序章 パリ大好き!! 第1章 パリの街 第2章 パリのレストラン 第3章 オペラ・コンサート
第4章 パリの観光 第5章 パリの美術館 第6章 フランス語 第7章 ミシュラン
第8章 飛行機の乗り方 第9章 レンタカーの旅 第10章 パリのホテル
第11章 パリのお買い物 第12章 パリの乗り物 第13章 お金、クレジットカード
第14章 核実験 第15章 たこやき 第16章 旅の本

第7章 ミシュラン

 フランスのことを語るのに、ミシュランは欠かせない。ミシュランはフランスのタイヤの会社で日本でも有名だが、そこがもう何十年も前からドライバーのためにいいホテルと、レストランのガイドブックを作っている。それがミシュランの赤い表紙の本である。ひとつ星とか、二つ星とかいうのはこの本でのレストランの評価の表し方である。私は1993年から毎年買っていて、今年の1997年版まで5冊たまってしまった。この本は実に恐い本で、ちょっと読み始めると面白くなってついつい1時間、2時間はすぐにたってしまうことになる。ミシュランにはガイドブックとして2種類がある。赤い表紙がホテルとのガイドで、ミドリの表紙がいわゆる観光案内のガイドだ。
 ミシュランについては、あの星はあてにならないという人もいるし、星は覆面の審査員がフランス全土を回って調査し、その歴史の中で不名誉な事件が一度も起きたことがない、とする人もいたり、星についてはいろいろ裏での取引もあるとか様々なことが取りざたされている。が、それは全てミシュランが本当に偉大だからこそ起こることで、ミシュランの権威、信頼性についての土台が少しも揺らぐことはない。

 私自身は本当にミシュランを重宝させてもらっている。来年ブルターニュ、ノルマンディー地方の旅行を考えているが、ミシュランをにらめっこしながらあれこれ考える毎日だ。まずミドリの観光ガイドのほうでどこに行くか目星を立てる。今回は例えば、海に面して城壁に囲まれたサン・マロ。遊ぶならパリ、住むならルーアンとまでいわれているルーアン。その名も“美しい島”というベル・イルなどなど。そしてだいたい行くところが決まったら、赤のほうを出してその近くにおいしいレストランがあるかどうか調べる。本のはじめのほうにフランスの地図がのっていて、それを見ればどこに星がつくほどのおいしいレストランがあるか一目でわかるようになっている。この辺はおいしいレストランがない地域だとか、ここいらは星付きレストランが密集しているところだとかが一目瞭然だ。今回のブルターニュ、ノルマンディー地方でいえば、ブルターニュ半島の南側にはひとつ星レストランのある町が次々と並んでいて、そこのドライブはさぞや楽しいだろうと期待に胸がふくらむ。

 ミシュランの見方は慣れたら至って簡単だ。フランス中の街がアルファベット順に並んでいて、それぞれの街のホテルとレストランが高級な方から並べてある。有名な星というのはレストランに付けられる評価を表したものだが、一つ星から三ツ星まである。よく話題になるのは三ツ星だが、一つ星をもらうだけでも実は大変なことらしい。そこそこの大きさの街でさえ一つ星レストランがひとつもないこともある。ミシュランに載っているだけですごいことなのだ。三ツ星はもちろんすべてがスーパーのはずだ。ただしそこは味の世界、スポーツみたいに誰の目にもAというレストランがBというレストランより優れているということはいえない。だからミシュランの星はあくまでもひとつの目安でしかない。
 ということがわかってこのガイドを使うと、フランスを旅してこんなに有益なことはない。私の場合フランス行きが決まると自分の行く町、パリでいえばホテルがある区にあるレストランで良さそうなところに目星をつける。良さそうなところといってもミシュランにはレストンに関しての説明文はいっさいない。ただ、ホテル名、住所、電話番号、FAX番号、使えるカード、エアコンがあるか、犬をつれていっていいかどうか、休業日、それからフランス料理以外の場合はどこの料理か、内装が凝っている場合にはそのこと(例えばベルエポック時代のブラッスリーとか)、料理の値段(アラカルトでいくらからいくらくらいまで)、が簡潔に書いてあって、星付の場合はシェフの名前とスペシャリテ(名物料理)が加わる。その少ない情報から、どこがおいしくて居心地がよさそうかを探るわけだがスリルある楽しみだ。

 96年の冬にいったときはミシュランですばらしい魚料理の店を見つけた。Marius et JanetteというGeorge V通りにある店だ。このレストラン今までどのガイドでも見たことはなかったが、星もひとつ付いているし店の名前のマリウスさんとジャネットさんはきっと仲良しの夫婦で、温かい料理が食べられそうな雰囲気がして予約した。結果は大正解で、特に牡蛎は他のどこよりもおいしかった。魚のスープ、鯛のグリルなど今思い出しても新鮮な魚のかおり高い絶品だった。値段もけっこう高かった。
 このMarius et Janette、少なくとも私が見た日本のレストランガイドには載っていない。こういうレストランってパリ中、フランス中にはごまんとあるに違いない。
 やはり、ミシュランは偉大だ。

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