◆グリーンマイル◆
(THE GREEN MILE 1999年 アメリカ)


― THE ORIGINAL BOOK ――――――――――――――――――――――――

 『グリーン・マイル』(全6巻)
 作者:スティーブン・キング
 訳者:白石朗
 出版:1996年 新潮文庫 ISBN4-10-219315-4(1巻)

― STAFF & CAST ―――――――――――――――――――――――――――

 監督:フランク・ダラボン
 脚本:フランク・ダラボン
 出演:トム・ハンクス、デヴィッド・モース、マイケル・クラーク・ダンカン他
 
― SUMMARY ―――――――――――――――――――――――――――――

ポールの勤める死刑囚監房に、ジョン・コーフィーという男がやってきた。
少女2人を殺した罪で死刑を宣告された男だ。
だが、そんなコーフィーが不思議な力を持っていることに、やがて、ポールは
気付いて行くのだった。

― COMMENT ―――――――――――――――――――――――――――――

もう、こんなに気持ちが動かされるとは、思いませんでした。
3時間超の時間があっという間。
それで、どうしても、原作を読みたくなってしまったのです。
本当は、私は、スティーブン・キングの小説は苦手なのです。
学生時代には、いろいろ読んだのですが、ここ数年は、どの作品も、
冒頭の数ページで挫折。
月刊誌方式で6冊の薄めの文庫本を半年かけて出版したこの『グリーン・マイル』も、
1巻の最初の数ページで挫折して、6冊買ってあるのに積読状態だったのです。
だけど、今回は、1度挫折しているということや、キング作品への苦手意識よりも、
こんな素晴らしい映画の原作はどんなものだろうという気持ちが勝ったのです。

そして、最初の数ページを読んでみました。
(こんなに面白いのに、なんで、あのときは、挫折したんだろう?)
同じ作品なのに、こんなに印象が違うことってあるのですね。

映画を見て、キャラクターが自分の中で確立していたからでしょうか。
物語が、映画のおかげで映像として見えやすくなっていたからでしょうか。
もう、とにかく、その後は、ページを繰るのももどかしいぐらいでした。
1冊1冊が薄いですから、6冊なんて、あっという間。

映画は、ものすごく原作に忠実に作られているのに、この2つ。
まるで受ける印象が違います。
圧倒的な感情の奔流にやられるような映画と比べて、小説は、とても地味。
映画では、ものすごく感情に訴えかけてきたシーンが、同じことを描いているのに、
何か淡々としているのです。
淡々として、でも、目が離せない。
どうしてかな・・・。
キングの生み出した世界に、丸ごと取り込まれてしまったのかもしれません。
感情よりも、理性の方に響いてくるものがありました。
それは、映画よりも小説で、当時の時代背景に丁寧に触れているせいでしょうか。
そこにあるのは、差別・偏見・・・。人間の心に潜む悪意。

もう1つ。
原因と思われるのは、小説では、1巻ごとに、ポールが、ジョン・コーフィーを
めぐるあの時代を離れて、「現在」の、老人ホームに戻ってくること。
そこにいる、まるで、パーシーのような職員の存在。
そして、今度は、ポールは、彼の上司ではなく、相手に対して弱い立場にあると
いうこと。
そこに、その邪悪な存在に強く嫌悪を覚えることが、コーフィーの物語に
とことん入り込むことを妨げていた気がします。
映画に、彼がいなくて本当によかった。

さらに、ポールが調査の過程で話を聞きに行った相手。
コーフィーの有罪を信じて疑わないその男が、彼の弁護士であるとの変更。
コーフィーが、いかに絶望的な状況にあったかが、
より鮮明になっていますね。

映画には、原作にないユーモアがいくつかありました。
たとえば、コーフィーが、初めて癒しの力を使った後、ポールと、
妻ジャニスとの・・・(笑)
それから、その後、ジャニスからコーフィーへの贈り物。
それまでも、この夫婦の素敵な関係に憧れていたのに、これで、すっかり
ジャニスのファンになってしまいました。

小説で描かれているジャニスの最期のシーン。
映画でも、あるとよかったのにと思います。
それが、映画のラストのポールの、ネズミのミスター・ジングルスをめぐる
述壊の意味をも深めるでしょうに。

それから、「現在」のポールの理解者エレインの扱いがあっさりしているのも、
もったいない感じ。

もう1つ、大きな違いは、ポールが、コーフィーが死刑を宣告された事件の
真相に迫る部分。
小説では、ポールは、あくまでも、地道な調査を進めて着実に、1歩、1歩、
歩を進めていきます。本格派の推理小説のように。
でも、映画では・・・。
そのシーンは、1つのクライマックスです。
ああ、、、

新たな目で物語を見据えるために、もう1度、映画館に足を運ぶつもりです。

                          Paradise Cinemaの「グリーンマイル」

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