山下一史
このコンサートの後、続けて山下さんと3回のコンサートを一緒につきあっていただいた。
この3回で学んだことは莫大で今でもThe Sinfonietta、そして私にとっても音楽をやるときの大切な基本になっている。
練習、本番はもちろんだが山下さんと熊本県立劇場の本田さんによって始められた指揮法セミナーも素晴らしい内容で、これによって私も指揮者への道へ踏み出したのだった。
指揮法セミナー、初回は安永さんと最初に共演した1989年1月。そのときは私はオケの中で弾いていて、指揮法のレッスンを外から見ているだけだったが、あまりにおもしろくて次の年からは続けて自分自身で受講することにした。山下さんがカラヤンのアシスタントだから私は正真正銘のカラヤンの孫弟子なのだ。
ふつうのひとはもちろん、音楽をやっている人の中にも指揮者の意味というか役目をよく知らない人が多いと思う。私もこの指揮法セミナーをみてから、いままでなんとなくしかわかっていなかった指揮者の仕事についてかなり明確に理解できるようになった。
本当に指揮者によって音楽は変わる。山下さんの指揮法セミナーはもちろんプロの指揮者を養成するためのものでなく、学校の音楽の先生やアマチュア合唱団、オーケストラ、吹奏楽などの指揮者対象なので指揮法といってもごくごく基本的なことしか指導されなかったが、それでも指揮者の影響はとても大きい。
指揮者が演奏する曲に対して、テンポ、バランス、キャラクター、構成、音色、などなど明確なイメージを持っていないとオーケストラは安心して弾けない。細かいことで言えば、重要なパートは見るだけで音が変わることとか、ずれてきたときは小さく振ることとか(小さいと指揮棒を見る個人個人の誤差が減るので合いやすくなる)とか。そして実際に指揮するとその通りになるのがおもしろい。
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