◆リプリー◆
(THE TALENTED MR.REPLEY 1999年 アメリカ)
― THE ORIGINAL BOOK
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『太陽がいっぱい』(THE TALENTED MR.REPLY)
作者:パトリシア・ハイスミス
訳者:佐宗鈴夫
出版:1993年 河出文庫 ISBN4-309-46125-5)
― STAFF & CAST
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監督:アンソニー・ミンゲラ
脚本:アンソニー・ミンゲラ
出演:マット・デイモン、ジュード・ロウ、
グウィネス・パルトロウ、ケイト・ブランシェット他
― SUMMARY
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トム・リプリーは、富豪のグリーンリーフ氏から、イタリアにいる息子の
ディッキーを連れ戻してほしいとの依頼を受ける。
イタリアでディッキーと会ったトムは、奔放な彼の魅力に惹かれるが、
やがて楽しい時間は終り、あしざまにののしられたことに逆上したトムは、
ディッキーを殺してしまう。
それが悪夢の始まりだった。
― COMMENT
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貧しく、どちらかというと地味で大人しい性格のトムは、太陽のように自由で
明るいディッキーに惹かれます。最初のうちは、新しい遊び相手であるトムに
親切にし、陽気に振舞っていたディッキーですが、所詮、それも金持ちの
ぼんぼんの気まぐれ。すぐに飽きて冷たくなってしまうのです。
この辺までは、実に原作に忠実です。
ディッキーの恋人マージが、ものを書く仕事をしていることも、
トムが、グリーンリーフ氏から受け取った経費を、冷蔵庫の購入にあててしまう
ところまで。
ただ、空港でトムが偶然、アメリカの令嬢メレディスと知合うところが、
原作にはない展開でしたけど。
そうそう、それからもう1人。原作にいない登場人物といえば、
ディッキーの、イタリア人の愛人シルヴァーナの存在があります。
その存在は、最初、ディッキーがマージに本気でないことを示すためなのだと
思っていましたが、この後、彼女の存在が、大きくクローズアップされてくるのです。
私は、てっきり、<彼>がやったのかと思ってしまいましたし。
トムとマージの関係も、かなり原作に近く描かれています。
マージは、一見トムに親切に見えますが、こっそりディッキーに、
「彼をいつまでここに置くのか」というような質問をしたり、
トムに、わざわざ、ディッキーは、もうあなたに飽きたのよ、というような
ことを言うのですから。
ただ、それに対するトムの反応が原作とは違っていて、原作のようには、
トムは、彼女への反感を示すことをしません。
その分、憧れのディッキーの仕打ちへの反発が、内向していくようでした。
そして、来るべき悲劇。
ディッキーは、自分とは住む世界が違うトムと、最初からまともに付合う気なんて
なかったことをまくしたてます。
残酷な仕打ち。
この頃には、トムのディッキーへ気持ちは、友情を越えてもっと深いものになって
いたのです。そういう相手から思いきり罵倒されて、逆上しないわけがないのです。
そこに、凶器となるオールがあったのが、2人にとっての悲劇でした。
トムは、ディッキーになりすまして生きることを決意します。
これは、罪を隠すためでもあったでしょうが、憧れていたディッキーの
フリをして生きることで、よりいっそう彼を感じていたいという思いが
あるのでしょうね。
完全犯罪を企むにしては、あまりにも無防備に見えました。
ここも、原作のトムとは違うところです。
隠さなければならないのは、「ディッキー」として振舞う自分のはずなのに、
あまりにもディッキーでありすぎるのです。
それが、新たな罠に自らを落としていくことになるというのに・・・。
それが、映画のトム・リプリーの悲劇なのです。
彼は、原作のトムのようには、ふてぶてしくは生きられない。
自らの罪の深さに怯え、誰にも罪を打ち明けられないことに苦しみ、もだえている。
蟻地獄のように落ちて行く自分を知りながら、
自分ではどうすることもできないなんて。
あの日のクラブでステージに上がったときのまま、
時が止まってしまえばよかったのにね。
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