大恥じをかいた人物である。彼は内閣の目玉ともいえる経済閣僚だったのだから、とんだお笑い種である。
オイルショックの時に、石油はなくならない余っている、と主張して有名になった長谷川慶太郎は、予測が当たったのはこの時だけで、バブル華やかなりしころに、日本の経済には何の不安もない、日経平均は五万円になってもおかしくない、と主張していた。
この人がまたぞろ、日本の未来はこうなる、などという本を出し、それも結構売れているというのだから、こと景気に関しては誰だって言いたい放題で構わないのだろう。 筆者が経済の専門家ではなくても、景気回復について予測してもお許しいただきたい。
さて、いつ日本の景気は回復するのだろうか。
長期的に見るならば、そして構造的に見るならば、日本の景気は良くならない。
景気が良くなって皆が裕福になる、というおいしいケーキはもう食べつくしてしまって残っていない。
その決定的な要因は世界一少ない子供の出生率とこれまた世界一の長寿国であるという事実である。
やたらと老人が多くて子供の少ない国が活性化するはずはない。
少なくとも内需が拡大するということはない。
あのバブルのときですら、貿易摩擦のため内需の拡大が叫ばれていたが果たせなかったことを思いだしてほしい。
国債の発行残高を見れば、日本はいま盛んに倒産している大会社のどれと比べても、もっとひどい債務超過状態にある。
これを打開するのは、徳政令しかないのだが(いま日本の多くの大会社が債務免除を受けて生き残っている)、そんなことはもちろん国際的にも出来ない。だいいち国債を山ほど抱えた銀行や保険会社が皆つぶれてしまう。
ムーデイーズなど海外の格付け機関が、日本国債の格付けをどんどん切り下げていて、これに対し日本政府は、日本の実力を過小評価している、などと言ってごまかしているが、山一証券の時も、北海道拓殖銀行の時も関係者は皆同じようなことを主張していたのを思い出す。
だから国債をこれ以上発行して景気を下支えするわけには行かない。
それどころかこの膨大な負債は今後の日本の景気の足を引っ張る。
またわれわれ日本人はいつのまにかあまり働かなくなってしまった。
週休二日は完全に定着したし休祭日の多さは恐らく世界一であろう。
自分の所属する組織のためにに身を粉にして働くなどということはもはや神話の世界だ。
あらゆる思想を超えて蔓延しているのは拝金主義、それも出来るだけ楽して儲けようというものだ。
こんな世界に生産性の向上など期待できない。
イギリスやノルウエーのようにある日突然産油国になるなどという奇跡も期待できそうに無い。
右を向いても左を見ても真っ暗闇の日本経済である。
こんなことは誰でもわかっている。ただ認めたくないだけなのだ。
では短期的にはどうか。
景気は波動するから,長期低落の中にあっても短期的には良くなることがある。
そしてそれは今始まりつつあると思う。
その根拠は次のとうり。
(1)円安によって輸出産業に勢いが出ててきた。
(2)長く続いたデフレも物価が世界水準と等しくなってきたのを契機に一段落の兆しがある。
(3)住宅特にマンションの売れ行きが好調である。
(4)銀行の不良債権処理が山を越えた。
(5)失業率の悪化に歯止めが掛かってきた。
これらについて少し付け加えておこう。
(1)については誰しも認めるところだろう。
(2)直感だが値下げ合戦も息切れしてきたと思う。円安による原価高も影響しているだろう。
時代に敏感なマクドナルドが値下げ商品を元の価格に戻し、すかいらーくグループはポイントカードを取りやめた。パソコン業界も売れ行きは今1つだが値上げするという。
(3)土地の値下がりもあってグレードの高いマンションが一頃より安く買えるようになった為か売れている。
特にデザイナーズマンションという高級で付加価値の高いものが好評で公団住宅は好かれない。
(4)は世間ではまだまだといっているが筆者の直感では山を超えた。
(5)政府は一時的な数字の良化であって先行きはまだまだといっているが本当に悲観的のときはこれと逆の喜びのコメントが出るはず。
以上から今が短期的景気好転の始まりと思う。
いまや秒読みといわれている東海大地震はもし起これば途方もない需用を喚起するだろう。
ワールドカップの経済効果も予想以上と思われる。
だが安心してはいけない。
国債の大量発行と老齢化社会がボデイーブローのようにきいてきて、やがては不況下のインフレーション、デイスインフレの時代がくるだろう。
もしこれを少しでも避けたければ今や世界に追いぬかれようとしている技術に更に投資して技術大国輸出大国として生きて行くほかは無い。 それを国内情勢国際情勢が許すだろうか。
見通しは暗い。
このパスカルの論評では〈国債の返済と姥捨て山〉(景気を良くする財政)などでも同じような問題を論じているので読んでいただきたい。
以 上
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