◆サウンド・オブ・サイレンス◆
(DON'T SAY A WORD 2001年 アメリカ)


─ THE ORIGINAL BOOK ──────────────────────

『秘密の友人』(ISBN4-04-266801-1)
 作者:アンドリュー・クラヴァン
 訳者:羽田詩津子
 出版:角川文庫

─ STAFF&CAST ───────────────────────────

 監督:ゲイリー・フレダー
 脚本:アンソニー・ペッカム、パトリック・スミス・ケリー
 出演:マイケル・ダグラス、ショーン・ビーン、ブリタニー・マーフィ、
    スカイ・マッコール=バートシアク、ファムケ・ヤンセン他


─ COMMENT ─────────────────────────────


ある少女から数字を聞き出すために、彼女の精神科医の娘を誘拐する。
その設定こそ利用しているものの、それ以外は、かなりの部分、
変更が加えられていました。
それは、どちらがいいということでなく、
「静」の小説、「動」の映画。
映画と小説というのが、メディアがまるで違う以上、
今回の、この変更は、成功だと思います。

まず、大きな変更は、エリザベスが精神病院に収容される
きっかけとなった事件。
エリザベスの「秘密の友人」を、映画では、すっぽりと
消してしまったこと。
そして、焦点を、ドクター・コンラッドの娘の誘拐に
しぼったことは、大正解だったと思います。
エリザベスが、本当は、精神を病んでいるのではなく、
執拗に追ってくる悪人たちへの恐怖から、避難場所として
精神病院に入ったのです。
彼女が、コスターたちに追われる原因、
犯人たちが聞き出そうとするその数字の意味も、
原作と比べて、はるかに分かりやすくなっています。

キャラクターが大きく違っているのは、犯人のコスター。
原作では、彼は、魅力的な好青年。
その彼を、悪人をやらせたら天下一品?のショーン・ビーン。
あの雰囲気は、少女を追い詰める恐怖の象徴。

ちょっとがっかりしたのが、犯人たちが、ネイサンのアパートを
見張るために行なった冒頭の殺人がカットされたこと。
そして、ネイサンの部屋を、<本当に>カメラで
見張っていたこと。
あれは、本当は、中庭をはさんで真正面の部屋から覗いているだけで
その監視には限界があるのに、カメラとマイクがあるぞ、と脅して、
何をやってもお見通しだぞという恐怖を与えるところに
意味があるのに。
そして、それゆえに、原作のダヌンチオ刑事とアガサの初対面の
シーンの緊張感が薄れていたような。

でも、あのダヌンチオ刑事のキャラは、ちょっと、映画にはきついので、
若い女性刑事に変更になっていたのは、大歓迎かな。
とても有能な、サンドラ刑事。
一見、何の関係もなさそうな事件を追ううちに、
ネイサンの娘の誘拐事件に関わってきます。
どこで、どうやって関わってくるのか、興味津々でした。

ネイサンの妻、アガサが、足を骨折しているというのも、
いやがうえにも緊張感を高めます。
いつ、どうやって、襲ってくるか分からない敵。
ベッドに寝たきりの状態で、どうやって身を守るのか。
そんな体でも、娘のために必死で戦う母親というのは、
ある種の美しさをたたえていますね。

また、誘拐されるジェシーの年齢をあげることで、
ジェシー自身も、ただ、両親と引き離され、監禁されて
なすすべもない幼女ではなく、犯人と戦おうとする意思を
持つことができるようになっていたのも成功でしょう。

迫るタイムリミットに追われながらも、
エリザベスの心の闇に迫ることで、犯人たちの要求する数字を
聞き出そうとするネイサン。
それが、エリザベスのためでもあるから。
エリザベスが、ジェシカのおもちゃたちに示す反応が、
なんだか、痛々しい。

そして、クライマックスの、ネイサンとコスターの対決。
あの迫力は、映像ならでは。
息詰まるような緊張感。

原作の頭脳戦の部分を大幅に省略して、
上手に料理してくれたと思います。

(2002.5.25 パラマウント・ユニバーサル・シネマ11)


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