◆蜘蛛女◆
(ROMEO IS BLEEDING 1993年 アメリカ)
監督:ピーター・メダック
脚本:ヒラリー・ヘンキン
出演:ゲイリー・オールドマン、レナ・オリン、アナベラ・シオラ、
ジュリエット・ルイス、ロイ・シャイダー他
何度観ても、やっぱりラストは泣いてしまいます。
はっきり言って、自業自得なのに。
ジャックは、警官。
でも、夢を叶えるための金が欲しさに、マフィアに彼等に不利な証言をする
証人の居所をばらすという悪徳刑事。
おまけに、シェリーなんていう愛人までいて、ほんと、ろくでもない男。
そのくせ、妻のナタリーへの気持ちも本物。
そして、ナタリーも、彼の気持ちに応えています。
そこだけ見ると、本当に素敵な夫婦。
でも、ナタリーは、夫の裏の顔を知りません・・・。
好きな人に秘密を持っているって、とてもツライのにね。
ジャックって、とっても弱い男。
お金の誘惑に負け、証人の居場所を教えても、自ら手を下したわけでないこと、
そして、マフィアの連中が命を奪うのがその証人だけであることを、
自分への免罪符にしてるのね。
たった1本の電話で6万ドルも手に入る誘惑に負けた自分への。
でも、ジャックは分かってないのね。
いつか、それだけではすまなくなる日が来ることを。
それとも、あえて知らん顔して目をつぶっているの?
何か悪いことが起こる前に目標の金額を貯めて手を引こうとでも?
そんなことが、できるわけがないのに。
まず、最初の兆候は、ジャック自身の中に生まれてくるのに。
だんだん、その電話の結果どこかで起こっていることよりも、
その結果手に入るものが大事になってきているでしょう?
気付かないうちに、心はどんどん蝕まれていくのに。
そして、ナタリー、彼女は、何も気付いていなかったでしょうか?
何よりも大事なジャックのことなのに?
具体的なことは分からなくても、何か違うことが分からないわけがないですよね。
でも、聞けない。
怖くて。
ただ、待つしかできなくて。
打ち明けてほしい、でも、聞くのは怖い。
揺れながら、ただ側に。
そんな、微妙なバランスを壊したのがモナ。
美しい殺し屋。
彼女の護送を担当してしまったことで、ジャックの運命は
大きな奔流に飲み込まれることになります。
逮捕され、絶体絶命のはずなのに、婉然とジャックを誘惑するモナ。
すっかりそのペースに乗せられ、どんどん深みにはまっていくジャック。
マフィアからは、彼女を殺すことを強要され、
モナからは、それ以上の報酬で彼等を裏切るよう誘惑される。
ジャックは、もう、すっかり正気を失っています。
彼の頭にあるのは、自らの命を守り、取れるだけの金を手にして逃げること。
最愛の妻の命すら危険にさらして・・・。
モナは、本当に恐ろしい女。
目的のためなら、なんだって犠牲にします。そう、なんだって。
そんな女に、ジャックが敵うわけは・・・。
少なくとも、正面から闘っては。
だから、ジャックは、どんどん堕ちていきます。
でも、怖いのは、それでもジャックが、
どこかで彼女に惹かれているのではないかというところ。
恨み、憎しみながら、その誘惑の手にからめ取られていく。
心ならずも。
そんなことになっても、まだ、約束の日を忘れられないジャック。
自業自得で、でも、あまりにも哀しい。
彼の魂が、救われる日が来ますように・・・。
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