◆告別◆
(2001年 日本)

― THE ORIGINAL BOOK ――――――――――――――――――――――――

 『告別』より「長距離電話」(1995年)
 作者:赤川次郎
 出版:角川文庫 ISBN4-04-187918-3

― STAFF & CAST ―――――――――――――――――――――――――――

 監督:大林宣彦
 出演:峰岸徹、清水美紗、並木史郎、小林桂樹、裕木奈江他
 
― SUMMARY ―――――――――――――――――――――――――――――

道に迷った営業マンが偶然見付けた古ぼけた公衆電話。
それは、30年前につながる電話だった・・・。

― COMMENT ―――――――――――――――――――――――――――――

過去につながる電話。
何もかもがうまくいかない「現在」から、全てが輝いていたあの頃へ。
大事な親友と、大好きな女の子。
帰れるものなら帰りたいあの頃。

そんな切なさが、大林監督作品にはよく似合います。
でも、今までとなんとなくトーンが違って見えるのは、
小坂勇一の置かれた「現在」の状況の苛酷さが、あまりにもリアルに
描かれているから。
営業先で、とうてい顧客になってくれそうもない老人たちの話まで
根気強く聞いて回る人の良さと、
彼を敵視する高田課長の理不尽な行動。
その、田舎町の小さな営業所でのリアルに過ぎる現実が、どうしても、
大林カラーとも赤川カラーとも遠く見えて・・・。
いいえ、そんな高田課長の行動にさえ、それだけでは終わらせないところは、
やはり、大林監督なのでしょうか。

でも、それ以外は、やっぱり、大林&赤川コンビ。
営業所の唯一の事務の女性、八代恵子。
仕事もせず(笑)カバーをかけた本を読んでばかりいる、不思議な存在。
裕木奈江も悪くないですが、せっかくの大林作品、
原田知世にやってほしかったなぁ、なんて思ったりして。
原作では、気さくなベテラン女性ということですが、
映画の彼女、かなり好きです。
終盤の、彼女と高田課長のシーンは特に。

30年前。
高校生だった小坂勇一。
彼が、隣町から一緒に通ってきている親友の若井太と、憧れの二神恭子を
見送る表情。
その切なさと、淡いやきもち。
覚えがありすぎて、いっそう、切ない。
だからこそ、ようやっとこぎつけた恭子とのデートへの期待。
そして、不安。
時代を越えて、甦るその想い。
待ち合わせ場所で、相手が来るのを待つ時の胸の高鳴り。

2人が出掛けて行ったのは、恭子が大事にしている山の中の滝。
幸せな2人を襲ったアクシデント。
なんでもないことのように見えたのに。
なぜ、そんなことに。
誰も、悪くないというのに。

どんな過去でも、現在と言うのは、過去の上に積み重なっているから。
過去につながった電話。
それが、もし・・・?

人の心は、弱いものだから。
つらいところからは、逃げ出したくなる。
でも、そんな時に、支えになってくれるのも、また、人の心、なのですよね。


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