◆黒い家◆
(1999日本)
原作:『黒い家』貴志祐介
監督:森田芳光
出演:大竹しのぶ、西村雅彦
生命保険会社に勤める若槻は、ある顧客の家で、偶然にもその家の子供の
死体を発見することになる。その事件に疑問を抱き、独自に調査を開始する
若槻自身にも、恐ろしい魔手が伸ばされることになった。
とある事件関連で、「よく似た小説がある」とのことで、初めこの作品の存在を
知ったものの、逆に、何か避ける心理が働いて読まずにいたのですが、
映画化されると聞いて、チェックすることにしました。そして、そのあまりの
面白さにぐんぐん引っ張られて一気に読み、(引越し準備中だったのに(笑))
それまで読まなかったことを、後悔しました。
「こんなに面白いなら、もっと早くに読めばよかった」って。
若槻のもとに、自殺でも保険金が支払われるのかという電話がかかって以来、
がぜん、展開から目が離せなくなります。さすが、元、その業界にいという
だけあって、事務所に現れる客にもリアリティがあるのですよね。
そして、日常の事務処理にも。
若槻の直属の上司である葛西。石橋蓮司がまさにはまり役。
あの手この手の顧客に対し、ぬらりくらりとうまく対応してるのだろうなぁ、と
いう雰囲気がばっちりです。
残念なのは、小林薫演じる三善の活躍が、ほとんどなかったこと。
家族の写真をカバンに入れて、全国の保険会社の案件を引きうけている「潰し屋」。
まっとうに背広を着ていても「かたぎでない」感じを漂わせる男。
そのくせ、家族をものすごく大事にしてる。そのギャップが、なんとも好きなんです。
だから、もっと、もっと、活躍してほしかったです。
他にも、原作ではかなりの位置を占めているのに、映画では存在感の薄い
キャラクターがあって、映画での時間的制約などもあるのでしょうが、
もっと掘り下げてほしかった気がします。
特に、若槻の恋人恵関連で、登場する醍醐教授を含めての精神病理に関する
様々なやりとりは、かなりポイントになるだけに、映画でも、
もっと触れてほしかったです。原作通りとまではいかなくても、せめてもう少し。
であってこそ、金石の行動も意味をなしてくると思うのですが・・・。
それから、若槻のスイミング・シーンとか、ストリップ劇場でのシーンとか、
意味があるとは思えなかったけど・・・。
原作にないことを付け加えた意味ってなに?
それにしても、すざまじいのは、菰田幸子を演じた大竹しのぶの力量。
その表情、動き、すべてが幸子そのもの。まぁ、原作から想像するよりも
はるかに美しいことは別にして、ですが。
特に、あの目。
あれを演じきれる女優は、他に、そうそういないことでしょう。
おかげで、彼女が活躍?するようになった後半は、展開が、がぜんひきしまって
いました。スクリーン上にいなくても、その存在を感じさせられるだけで、
恐ろしいまでの緊張感がありました。
それにしても、終盤の、ぴんと張り詰めた緊迫感は、映画ならではかも。
音や影でのど元に恐怖を付きつけられる感じ。
怖かった、、、
ただ、映画で若干納得がいかないのは、ラストシーンです。
小説ではばっちりなんですが、映画のあれは、あれで解決になっているのか
どうか・・・。あの「瞳」が気がかりな私です。
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