◆レッド・オクトーバーを追え!◆
(THE HUNT FOR RED OCTOBER 1990年 アメリカ)

― THE ORIGINAL BOOK ――――――――――――――――――――――――

 『レッド・オクトーバーを追え』
 作者:トム・クランシー
 訳者:井坂清
 出版:1985年 文春文庫 上巻ISBN4-16-727551-1、下巻ISBN4-16-727552-X)

― STAFF & CAST ―――――――――――――――――――――――――――

 監督:ジョン・マクティアナン
 脚本:ラリー・ファーガソン、ドナルド・スチュワート
 出演:ショーン・コネリー、アレック・ボールドウィン、サム・ニール他
 
― SUMMARY ―――――――――――――――――――――――――――――

ある日、突如として大西洋にロシアの最新技術を集めた原子力潜水艦が現われた。
亡命を望んでいるラミウス艦長らの行動をめぐって、米ソ両陣営で、息詰まる
駆け引きが始まった。

― COMMENT ―――――――――――――――――――――――――――――

「今、そこにある危機」、「パトリオット・ゲーム」と引き続いて映画化された
ジャック・ライアン・シリーズの第1作目。
映画も何度も観ているのに、どうしても、ジャック・ライアンは、
ハリソン・フォードのイメージになってしまう(笑)
なので、決して、アレック・ボールドウィンに恨みがあるわけでもないですが、
映画でのジャックに、何か違和感があったりして(笑)
それと、驚いたのは、このお話、時系列的には、『パトリオット・ゲーム』の
後のお話だということ。なんの根拠もなく、映画化された順番が、執筆順であり、
物語の中の時間の流れとも一致していると思い込んでいたもので。

ロシアの最新技術を使って、エンジンの音がとても低く、ソナーでも探知が難しい
レッド・オクトーバー。
その艦ごと、亡命を求めてアメリカに向ったラミウス艦長と、同朋の士官たち。
もちろん、ロシアが、それを、やすやすとさせるわけがありません。
様々な策略で、それを阻止しようとします。

一方、アメリカ側。
ひょんなことから、レッド・オクトーバーの動きを知ったジャック・ライアンは、
それを、亡命のためだと、見事に読みきります。
小説では、2人は一面識もなく、ジャックは、データからのみその結論に
達しますが、映画では、ラミウスの人柄への大きな信頼が、その結論への
大きな要因になっており、この方が、私の好みです。

ラミウスが、亡命を決意したその裏にある、亡き妻への想い・・・。
その死の原因に対するいきどころのない怒りと悲しみ。
このへんの経緯は、映画では、それほど触れられていないのですが、
ロシアの内情にまで踏み込んで描かれたその真実に、
ラミウスの痛みが伝わってきました。
(もちろん、映画としての、という形容詞はつきますけど)

そして、彼に同調して亡命を決意した士官たちの思い。
特に、映画でのボロジンのモンタナへの憧れ。
あのセリフには、泣けました。
ロシアの人には、それほどまでに、自由の国への憧れがあるのでしょうか・・・。
その実情を知らずに、何を言うこともできませんが・・・。

原作を読むと、両国間の情報合戦は、本当に凄まじい。
スパイを送り込んだり、それを、二重スパイとして逆に取り込んだり、
壮絶な諜報戦争に、ページを繰るのももどかしいほどでした。
ライアンが、意に反してその、情報戦の真っ只中に放り込まれる展開も、
うまく脚色されていました。
映画ならではの派手さがあって、かっこよかったです。

原作で、触れられているエピソードが、形を変えて映画で活かされいたりと、
両方を知っていると分かる楽しみもいろいろありました。

原作での、アメリカ側ソナー員のジョーンズと、ロシアの士官との交流が、
とても好きなシーンなので、映画でも、もう少し取り入れてもらえていると、
よかったかなぁ、と思います。

それにしても、海の底という閉ざされた世界の中で、限られた情報から、
適格な行動をとるというのは、ものすごい精神力が必要ですよね。
そして、その域に達した者同士には、そういう者同士にしか伝わらない
何かが、きっとあるのでしょうね。
アメリカでも、ロシアでも、同じ、潜水艦乗りとしての共感のような者。
それが、優秀なアナリストである、ライアンにも、
やはり、備わっているのだと感じました。

そんな、スリリングな展開の中でほっとするシーン。
冒頭の、ライアンと、娘の会話。
そして、最後のライアンのあのお姿!
緊張の連続の後で、ああいうシーンを見ると、本当に嬉しくなります。

ああ、でも、やっぱり、ハリソン・フォードとショーン・コネリーの共演で、
この作品も観てみたかったかな(笑)
そして、原作のジャック・ライアン・シリーズの、次なる映画化を心から
望みます。


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