◆13F◆
(THE THIRTEENTH FLOOR 1999年 アメリカ)
― THE ORIGINAL BOOK
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『模造世界』(SIMULACRON-3)
作者:ダニエル・F・ガロイ
訳者:中村融
出版:2000年 創元SF文庫ISBN4-488-71301-7
― STAFF & CAST
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監督:ジョゼフ・ラスナック
脚本:ローランド・エメリッヒ、ジョゼフ・ラスナック他
出演:クレイグ・ビアーコ、グレッチェン・モル、ビンセント・ドノフリオ
アーミン・シュラー=スタート他
― SUMMARY
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コンピューター・ソフトを開発しているダグラス・ホールは、相棒のハノン・
フラーと共に仮想現実を生み出し、コンピューターの中に、1937年のロサン
ジェルスを再現した。そんなある日、フラーが何者かに殺害され、
ダグは容疑者にされてしまう。しかも、事件の夜の記憶のないダグの部屋には
血痕のついた衣服が。フラーが、仮想現実の世界で彼に残したはずの手紙には、
一体、何が書かれていたのか?
― COMMENT
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冒頭、1937年の仮想世界にいるフラーのシーンから始まります。古きよき時代。
ホテルの部屋を出て、バーでバーテンに手紙を託すフラー。
この風景が、ものすごくフラーの雰囲気にあっていたので、彼が、「現実の」
世界に戻ったとき、いったい、どっちが「本物」の世界なのか、
戸惑ってしまいました(笑)
それを理解したのが、フラーが殺害され、容疑者とされたダグが、会社で、
同僚のホイットニーと話をしているシーンの後だというのは、
我ながら察しが悪い(苦笑)
でも、その世界観を理解した後は、見事にその世界にはまってしまいました。
コンピューターの中に生み出された1937年のロサンジェルス。
その世界にいるバーテンのアシュトンと、ホイットニー。同一人物には、
見えませんでした。髪型も表情もまるで違うんですもん。
そして、独自にフラーの事件を調査しようとするダグの前に現れた、
フラーの娘と名乗るジェーン。
でも、当のフラーから、娘の存在を聞いたことがないのですから、
ダグが戸惑うのも当然ですね。
でも、美しいジェーンに、徐々に心惹かれて行くのです。
どこかで出会ったことがあるような、おぼろげな、不思議な記憶に導かれるように。
ダグは、フラーの1937年での行動に事件の謎を解く鍵があると感じて、
自らも、同僚のホイットニーの協力を得て、1937年の世界に投影された
仮想空間での自分の意識に入り込み調査を進めます。
このとき、1937年の世界がかすかにセピアがかっているのが、
懐かしい感じでよかったです。
けれど、調査が進むにつれて、ダグにも危機が迫ってきます。
果たしてジェーンは敵か味方か?
ダニエル・F・ガロイの『模造世界』が原作とはいっても、
物語は、かなり変更が加えられています。コンピューターの中の仮想現実と、
自らの世界の交錯。
ジェーンとダグの間の心の交流。共通点は、このぐらいでしょうか。
原作では、単なる殺人事件の捜査の他に、その「仮想現実」を生み出すシステム、
シミュラクロンを、自らの利益(経済的・政治的)に利用しようとするシスキンと
いう男とのせめぎあい。シスキンの送りこんだドロシーからの誘惑。
その他、目の前で、実際に男が消えた場面を目撃してしまったダグの動揺。
なにしろ、その消えた男の存在自体を、自分以外の誰もが忘れてしまっている
事実に行き当たった衝撃。
それから、ジェーン。彼女にいたっては、名前まで違っています。
そして、その存在は、ある意味で原作と映画とでは、
正反対と言ってもいいかもしれません。
なにしろ、ダグの一人称で書かれていますから、彼の内心の揺れがストレート
に物語に反映されて、この人、本当に神経症じゃないんでしょうね?とまで感
じるシーンもありました。
だけど、それでも、物語の終りに待っている後味は、同質のものです。
それでも、強いてどちらかと言うと、ラスト・シーンは、映画の方が私の好みでした。
でも、総合得点では、小説の方がぐんと面白いのではないかな、と。
それにしても、今の、この世界が現実であるという確信って、どこに持てばい
いのでしょうね。ダグたちが生み出した世界の住人、みんな、自分たちが電子
の流れに過ぎないなんて、思ってもいなかったでしょうに。
これは、もう、信じるしかないですよね。自分自身を、自分の感覚を。