◆風花◆
(2001年 日本)
― THE ORIGINAL BOOK
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『風花』
作者:鳴海章
出版:講談社文庫 ISBN4-06-273018-9 2000年
― STAFF & CAST
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監督:相米慎二
脚本:森らいみ
出演:浅野忠信、小泉今日子、尾美としのり、椎名桔平、柄本明他
― COMMENT
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これは、原作の方が面白かったかな。
でも、原作の外資系企業勤務から、文部省のエリートに変更された主人公廉司を
演じた浅野忠信は、さすがでした。
もう、あんなイヤなエリート臭ぷんぷんのイヤ味な男ができるなんて。
今までは、ちょっと風変わりな役柄が多かっただけにちょっと意外。
で、クビになった理由も違っています。
原作では、単なる?リストラなのですが、映画では、ストレスからなのか、
酔っ払っての醜態や、原作では元恋人だった美樹が大きく関わっていますし。
でも、仕事にやり甲斐なんてなくて、どこか投げやりに惰性で仕事してたのは、
きっと同じ。
酔っ払って記憶のないときの約束を守ろうと、
ゆり子と北海道に行くことになった廉司。
空港で、酔っ払ってゆり子を待ってた姿は、なんともおかしくも悲しい。
原作にはないシーンで、なかなか気に入っています。
ほんと、酔っ払った時の廉司って、可愛いげがあって魅力的。
でも、北海道旅行中の酔っ払い方は、ちょっと問題ありでしたけどね(^^;
あれじゃぁ、ああなるのも自業自得だわ、まったく(笑)
小泉今日子のゆり子(原作でのレモン)は、ちょっと、原作よりも若くて美人過ぎ?
行き先をなくした女って感じはよく出てた気がしますが。
誰かのために、がんばりたいと思って、でも、疲れて、その力を失いつつある。
だから、がんばる力を求めて、北に向うゆり子。
レモンが北へ向った理由とは、まるで違います。
原作では、彼女は、最初から死を求めて北海道に旅立ちます。
そのせいで、廉司と派手にやりあったりして。
で、結局、レモンを見捨てられない廉司との旅が始まるのですから。
そのスタートに、襟裳岬はやけに似つかわしいのです。
北風の吹きすさぶ最果ての地。
そして、レモンを置いて帰ることができなくなった廉司は、ひたすら
運転を続けるうちに、むしろ、旅を終えたくないと思っている自分に
気付くのです。
映画では、そんな廉司が、レモンを説得して向った先が、最初からの、
ゆり子の目的地になっています。この違いは大きいです。
そして、そんな2人の心が少しずつ近付いていくのが小説のポイントなのに、
映画では、そんな様子がまるで見えないうちに、いきなりという気が(^^;
レモンが、商売柄人の話ばかり聞いていて、自分の話を誰にも聞いてもらった
ことがなくて、それを、初めて廉司に聞いてもらったシーン。
すごく好きなんですけどね〜。
その内容も、人に話しを聞いてもらうことに慣れてないことも、なんだか切なくて。
あんな風に、打ち明け話を聞いてもらうことができるなんて、幸せ。
映画のゆり子は、その目的地に着くまで、廉司に心を開いた様子がなくて、
ちょっととげとげしていますが・・・。
だから、山奥の宿に着いた2人の心もまるでばらばら。
廉司は、ゆり子のすさんだ気持ちを受け止められるほどには、
自分の人生に整理がついていないし・・・。
寂しいすれ違い。
原作を読んでいてどうしても感じてしまったのが、この2人の道行きが、
『光源』という小説の中の映画とそっくりだということ。
実際のストーリーには、大きな違いがあります。
でも、その、持つ雰囲気が、ものすごく重なるんです。
廉司とレモンの行くあてのない旅が、小説の中での男のすさんだ気分や、
夫との関係に疲れた主婦の持つ空気と重なってしまう。
まるで、あの小説から抜け出した映画がそこにあるかのように。
小説で、主人公を演じるのは、若干落ち目になりかかった人気俳優。
彼と出会う女性を演じるのは、ヌードも辞さない体当たり演技で女優として
新しいスタートを切ろうとする元アイドルでした。
タイトルの「風花」は、雪のことだけれど、それが、まるで、桜の花びらの
ようなイメージで、とてもきれいでした。
舞い散る桜は、新しい季節の象徴のよう。
闇に散るかすかな火花を風花が取って代わるとき、それが出発のとき。
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