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怒りを込めてこのパスカルの論評を記している。
今までたびたび述べたことであるが、拉致被害者、その家族の人達はあれだけ酷い目にあったのだから、どんなことを言っても許される。
だがそうだからと言って、この人達の発言が全て正しいとは限らない。
そう書いてきた。
しかし今の日本の現状はどうだろうか。
拉致被害者家族会が極めて強硬な意見を述べているが、これに対し皆遠慮して反対意見が出てこない。
反対意見を述べれば、マスコミがよってたかって吊るし上げるだろうから、何も言えないのだ。
だが筆者はあえて言う。
家族会の人達よ、あなた方は間違っている。
あなた方は小泉首相を批判するべきではなく感謝すべきなのだ。
一年七ヶ月前、五人の拉致被害者が帰ってきたとき、いったん北朝鮮に行く意向だったこの人達を説得して、困っているのは北朝鮮、強く出ればすぐに向うのほうから折れてくるという、平沢代議士や中山参与、安倍副官房長官(当時)等の意見にのって、日朝会談をお膳立てした外務省田中審議官を国賊呼ばわりして対北朝鮮強硬姿勢をとることにした。
ところが北朝鮮は折れてくるどころか、反発し、そのまま交渉は途絶えてしまった。
この間北朝鮮の核保有問題、拉致被害者が迎えに来れば家族を返す等の問題もあったが、一貫して原則論をとなえ続けてきた。
拉致被害者達の家族に会いたい、一緒に暮らしたいとの願いは、ここで折れたら北朝鮮の思惑どうりになってしまう、拉致問題が棚上げになってしまう、との意見によって無視されてしまった。
そして事態は少しも進展しないまま、一年七ヶ月が無駄に経過してしまったのである。
面子を重んじる相手の出方を見誤ったのだ。
すると更なる強硬姿勢を取れ、経済制裁しろと言い出した。
国会の姿勢もこの方向に向けて走り出した。
だがこれらの人達はどれほどの覚悟が出来ているのだろうか。
北朝鮮は経済制裁は宣戦布告とみなすといっている。
そんなのは脅かしだ、脅しに乗ってはいけない との意見も多い。
だが存外本気かもしれない。
もし本気だったらどういう事が起こるだろうか。
朝鮮の情勢に詳しいコリアレポート辺編集長は、証拠は無いが北朝鮮がやったに違いないと思われるテロが日本で起こるだろうといっている。
筆者もそう思う。
命令一下何をやるかわからない連中が日本には沢山いるのだ。
それを防ぐ手立てがあるとはっきりいえるのだろうか。
イスラエルと同じ状況が発生しかねないと思う。
それでも構わない、悪いのは北朝鮮、あくまで筋を通すべきだ、という覚悟が強硬論者にあるのだろうか。
いや、日本人全体にあるのだろうか。
そんなことは無いだろう。
何しろイラクで自衛隊員が一人でも死んだら内閣の責任が問われる国なのだ。
矛盾しないだろうか。
北朝鮮を甘く、軽く見てはいけない。
拉致被害者の蓮池さんは「原則論は聞き飽きた」と思わず漏らした。
それはそうだろう。
まだ未解決の拉致被害者のことを思い、国の主権侵害という原則問題を考えれば、自分達が子供達と引き離されている状態にもじっと耐えるしかなかったのだ。
反対さえなかったら、北朝鮮に飛んでいって我が子を引き取りたい、というのが親子の情ではないか。
そうさせなかったのは家族会とそれを取り巻く強硬論者たちだ。
こうした手詰りの状態に終止符を打ったのが今回の小泉訪朝だ。
政治的思惑もあったのかもしれないが、一国の首相としてはそれこそ韓信の股潜りの思いで訪朝し、兎も角も、死んだとされた10人の再調査の約束を取りつけ、子供達五人も引き取ることが出来、曽我さんが家族たちと面会する段取りをつけ、そしてこれはとても重要なことだが核査察の受け入れを認めさせ、このことをブッシュ大統領に伝えて良いかと念を押して、金正日から「よろしく頼みます」との言質まで取っている。
何しろ今までは交渉が1歩も進まなかったのだから、外交的に成功したと断じて良いのではないか。
欲を言えばきりが無いのだ。
有難うと感謝して、更に事態を進展させることこそ大切なのではないか。
首相といえども人間、誉められればやる気が増大し、けなされれば意欲が薄れるのだ。
それなのに家族会は悪罵の限りを尽くしている。
曰く何の成果も無い、期待はずれであまりにも無策、北朝鮮のシナリオに乗ってしまった、われわれのことをなにも考えていない、人道支援を行うのは実に怪しからん、核問題などどうでもいいからまず拉致問題だけを解決しろ、それが出来なければ日本に帰らないと何故言わないのか等等、金正日を怒鳴りつけないとは何事かというのもあった。
この人達は何を言っても良い、と述べたが撤回する。
いい加減にしろといいたい。
問題は解決済みと主張する相手からその場で具体的な情報を引き出すなど出来る筈が無いではないか。
今回の交渉で解決の糸口が開けたのだから、今までの一年7ヶ月の空白をこれ以上続けづに済むのだ。
それにしてもこの家族会の人達はなぜ人道支援にも反対するのだろうか。
普通犯罪者に子供を誘拐されたり、人質に取られたりしたら、その親や家族たちは出来るだけ犯人を刺激しないように、犯人のいうことを聞いてやってくれと当局に要請するではないか。
あのペルーの人質事件を強硬解決して非難を浴びた藤森大統領だって、犯人達や人質の為に食料をさし入れていたではないか。
ところが家族会の人達はあのブッシュの言うならず者国家北朝鮮をもっと困らせろ、追い込めといっているのだ。
そんな事をすれば家族会の人達が生きていると信じている拉致された人々の身に危険が及ぶのではないか。
その可能性について考えないのか。
家族会の全員が同じ考えなのだろうか。
不思議なことである。
ひょっとしてこの人達は自分達の家族は死んでしまっていると思っているのではないか。
そうでもなければ辻褄が合わないのだ。
だとすれば何やら話が胡散臭くなってくるのだ。
だから筆者は怒っているのだ。
これ以上はあえて言わない。
この際国民の安全のために泥をかぶった小泉首相にエールを送りたい。
そして家族会にもう少し冷静になり、現在の行動が何物ももたらさないことに気づいて欲しい。
以 上
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