◆イースト/ウェスト・遥かなる祖国◆
(EST-OUEST 1998年 フランス・ロシア・スペイン・ブルガリア)


監督:レジス・ヴァルニエ
脚本:ルスタム・イブラギムベコフ他
出演:サンドリーヌ・ボレーヌ、オレグ・メシンコフ、
   セルゲイ・ボドロフ・Jr.、カトリーヌ・ドヌーブ他


かつて亡命した国民に特赦を与えるという嘘を信じて
故国に戻ったアレクセイ。
一緒に戻った妻はフランス人。
赦すからと言っておいて、甘い餌で呼び戻し、処刑したり、
収容所に送り込むなんて、なんておぞましいやり方。
政府が、そんな卑怯な真似をするなんて!
そんなことが、実際に行われていたなんて。

アレクセイの妻マリーは、外国人であるゆえに受けるひどい扱い。
アパートの住人に、侮辱をされたり。
しかも、そのアパートだって、アパートというよりは
あばら家で、それでも、住むところがあるだけましという状態。
それすらも、アレクセイが腕のいい医師であるから、
塀の外で生きていられるというだけのこと。
母国語フランス語を話すことすら、罪とみなされるような国。

逃げ出したい。
フランスに帰りたい。
どれほどそれを願ったことでしょう。
なのに、アレクセイは・・・。
小さな町の工場のお抱え医師の職を与えられ、
状況を打開しようという努力すらしてくれない。
それは、マリーにとって、どれほどひどい、絶望的な
裏切りに見えたことでしょう。

そんな中、アパートの管理人であった老婦人の孫サーシャの
存在が、マリーの支えになっていきます。
フランスに、自由の国に憧れる、まっすぐな瞳の青年。
あの老婦人とマリーの関係が暖かくて素敵だっただけに、
彼女に待ち受ける運命がいっそう悲惨に見えました。
サーシャが国を脱出する唯一の手段は、水泳。
水泳の代表選手になること。
それは、祖母の悲願でもありました。
サーシャの所属するチームのコーチが、とても理解のある
素晴らしいコーチなのも嬉しかった。
単なるいい人、だけでなく、複雑に、
いろんなものを抱えた大人の男。

そんな日々の中、やっと射した一筋の光。
故国からやってきた大女優ガブリエル。
カトリーヌ・ドヌーブの美しい風格ある姿には、
ため息が出るほど。
マリーの必死の訴えに耳を貸し、
危険を冒して力を貸してくれた唯一の存在。

ラスト、かすかに見えたアレクセイの表情に、
涙があふれました。
あまりにも、深い思いに、、、

(2002.1.16 シネスイッチ札幌)


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