◆あなたが見えなくても◆
(AT FIRST SIGHT 1998年 アメリカ)


監督:アーウィン・ウィンクラー
原作:オリヴァー・サックス
脚本:スティーヴ・レヴィット、アーウィン・ウィンクラー、ロブ・コーワン
出演:ヴァル・キルマー、ミラ・ソルヴィノ、ケリー・マクギリス、
   スティーヴン・ウェバー、ブルース・デイヴィソン、ネイサン・レイン他


見えないっていうのは、ものすごいハンデですよね。
でも、視力があるということが、イコールものが見えているというわけでは
決してないんですね。

バージャルは、手術をして、視力を得たけれど、逆に、いろんなものが
見えなくなってしまいます。
盲目であったときには見えていたはずの、恋に落ちた女性の姿さえも見失って。

でも、それは、バージャルだけではなかったはず。
彼の目が見えるようになったときに、その戸惑いや不安や、いろんなものを
上手く感じ取ることができなくて、彼を見失ったのは、彼女も同じ。

そんなときには、ささやかな行き違いが大きな齟齬となって帰ってきてしまう。
そんなつもりじゃなかった結果を引き起こして。

バージャルの目が見えなかったときの2人は、とても素敵でした。
思いやりと愛情と。いろんな温かい感情が感じられて。

でも、バージャルの目が見えるようになって、彼女の方に少し気配りが足りなく
なったみたいと言ったら酷なのでしょうか。「バージャルはもう目が見えるから」
このぐらいは、という気持ちがなかったとは言えないでしょう。
そして、そういう気持ちって、どういうわけか、相手にしっかり伝わってしまう
ものなのですよね。

そして、バージャルが抱える悩みは、それだけではなくって、かつて
自分を捨てた親のこと。
子供にとって、親に捨てられるというのは、自分自身を否定されるようなもの。
前に進むためには、そのことについても、決着をつけておきたい。
その思い、痛いほど伝わってきました。
それが、傷つくだけの結果しか生まなくても、人間には、
避けて通れないところが必ずあるはずだから・・・。

なんだか、今、ふっと思ったのは、「アルジャーノンに花束を」に、似たところが
あるのですねぇ、この話。
主人公の抱えるハンデを視力にして、恋愛映画にすると、こういう感じになるのね、
と思ってしまった。

後に残るのは、別の感情なのだけれど。


映画Topへ
Topへ