多くの人は学者の言うことに弱い。
政治家や商売人と異なり、学者の言うことには嘘も裏もないと単純に思いがちだ。
何しろ学者は金儲けをしているのではなく、学問をしているのだから利益とは関係ない。
だからその成果の発表は素直に受け止めるべきだ、と考えてしまうのだ。
だがちょっと待ってほしい。
学者の世界、研究費をどれだけ取れるかが大問題なのだ。
役人が予算をいかに獲得するかが大命題であるのと同じように、学者の世界ではそれが研究費なのだ。
役人が使う予算が世のため人のためであるべきなのは言うまでもないが、やがて予算は独り歩きを始める。
学問の世界の研究費も似たようなところがある。
必要と無駄が混在し始めるのだ
研究費を沢山とって、金を沢山使えれば、羽振りもよくなるし子分も養える。
そのために研究が世間の耳目を集められればそれなりに予算もついてくる。
もちろん世の多くの学者は、自分の専門の分野をこつこつとまじめに研究し、その一つ一つの成果の上に科学の発展があることは間違いない。
だが派手なアドバルーンを打ち上げたり、やたらと危機を煽り立てたりする輩も存外多い。
今から40年以上も前になるが、東大の穂積という学者が東京に20年以内に(10年だったかもしれない)大地震が発生する確率は90%以上とぶち上げて大いにマスコミをにぎわした。
それに追い討ちをかけるように、プレートテクトニクス理論による「明日東海大地震が起きても不思議ではない」という説がもてはやされた。みんな真に受けて、下町にあった大企業の多くが引越ししてしまったくらいだ。
だがそれから40年、直下型地震も東海大地震も起こっていない。
そもそも直下型地震などというものは日本列島いつどこで起こるか判らない性格のものであるのは、神戸地震でもわかるではないか。
東海地震にしても、相模トラフに限って言えば、「明日起こっても不思議ではないが、200年先のほうが可能性は高い」というべきなのだ。
だがそれでは予算はつかない。
地震予知研を立ち上げ、震度の深いところに地震計を取り付けて東海大地震を予知しようとして世界の笑いものになった東大の力武教授はそれに膨大な費用をかけながら退官するときに「地震の予知はできない」といってのけた。
そして今彼の残党は、もっと費用をかければ予知できる、といっている。
危機を煽れば金を使える典型的な例だ。
今15秒前予告などという代物にまた費用をかけようとしているが、やめてほしいものだ。
インフルエンザ騒ぎもそうだ。
すぐスペイン風邪では4000万人死んだ、などと恐怖を煽り、やれO157だ、鳥インフルエンザと騒ぎたてる。
百年前と今日では、衛生状態、栄養状態、検疫体制、情報把握などあらゆる面で安全性が飛躍的に高まっているので、昔と安全性は比較にならないのに、大袈裟に騒ぎ立てる。
わが国では一人の犠牲者も出してはならない、などと科学者の端にも置けないような議論をする。
この絶対安全神話はマスコミも思い込みが激しく、強く主張する。
しかし世の中には危険な状況は無数にある。
その危険性を小さくする努力は必要であるが、その一つ一つを絶対安全にすることなど出来ないことを一番よく知っているのが科学者であるにもかかわらず、マスコミをたしなめるどころか一緒になって騒ぎ立てる。
鳥インフルエンザで日本に犠牲者は出たか。
出ないといいたいが、でた。
病気で出たのではない。
飼っている鳥がインフルエンザにかかり、その処理を誤ったがためにマスコミから人非人と攻め立てられ自殺した養鶏業者の老夫婦だ。
彼らがやったことなど、今盛んに起こっている食品偽装事件と大差ないのだ。
やったこと自体は良くないことだが、別に人的被害者が出たわけではない。
それなのに少しの危険性も根絶しよう(これ自体はよいこと)とヒステリックに騒ぎ立てるのは科学者のとるべき態度ではないことを自ら知るべきだ。
おかしな話はいくらでもある。
ここではいちいち列挙しないが、特に健康に関することにそれば多い。
(ただ一部にこのような風潮に対して反省の動きが出てきているのは喜ばしい限りだ。
最近ではメタボリックシンドロームの判定基準について、前立腺がん検診の有効性について疑問が出されている。
特にこの前立腺がん検診の問題は、あらゆるがん検診の有効性の問題まで広がる可能性があるので注意したい。)
このパスカルの論評でも4、5回前に述べたが、地球温暖化の問題も、あまりにもセンシティブに捉えられている。
たとえば今日本の人に地球温暖化による弊害は何かと問えば、ほとんどの人は情報をマスコミに頼っているから10中8-9人が南極や北極の氷が解けて海面が5,6メートル上昇し、地球の多くの部分が水没してしまう、という答えが返ってくるだろう。
だが今そんなことを言っているのは日本のマスコミと一部学者、環境省、アル・ゴアくらいのものだ。
あの地球温暖化に対して警鐘を鳴らし続ける科学者団体IPCCの連中だって海面は上昇しないと公式報告書で述べている。
アル・ゴアの主張はイギリスの裁判所がこの部分はっきり間違いだと断定し、彼もこの判決に不服を言っていない。
ところが環境省は環境白書で昔から海面が上昇すると書いている。
おかしいではないかと問い合わせた人に環境省はIPCCの報告を翻訳し間違えたと返事したという。
中学生でもNOTのあるなしを間違えたりしない。
思うに、これは予算がついているので(環境省だけで地球温暖化の対策に1兆円くらいの予算がついているとのこと)書き直せなくなったのではないか。
その予算に多くの学者が群がっていることは想像するに難くない。
だから地球温暖化問題でマスコミに登場する学者たちはこのことに触れようとしないのだろう。
だが四半世紀もたてば、今危機だ危機だと騒いでいることはすべて解消しているだろう。
もっともそのころはまた新たな危機の話題で騒いでいるだろうが・・・・・。
以 上
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