◆シンプル・プラン◆
(A SIMPLE PLAN 1998年 アメリカ)

― THE ORIGINAL BOOK ――――――――――――――――――――――――

 『シンプル・プラン』(A SIMPLE PLAN)
 作者:スコット・スミス
 訳者:近藤純夫
 出版:1994年 扶桑社ミステリーISBN4-594-01356-2

― STAFF & CAST ―――――――――――――――――――――――――――

 監督:サム・ライミト
 脚本:スコット・スミス
 出演:ビル・パクストン、ビリー・ボブ・ソーントン、ブリジッド・フォンダ
    ブレント・ブリスコー
 
― SUMMARY ―――――――――――――――――――――――――――――

ハンク、ジェイコブ、ルーの3人は、大晦日の墓参りの途中、偶然にも、墜落
した飛行機の中の使用済みの札束440万ドル分を発見する。操縦していた人
間は死亡しており、誰も知ることのないその金を自分たちのものにという考え
が3人の心に浮かぶ。最初のうちは、1番まともに、それを届け出ようと主張
したハンクの心も、次第に大金を手にするという誘惑に蝕まれていく。そして、
ハンクが、その金について妻のサラに話したときから、全ては、とんでもない
方向に動き始めるのだった。

― COMMENT ―――――――――――――――――――――――――――――

最初、それは、とても簡単なことに思えました。誰も知らない大金を、こっそ
り手元に隠しておいて、そのお金を探している人間がいないようであれば、3
人で山分けする、それだけのこと。

ハンクの妻、サラの、「大金を拾ったら」のたとえ話が、たとえでなく現実のも
のであると知ったときの豹変ぶりは見事でした。たとえ話であれば、モラルが
大切。だけど、実際に、その大金が手元にあるならば、警察や他の人に知られ
ないようあらゆる手を打つ必要があるという具合に。

だけど、哀しいことに、そんな計画は、やはり、思った通りには進まないので
す。何しろ、彼らは「普通の人」たち。飛行機の墜落現場に戻って、細工をし
た方がいいということになります。後で、現場に戻ったことを知られて疑われ
ないために、兄のジェイコブを巻き込んで。

そうして、現場に戻ったりしたために、小さな単純な計画。「大金を見つけた
ことを黙っておいて、ほとぼりがさめた頃に山分けする」は、大きな転落への
第1歩となってしまうのです。そのとき出会ったドワイトに、ジェイコブが、
うまい言い訳をとっさに思いつかなかったことが、さらに事態を深刻化させま
す。もう、後は、嘘を、犯罪を隠すために、嘘に嘘を重ねるしかないのです。
そうなると怖いのはむしろ、金銭にだらしないルーのような人間よりも、身重
でもあり、「今よりも少しいい生活」を望むサラや、ハンクのような人間。

彼らにとって、ルーは、秘密をもらす危険のある人物になっていきます。
それは、ハンクをしてジェイコブに、「ルーと俺とどちらにつくんだ?」との
決断を迫らせます。
ルーはルーで、慎重居士のハンクを小ばかにし、早く分け前をよこせとせがみ
続けます。
そんな3人が、胸に一物抱えて一緒に飲んだ後の「告白ゲーム」
事態はさらに紛糾していきます。

そんなにまでして守りたい、やっと手にした大金なのに、ことは、そう簡単に
はいきませんでした。人生というのは、本当に皮肉なものです。

それにしても、なんとも物悲しかったのは、ジェイコブの、農場への思い入れ。
そして、ハンクに語った過去の恋のいきさつ。
うちに秘めた悲しみが、胸にじんとしみてきました。

ジェイコブについては、映画と原作とで、ものすごく大きな違いがあります。
その違いによって、ジェイコブの性格も、ハンクの性格も、ものすごく違った
印象を見る側に与えます。映画のジェイコブの方が、とても悲しい・・・。

そして、コトの起こる順番が違っているために、ハンクは、小説では、映画よ
りも、もっと大きく人格が崩壊していきます。だんだん、抑えがきかなくなる
感じ。人間の弱さを、まざまざと見せつけられる気がしました。

不当な手段で手にしたものであっても、いったん、手にしてしまうと、もとも
と自分のものであるかのように錯覚してしまう。恐ろしいことです。

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