行動の美しさ
昼下がりの電車の中でした。
誰かが捨てた空き缶が、電車の揺れに合わせるように窓を背にした車内のイス
をピンボールのように行き来していた。そのうち、コロコロと音を立てていた
不器用に転がった空き缶はある大人の足にあたり、静けさと共にとまった。
しばらくもしないうちに、足にあたった空き缶を見知らぬふりをして蹴り返して
きた。
だれもが思っているはず。捨てた人が悪いって。
空き缶はまた、電車の揺れに合わせながら、人々の足に当たっては反対側に
蹴り返され、車内を左右に降られながら、後方へと向きを変え転がっていった。
幸い私の所へは転がってこなかったが、転がってくるなとどこか心で願っていた
自分もいた。それはきっと、転がってきて足に当たったことによって、その空き缶
が自分の所有になってしまうかのような不安もあり、電車内で捨てたゴミが自分の
責任になってしまうかのような錯覚さえ覚えた。
そんなことを思っていると、今度は窓際に寄りかかって窓の外を見る女子高生
の足元で止まった。
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