◆逃亡者◆
(THE FUGITIVE 1993)
妻殺しの、無実の罪を着せられた医師、リチャード・キンブル。
事故を起こした護送中のバスから逃走。
追跡する連邦保安官ジェラードたちの目をかいくぐっての、
妻を殺した真犯人、「片腕の男」探しが始まる。
最近、ノベライズを読んで、よりいっそうこの作品の世界が広がった気がします。
リチャードが、どれほど妻ヘレンを愛しているか。
どれほどの熱意をもって自分の仕事にあたっているか。
さらに、ノベライスでは、追う者サミュエル・ジェラードの内心にまで
踏み込んでくれています。彼が、どの時点からキンブルが妻を殺していない
可能性に思い当たっていたか。そして、それを自分の中で検討しつつも、
そんな自分を叱咤してその可能性を心から締め出そうとしていたか。
なにしろ、彼の仕事は、「事件の真犯人をあげる」ことではなく、
「逃亡したリチャード・キンブルを捕らえて、当初の予定通りの刑務所に
送りこむこと」なのですから。
だから、ダムの上で、「俺は殺していない」というリチャードに、
「知ったことか」と答えたのです。
それにしても、愛する妻を殺された上に、誰も自分が犯人でないことを
信じてくれないとしたら、ものすごく孤独で、絶望してしまいますよね。
何にも置いて依頼人の無実を信じなければならないはずの弁護士さえもが、
自分が有罪であることを前提にしか弁護してくれなかったら、裁判で勝てる
可能性なんて、ほとんどないですし。
でも、リチャードには、彼が人殺しなんてするはずがないと信じてくれる
友人たちがたくさんいました。そして、ジェラードたちの質問にもはっきり
そう答え、彼が助けを求めて来たらかばうと公言してはばからないほどの
友人が。人徳ですね。
でも、リチャードは、そうであるからこそ、彼らに、そんなことはさせたくない。
素晴らしい関係ですね。
だから、リチャードは、孤独に、自分だけで捜査を開始します。
手がかりは、男が義手をしていたこと、ただ1つ。
その男を求めて、彼は動き回る。
その過程で、ジェラードたちとニアミスしながら。
特に好きなのが、リチャードが偶然にも1人の男の子の命を救うエピソードです。
自分のことだけでもせいいっぱいのはずのあの状況で、そういう行動をとれる、
まさに惚れなおした一瞬です。
そして、思いがけない真犯人。
まさか、でした。
大団円の後の、リチャードとジェラードの会話が粋。
こういうジェラードだからこそ、
続編「追跡者」では主役に大抜擢なのでしょうね(笑)
トミー・リー・ジョーンズの名前すら知らずに見たのですが、ストーリーが進むにつれ、
「大好きなハリソンをいじめるヤな奴」(笑)から、だんだん、「渋くて素敵だなぁ」に
私の印象も変っていたのでした。
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