◆くちづけはタンゴの後で◆
(MRS. WINTERBOURN)
原作:『死者との結婚』ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)

彼女は、恋人に捨てられ、彼の子をみごもったまま、列車に乗り、ある若夫婦と
言葉を交わすようになる。だが、その列車が事故を起こし、気を失った彼女が目
を覚ますと、その若夫婦の妻と取り違えられていることに気付くのだった。
サスペンスを、これほどまでに素晴らしいラブコメにできたのも、ヒロインの姑
にあたる役を演じるシャーリー・マクレーンの力は絶大だったと思います。この
方、ちょっと奔放な令夫人といった役柄が、本当にうまいですよね。今回も、間
違えて引き取ったヒロインを、振り回しているようで、さりげなくサポートして
います。とくに、2人のデュエット(?)シーンは、秀逸です。お見事!としか言
いようがないと思います。
そして、原作ではない役なのですが、その屋敷の、ラテンの運転手さんが、とて
もいい味を出しています。夜の駅でヒロインと話をしているところなど、つい、じ
んときちゃいました。
タイトルにもなっているタンゴのシーンも、ムードがあって、ため息が出ます。
この映画は、サスペンスである原作をラブコメにしたため、映画の中のエピソード
には、原作に出てこないものが多いのですが、基本的な設定は、たった1ヶ所を除
くと、原作に、ものすごく忠実なのです。そういう意味でも、ものすごく、よくで
きた映画だと思います。サスペンスとラブコメなんて、ほとんど正反対のようなも
のなのに、こんなにも、ほんわかしたラブコメに作り上げたお手並みには、
拍手喝采をおくりたいです。


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