◆リバー・ランズ・スルー・イット◆
(A RIVER RUNS THROUGH IT 1993米)
原作:『マクリーンの川』ノーマン・マクリーン
監督:ロバート・レッドフォード
出演:クレイグ・シェーファー、ブラッド・ピット、エミリー・ロイド
ノーマンとポールは、モンタナのブラックフット川の近くで、牧師で、フライ
フィッシングの名人である父と、優しい母親と暮らしていた。美しい自然の中で、
2人は、父親から、釣りを含めて様々なことを教わりながら大きくなった。
原作の著者ノーマン・マクリーンの自伝的物語。
ロバート・レッドフォードは、モンタナという土地に、とても愛着を持っているの
でしょうね。去年、公開された監督・主演作品の「モンタナの風に抱かれて」でも、
モンタナの自然の美しさを、見事に映して見せてくれていました。
ただ、ちょっと違うのは、この「リバー・ランズ・スルー・イット」では、その
持つ力強さを中心に描いていたのに対し、「モンタナの風に抱かれて」では、
むしろ、優しさ、癒しの力を中心に据えていたように見えるところでしょうか。
この作品の中心に据えられた1つに、「フライ・フィッシング」の美しさが
あります。残念ながら、私は、釣りを知りません。でも、文章で、映像で、
語られる、その美しさは、そんな私にも、充分に伝わってきました。
光りを受ける川の水の輝き、しなる釣竿に、流れるようにしなやかな糸の
美しい動き。
そして、はねる魚の生命力あふれる美しさ。
糸を引いたり弛めたりの魚との駆引き
親子3人での釣り。釣果の大きさを競う兄弟に、だんとつに大きい自分の獲物を
示す父親の姿。これほど微笑ましいものがあるでしょうか。
フィッシングのボートでの滝下りを目論むポールの、やんちゃな少年の表情が
すごく好きなんです。激流を、櫂を見事に操りながら下っていく姿。
惚れ惚れします。
ポールは、どこか崩れた風を装っているけれども、本当は繊細で、でも、
兄ノーマンのような堅実な生き方はできず、そして、ときおり、ほんの一瞬、
そのことに傷付いている表情を見せるので、なんだか、胸が痛んで
たまりませんでした。特に、終盤、ロロを出ての兄ノーマンとのやりとりは・・・。
けれども、そういうポールであるからこそ、父よりも、兄よりも美しく、
フィッシングをすることができたのかもしれないとも思うのです。
原作では、ノーマンと、妻ジェシーのロマンスには、ほとんど触れられず、
登場してきたジェシーは、すでに「ノーマンの妻」でした。でも、私は、映画で
語られる、2人のエピソードがとても好きです。パーティでの出会いから、
ジェシーの兄ニールの巻き起こしたトラブル。そして、素晴らしいのが、
そのトラブルの後の2人のドライブですね。ジェシーのキャラクターがよく
表れていて、楽しいエピソードです。
ロマンスといえば、ポールとインディアンの娘との関係も、好感が持てました。
ある店で入店を断られたのに、強引に一緒に入ったり、その店で彼女と
素晴らしいダンスを披露してくれたり。なんとも、かっこいいカップルでした。
そういう、世間一般の偏見を超越した感情って、いいな、と思います。
心が柔らかいのでしょうね。
心が洗われるような1本でした。
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