◆アラビアのロレンス[完全版]◆
(LAWRENCE OF ARABIA 1962年 イギリス)
監督:デヴィッド・リーン
原作:T・E・ロレンス
脚本:ロバート・ボルト
出演:ピーター・オトゥール、アレック・ギネス、オマー・シャリフ、
アンソニー・クイン、ジャック・ホーキンス他
軍の中で、その風変わりさゆえにもてあまされていたロレンス。
ピーター・オトゥールの青い目は、本当に魅力的。
そんな彼が、上司を説得し砂漠に向ったのは、アラビア人を救うために、
ベドウィン族のフェイサル王子に会うため。
青い空、白い砂の上を、行く2頭のラクダ。
ロレンスと、ガイドのアラブ人。
この2人の関係がなんとも微笑ましい感じ。
なのに、突如現れたベドウィンの中のハリト族の族長との出会いが・・・。
アラブ人同士でありながら、なぜ、そんなに敵対しなければならないのでしょうか。
同行を勧められた時のロレンスの明快な回答が気持ちよかった。
やがて、フェイサル王子に会ったロレンスの奇策。
誰も思いもつかない砂漠越え、そして、要塞アカバの守りの手薄な背後をつくこと。
砂漠というのは、なんて過酷な世界。
眩しいほどに真っ白い砂。
ぎらぎらの太陽に灼かれ、激しく照り返す熱砂。
じりじりと人を、ラクダをすり減らしていく。
そこは、まさに地獄。
体力がもたず遅れた仲間を、助けに戻る余裕すら奪うほど。
だから、自分の命は自分で守る。
それが砂漠の掟。
でも、ロレンスは、砂漠の民ではありません。
だから、そんな掟は知らない。
どれほど制止されようと、そこまで苦労を共にしてきた仲間を
置いてなんて行けない。
その真っ直ぐさがロレンス。
だから、あの少年たちは、彼についていくのでしょう。
イギリスから来たヒーロー、ロレンスに。
地獄の砂漠越えに同行する中には、ハリト族のアリも含まれています。
アラブ人でないロレンスをあくまでよそ者と思っていたアリですが、
ロレンスと行動を共にするうち、認識を改めていきます。
その証としてアリがロレンスに贈ったもの。
アラブ人として認められたロレンスのはしゃぎよう。
子供みたいで、なんだか微笑ましい思いで見ていました。
ああ、あんなにはしゃいで、本当にアラブ人が好きなんだな、と。
やがて出会ったトルコよりの部族ハウエイタット。
族長アウダにアラブの団結を説くロレンス。
なんて熱い。
でも、アウダの目的は、ロレンスと同じなのかどうか・・・。
そして、アカバ攻撃までの勢いある展開。
ロレンスは、まさにヒーロー。
異国から颯爽と登場し、アラブを救う救世主。
けれど、やはり、アウダの目的は・・・。
そして、一躍新聞の寵児となったロレンス。
ゲリラ戦法で様々なやり方でトルコ軍と闘うロレンス。
鉄道を爆破し、その列車の上で写真におさまるポーズを取るロレンス。
太陽を受け、なんて輝かしいヒーロー。
その活躍の痛快なこと。
けれど、この後、作品のトーンは一転します。
ハウェイタットも目的は、いいえ、彼らだけではありません。
アラブ人の目的は、略奪。
ロレンスをアラブに送り込んだイギリスも、そこから得る利益が目的。
ロレンスが必死になって勝ち取って来たはずのものは、
いったい、なんだったのでしょうか。
まるで、砂上の楼閣。
いろんなことが、ロレンスの思いとは裏腹に動いていきます。
アラブ人になろうとしてなりきれず、祖国であるはずのイギリスからも
冷たい目で見られる虚しさ。
それは、恐らくは、戦争というものが持つ虚しさ。
ロレンスの活躍を描く前半部と違い、後半部は、見ているのも辛いほどでした。
痛くて、痛くて。
戦争で活躍したとしても、英雄譚とはなりえないのでしょう・・・。
(2001.11.4 蠍座)
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