◆ターン◆
(2001年 日本)
─ THE ORIGINAL BOOK ──────────────────────
『ターン』(ISBN4-10-1373220-1)
作者:北村薫
出版:新潮文庫
─ STAFF&CAST ───────────────────────────
監督:平山秀幸
脚色:村上修
出演:牧瀬里穂、中村勘太郎、賠償美津子、柄本明他
─ COMMENT ─────────────────────────────
交通事故にあった瞬間、前日の同じ時間に戻ってしまった真希。
たった1人、同じ1日だけを繰返すことになってしまうなんて。
果てしなく繰返される同じ1日。
誰もいない。
何をしても、ある時間になると前日の同じ時間に戻されて、
すべて白紙に戻されてしまうなんて。
そんな1日が、いつ終るとも分からないなんて、
恐ろしいほどの孤独、絶望。
自分以外、何も変わらない。
自然すらも。
そんな中、少しでも前向きに行こうとする真希。
牧瀬里穂は、そんな真希にぴったりでした。
ショートヘアに快活そうな笑顔。
誰もいなくなった街。
帰ってくるはずのない母親を待つ時の姿。
必死で戸締まりをして、でも、母親がいつ帰ってきてもいいように
準備するその表情。
自分の置かれた状況を薄々察しながらも、それに目をつぶろうとして、
でも、認めざるを得なくなってしまう。
版画家真希のピュアな感じが、牧瀬里穂にぴったり。
ただ、ちょっと難を言うと、彼女のしゃべりがちょっと幼い感じがして、
真希のイメージには、ちょっと幼いような印象があったこと。
それ以外は、本当にぴったり。
1人芝居の長いこの作品で、あれだけの雰囲気を見せてくれるのは、
彼女の力量なのでしょうね。
彼女が、事故の前図書館に行って、空缶をちゃんと捨てるところ、
とても好きなシーンです。
図書館で借りていた本が花の図鑑というのも、なんだかいい感じ。
何もかもが元に戻ってしまう中、せめて繰返しているその日の数を
把握しておこうとするのは、痛々しい気がしました。
それは、だって、数字が大きくなれば、逆に自分を追い詰めることにも
なりかねない諸刃の剣でもあるわけで・・・。
あの「初めての雨の日」は、驚きました。
だって、天候だって、変わるはずはないのですから。
この辺、原作をすっかり忘れていて、よかったのか悪かったのか(^^;
やがて、元の世界と彼女をつなぐ1本の電話のベルが響きます。
なぜか、なんて分からない。
でも、それは、真希にとって、文字通り命綱。
彼女と現実をつなぐ1本の、細い、細い糸。
なぜ、その電話の先にいた洋平は、真希の望み通り、その電話を切らずに
いてくれたのか。
つながり合ったのは、きっと、心と心。
2人が話題にする「木」
映画と原作ではちょっと違いますが「木」ということが大切。
きっと、そう。
真希が、洋平に伝えた「自分と母親しか知らないこと」の内容、
映画と原作とでは微妙に違って、どちらも微笑ましいエピソード。
原作に出てくる(と言っても、真希の記憶の中にだけですが)
真希の父親のことは、映画ではほとんど姿を消しているので、
それでああいう話になったのでしょうね。
そう、真希の母親の仕事も、違っています。
映画では、学校の先生という仕事がうまく活かされていて好きです。
サモア島の歌。
賠償美津子って、スーパーの保安員より、先生っていう雰囲気ですし。
それにしても、柄本明って、あいかわらずいい味出してます。
洋平に仕事を回している雑誌の編集長(たぶん)
「だから30歳前の人間は」って口癖が、みょうにはまっていて
おっかしいの。
真希と洋平。
会えない2人が、それぞれの世界で相手を見付けるシーン。
ものすごく素敵。
そして、そこからいろんなことが、変わり始める。
「くるりん」は、「くるりん」でなくなって。
人の心って、素晴らしい。
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