◆異人たちとの夏◆
(1988年 日本)
監督:大林宣彦
原作:山田太一
脚本:市川森一
出演:風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子、名取裕子、永島敏行他
もう、2度とこの世では会えないはずの大事な人。
そういう人と、再び触れ合うことができるとしたら?
何を犠牲にしても惜しくないと思わないでいられるでしょうか?
会いたくて、会いたくて、手の届かない人。
妻とは離婚し、荒んだ生活を送る40男、原田英雄。
馴染みの仕事仲間から、自分の藻と妻への気持ちを聞かされて、さらにすさんでしまう。
きっと、世の中全部が自分を裏切って行くような気分なのだわ。
そんなとき、同じマンションの3階に住む、彼を除いてはたった1人の入居者の女性が、
唐突に部屋のチャイムを鳴らします。
あ、いけない。
自分の心のすさみを、そんなふうに他人にぶつけては・・・。
そんなある日、取材で訪れたゴースト・ステーション。
列車なんて通るはずのない線路に、不意に鳴り響く列車の音。
それは、前兆。
音の幽霊がもたらした前兆。
だって、その日、英雄は、生まれ育った町を何気なく訪れ、そこで、
すでにこの世にいないはずの父に再会するのですから。
この辺の展開は、さすが大林監督。
一昔も、二昔も前の風景の中で、両親と幸せな時間を過ごす英雄。
手でハンドルを回して作るアイスクリーム、クーラーも扇風機もない部屋。
キャッチボール。
英雄が、両親が、幸せであればあるだけ、切なくて、苦しくて。
だって、いくら、生きているとしか思えなくても、英雄の両親は、この世の者では
ないのです。彼らは、彼岸に住む者たち。
すでに、その影響は、英雄に出ています。
この辺、英雄の恋人と、鏡を使ったほんの一瞬の見せ方。
すっかりあからさまにしない分だけ、不気味で恐ろしかった。
実際、こういう話に、あまりにグロテスクな描写は似合いませんね。
チラリズム。
だから、終盤のアレは、やりすぎだったと思います。
それだけが、残念。
ものすごく好きなお話だけに。
昔かたぎの寿司職人の父、片岡鶴太郎が、すごくはまってた。
他も、もちろん、悪くなかったけど、彼が1番ぴったり。
英雄と桂のエピソードもせつない。
暗闇の中でだけ愛し合う女。
その胸のうちを思うと・・・。
誰だって、1人ぼっちは寂しいもの。
1人がやりきれないときがあるもの。
それを、受けとめてくれる人があることは、とても幸せなこと。
(2000.10.22 スガイ・ディノスシネマ)
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