◆心の旅◆
(REGARDING HENRY 1991)
巻き込まれた強盗事件、1発の銃弾のせいで、
記憶をいっさい失ってしまった有能な弁護士のヘンリー。
それまでの彼は、仕事はできても、いわゆる人間らしさに欠けた存在でした。
仕事の上でも、家庭生活においても。
でも、自分がどういう人間だったのかも含めて何一つ思い出せなくなってしまった。
そうなったときに初めて、周りの人間の本当の気持ちをしることになるのですね。
勤めていた法律事務所の人間たちは、うわべだけの同情とは裏腹に、
はっきりと彼を見捨ててしまいます。それも、蔑みをもって。
でも、もちろん、そんな奴らだけじゃない。
ヘンリーの妻も娘も、仕事人間で仮面をかぶっていたような夫や父親を大好きなんです。
1度は通っていた心が、遠ざかっていたとしても、まだ、手遅れじゃぁなかった。
彼らは、間に合ううちに、やり直すことができたのです。
ヘンリーの退院の日、彼と娘との会話は、泣けて泣けてしょうがなかった。
そして、妻とも・・・。
それから、ヘンリー家の家政婦の女性。
彼女も、事件前のヘンリーには、かなり不愉快な思いをさせられていたようです。
でも、退院してきた後の彼の変化を受け入れ、思いやりをもって接してくれる。
彼女も、ヘンリーが、本当はイヤな奴なんかじゃないと、
どこかで分かっていたのかもしれません。
新しい人間関係から、ヘンリーを強く支えてくれるのが、看護士のブラッドレー。
特にぐっときたエピソードは、彼が、ヘンリーのリハビリのために、どうしても
声を出せずにいるヘンリーに、声を出させたときのこと。
見ていて、泣き笑いでした。
あんな素晴らしい看護士がリハビリ担当で、本当によかった。
人間って、いろいろなものを抱えているからこそ、優しくなれるのですね。