◆満月◆
(1991日本)
原作:原田康子『満月』(1988年:新潮文庫:ISBN4-10-111408-0)
監督・脚本:大森一樹
出演:原田知世、時任三郎、石黒賢、加藤治子、天宮良
満月の夜、アイヌのフチ(老婆)のまじないにより、1年間の期限付きで現代の
札幌にやってきた侍、杉坂小弥太重則。犬に引かれて彼と偶然出会ったまりは、
最初のうちこそ警戒心を露にしていたが、徐々に彼に惹かれていく自分に気付
くのだった。そして、何もかもが自分の時代とあまりにもかけ離れていること
に戸惑う小弥太も・・・。
映画館に観に行ったとき、冒頭、いきなりチャンバラから始まって、つい、
劇場を間違えたかと思いましたが、それは、やがて、空の大きな月を介して
現代のまりの世界へつながったのでした。
このシーンと、そして、主題歌の「MR. MOONLIGHT」のかっこいいこと。
まさに、映画ならではのシーンで、ごきげんです。
まりってば、本当に気が強くて、登場のシーンも、その後、家に帰って
タクシーを降りたシーンも、まったく、たいしたものでした(笑)
そんなまりですから、いきなり現れた似非武士(としかまりには思えない)
追い出し作戦は、なかなか果敢なものでした。
でも、彼の味方をする、まりの祖母貞子の方が、数倍上手。
江戸時代の侍を名乗る男を迎えても、びくともしないその風格は、さすがです。
そして、少しずつ小弥太に心を許していくまりと、彼との外出の微笑ましさ。
特に好きなのは、映画オリジナルの自転車のシーンでしょうか。
4回映画館に通い、4回とも笑わせてもらいました(^O^)
舞台が札幌なだけあって、生れも育ちの札幌の私としては、
旭山公園、豊平川河川敷、札幌駅など、見覚えのあるシーンが多いことも
嬉しかったです。
それから、初めて現代の服装に着替えた小弥太の表情も、堂々たる風格の
武士が照れている姿が、微笑ましくて(笑)
そして、まりのボーイフレンドで、医学生の小出保。
彼が、いい味出してるんですね〜。
影になり日向になり、まりを支えている。
もっとも、小弥太にやきもちをやいたり、
とんでもない失言をして、まりに××されたりしてますが(笑)
「小出保ただいま参上!」のシーンは、ものすごくかっこよかった!
この原作にはない大騒ぎは、まりの兄さんのせいです。
マスコミ関係者のこの兄さんが、小弥太の素性に疑問を抱いたせい。
そのせいで、それでなくても一緒にいられる時間の少ないこの2人は・・・。
2人で見るねぷた祭り。
最後のときが刻一刻と近付いていることをお互いに知りながら、
だからこそ、そのことには触れないように、互いの姿を、ぬくもりを
心の奥に焼き付けるために。
そして、大きな満月をバックにした一大アドベンチャー。
美しい・・・。
時空を越えてやってきた恋人。
1年後には、元の世界に帰ってしまう人。
別れの時が決まっているなんて、こんなに切ないことはありません。
それも、自分たちの力ではどうにもならない大きな力によって引き裂かれる
のであってみれば・・・。
たとえ、日限が来て、体は離れ離れになったとしても、
互いを想う心まで引き裂くことはできない。
そう、何物にも。
切なさゆえに想いは永遠に・・・。