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00年6月23日のテーマ 「そごう」は救済すべきではない

 デパートの大手「そごう」が再建のため銀行に対し債権の放棄をを求めている。主力銀行である興銀は1900億円の債権を放棄し、これは無担保融資の99%に当たるそうだが、これによってその他の銀行の負担を軽くし、総額6300億円にのぼる債権の放棄を行いやすいようにするというスキームである。
 昔から興銀は自分のところがメーンバンクである企業は決してつぶさないと公言していた。さすがに料亭の女主人尾上某が行った無茶苦茶までは救済しなかったが、これとても日ごろの公言に反しているのであり、それによって国会で責任を追及されながら、経営陣は多少のボーナスカット程度で頬被りしてしまったのだから、天下の興銀も落ちぶれたともの笑いのタネにされたのだ。
 今回の「そごう」の救済計画も、考えて見れば、この尾上某の事件と同じようなものである。経営者の乱脈経営を救済する必要などまったくない。銀行には多額の公的資金が導入されていることを忘れてはならない。
 前にもこの論評で、住専問題6900億円の公的資金の注入にあれほど世間は反対したが、それがひとつの引き金になって、山一証券、北海道拓殖銀行、を救済せず、それが今日にわたる長い不況を招いた一因となったこと、そしてこの6900億円の数十倍の公的資金を投入してもまだ足りないと言ってるような現状になったと述べた。
 つまり政府や大蔵省は自らの保身のため感情的な世論におもねたのである。住専の段階で彼らは不良債権問題の解決のためにはとても6900億円では足りないと知っていたが、世論におもねり、山一や拓銀をあっさりと見捨ててしまったのである。このことが社会に及ぼした影響ははかりしれない。その後の不況の拡大の原因のひとつとなったことは、疑う余地がない。
 「そごう」の救済のための1つの論拠として従業員の雇用問題や一万社にのぼる取引業者に影響が出て社会問題となる、などと言っている。しかし考えてみてほしい。世の中で必要とされる商品は「そごう」でなくても、他のデパートでも買うことができ、需要の総額はほとんど変わらないであろうから、全体的に考えれば社会的問題など小さなものである。「そごう」で減った取引はその他のところで増えるということであり、それに従事する人々の労働の総量はたいして変わらないのだ。山一や北拓とはその社会的影響は比べものにならないであろう。
 この救済計画では新生銀行(旧日本長期信用銀行)にも970億円の放棄が求められている。そのために新生銀行の「そごう」向け債権2000億円を預金保険機構が1000億円の貸倒引当金とともに引き取り970億円の債権放棄額と相殺するとの案である。したがって損失は生じないというわけである。
 だがここに問題がある。もし「そごう」がこれだけの債権放棄をしてもらっても、なおかつ再建に失敗すれば、残りの1000億円の融資が焦げ付き二次損失が発生する。この損失は国民が直接負担することになる。
 では「そごう」は再建できるであろうか。これは筆者の推測であるができないと思う。
 第一に現在の商売で儲かっていない。
 第二に隠れた債務の存在。(デパート業界は大福帳的な仕入れの形態をとっており、担当者が仕入れ伝票を経理に回さない限り仕入れが発生せず、業績が悪い場合は担当者の一存で売った商品の仕入れ計上を先送りするということが行われている。つまり売り上げはすべて収益となるが、その分の仕入れが原価として算入されないということがしばしば起こる。)
 第三に会社更生法ということになると、管財人が入ってすべてが明らかになるが、救済して再建ということになると都合の悪いことは隠れたままになり、これが収益の足をを引っ張る。
 第四に力のある販売業者は「そごう」への販売に懸念を持ち、取引条件の改定を持ちかけてくる。つまり商品の仕入れが売り手上位となってくる。
 銀行団がみんな仲良く相談して救済すれば銀行経営者の責任も薄れてきてめでたしめでたしいうことになるのかもしれないが、結局は大きなツケが後で回ってくるのだ。奥田日経連会長は「銀行も債権放棄で損失を出せば、経営者が責任を取るべきだ」と言っているそうだがまさに正論だろう。「そごう」を救済してみたところで国民にとって得るところが少なく、一部の経営者たちが喜ぶだけなのである。
 余談ではあるが、現在ではそごう問題の最大の戦犯であるとされる水島会長について、あるそごうの役員は、手荒なことをすれば水島会長が退任しなければならなくなる、それでもいいのか、などというまことに時代錯誤のことを言ったそうだが、いくら背後に隠された事情があるとしてもこの程度の人たちが日本の大企業の経営者であることが今日の日本の問題点なのである。

以上

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