◆マークスの山◆
― THE ORIGINAL BOOK
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『マークスの山』
作者:高村薫
出版:1993年 早川書房 ISBN4-15-203553-6
― STAFF & CAST
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監督:崔洋一
脚本:丸山昇一、崔洋一
出演:中井貴一、萩原聖人、古尾谷雅人、名取裕子、小林稔侍他
― COMMENT
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すごい。面白い!
映画があまりにも分からなかったので読んだのですが、原作は、とんでもなく面白い!
映画は、まぁ論外ですね、こうなると。
物語の発端は、昭和51年。
とある山で起こった殺人事件。
犯人は明かで、何の問題もないように見えた事件。
もっとも、なぜ被害者がそこにいたのかなどの疑問を持った刑事もいたのですが、、、
やがて、時は過ぎて16年。
東京で起きた連続殺人事件。
「暗い山」を心に持つ青年「マークス」と、警察の捜査が交互に描かれます。
悲惨な過去から、心に「マークス」を住まわせてしまった青年・裕之。
やがて、自分が「マークス」なのか裕之なのか判然としなくなってくる様子が
なんだか、、、
脅迫の計画を立てたのが、自分なのか、マークスなのか?
そんな頭で考えた計画が、うまくいくの?
明るい時間と暗い時間が、ほぼ3年周期で訪れ、病院に入ったり、
刑務所に入った繰り返していた裕之。
彼の側にずっといて、見守ってくれたのは、看護婦の真知子だけ。
よかった、1人でも、彼を分かってくれる人がいて。
ずっと1人ぽっちで生きてきた彼だけど、1人は、分かってくれる人がいて。
そのおかげで、彼も、変わっていけそうだったのに。
でも、殺人を繰り返す彼に、平和な毎日は期待できそうになくて、、、
もう1本。
物語の筋になるのが警察の捜査陣。
中心となるのは、どっか一匹狼的で大阪弁の合田刑事。
森刑事を始め、ユニークな面々。
被害者に、司法関係者がいたせいもあって、捜査には横槍が入りっぱなし。
そこに、刑事同士の確執があり、捜査は思うように進みません。
もう、この人間関係が、読み応えたっぷり。
映画ではまったく省略されている、合田の過去。
離婚、そして、元妻の二卵性の双子でもある親友との関係。
合田も山に登ること。
映画で、彼が何度かズックを洗うシーンがあったことにも、ちゃんとした
意味があったり。
この話って、こんなに一気に読ませる面白い話だったんだわ。
過去の事件で、置き去りにされたままだった謎が、少しずつ見えてくる興奮。
全てにちゃんとした意味がある。
終盤、マークスを追うのと同時に、事件の真相解明のためにとある人物と
ホテルで対決する合田たち。
もう、敵も相手に決定的な決め手がないのを分かっているから、とにかく、
言葉による応酬。隙を見せた方が負け。
なんていう緊張感。
映画では、こういうシーンも削られちゃってる。
信じられないな、そういうのって。
そして、大きな関わりを持つ、弁護士林原の人物像の違い。
映画では、小林稔侍さんがやったせいか、それほど冷淡な感じではありません。
むしろ、マークスに対して感情的に相対するシーンもあるぐらいで。
なのに、小説では、もう、どんなことにも、眉ひとつ動かさない感じ。
映画と小説の、もっと大きな違いは、映画では、省略した部分が多すぎて、
物語の全体像がまるで見えないということ。
はっきり語らなくても雰囲気で伝わってくればOKというのもありますが、
まったく、事件の全容が見えないのでは、残るのは消化不良な気分だけ。
原作を読むことで、それが解決されて、やっとすっきりしました。
あ、でも、映画でも、萩原聖人(マークス)の、名取裕子への眼差し。
なんだか、全身で相手を好きなことを表現してる子犬みたいな眼差し。
これは、ものすごく好きでした。
ああ、こんな目で見られたら、放っておくことなんてできないな、って感じ。
それに、やっぱり、名取裕子って、ものすごい好きですし。
この2人のシーンは、どれもすごくよかったと思います。
やっぱり、長編小説を上手に映画化するのは、難しいのでしょうね。
でも、この小説を読むきっかけをくれただけでも、この映画に感謝したい気分。
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