◆OUT◆
(2002年 日本)


─ THE ORIGINAL BOOK ──────────────────────

『OUT』
 作者:桐野夏生
 出版:講談社文庫

─ STAFF&CAST ───────────────────────────

 監督: 平山秀幸
 脚本: 鄭義信
 出演: 原田美枝子、賠償美津子、室井滋、西田尚美、香川照之他

─ COMMENT ─────────────────────────────


弁当工場の夜勤をする4人の女たち。
雅子、ヨシエ、邦子、弥生
それぞれに、悩みを抱えて、でも、そんな日常から抜け出せずに。

でも、心は、だんだん、危険水域に近付いていく。

そして、それは、ある時、爆発します。
弥生の夫殺し、という形で。

無我夢中で夫の首を絞め、我に返った弥生が真っ先に
頼ったのは、雅子。
大きなお腹を抱えた弥生は、
刑務所になんて入るわけにはいかないと
雅子に泣きついたのです。

そうして、死体を雅子の車に隠した後、
彼女は、頭にくるぐらい、事態の重大さを
理解していないかのように振舞います。
人1人、殺したことの意味を、感じていないみたいに。
緊迫感、緊張感、まるでなし(^^;
死体処理を雅子におまかせしちゃう時の、
あの電話の様子ったら(^^;

結局のところ、そんな弥生の頼みを聞き入れてしまう雅子。
仲間内で「師匠」と呼ばれているヨシエを巻き込んで。

原作を読んだ時、予告編やチラシで、ヨシエは賠償美津子って
分かっていたのですが、彼女が雅子っていうのも、
すごく合ってそうな気がしてました。
実際に、見て、原田美枝子もいいなぁと、思いましたけど。
2人の、ああいう位置関係、うまく出ていた気がして。
室井滋の邦子も、もう、ぴったり。
原作読む時も、かなり、彼女を浮かべながら読みました。
西田尚美の、人1人、殺したとは思えない、
とろっとした雰囲気も○。

香川照之の、弱小街金の社長(でも、社員なんていないみたい)も、
いかにも、小物のちんぴらって感じでナイス。
残念なのは、原作でものすごく好きだった、佐竹のキャラの変更。
女を殺して刑務所に入った過去を持つ、
心に深い闇を持った男。
繰り返される、その殺しのシーン。
間寛平は好きですが、イメージが違いすぎて。
あの、深い闇を持たず、裸一貫から築き上げた全て、
弥生の夫殺しの容疑者にされたことで失った、
深い怒りも抜け落ちて、ただの、カジノのオーナーが、
巻き込まれた腹いせにやってきただけのようで。
あの、原作での危険な感じも、雅子との間に起こった、
一触即発、危険な空気も抜け落ちてしまうなんて。

でも、香川照之の一文字と雅子の関係は、○。

4人の女たちの家庭環境は、ほぼ、原作を
なぞっています。
大きな違いは、弥生が、まだ母親ではなく、
大きなお腹を抱えているところだということ。
それが、クライマックスに生きてくるあたり、
なかなかうまい設定変更だと思います。

1つの事件をきっかけに、行き止まりの日常から
脱出しようと闘う女たち。
ヨシエの語るオーロラの夢は、美しくもせつなくて。

原作と同じところからスタートしながらも、
佐竹の登場のあたりから、原作とはまったく違う
道を進み始めるストーリー。

傷みをはらみながらも、ある意味、
爽快なラストでした。

(2002.10.20 札幌劇場)


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