◆クレーヴの奥方◆
(LA LETTRE 1999年 ポルトガル・スペイン・フランス)
― THE ORIGINAL BOOK
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『クレーヴの奥方』(LA PRINCESSE DE CLEVE)(1678)
作者: ラファイエット夫人
訳者:生島遼一
出版:岩波文庫 ISBN4-00-32151-2
― STAFF & CAST
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監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演キアラ・マストロヤンニ、ペドロ・アブルニョーザ、
レオノール・シルヴェイラ、アントワーヌ・シャペー他
― COMMENT
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美しいカトリーヌ。
「恋」を知らないまま、母の勧めるクレーヴ伯と結婚を決めたひと。
決して、その結婚に不満があるわけではなく、ただ、胸を焦がすような
熱い想いを知らないだけ。
それが、ある日、そんな相手に出会ってしまったとしたら。
ここで、カトリーヌを、その恋にのめりこませないのは、
母であるシャルトル夫人の教育のたまもの。
そして、カトリーヌ自身、その想いがどれほど激しいものか、
自覚できなかったのでしょう。
クレーヴ伯と出会う前から、自分を激しく恋するフランソワの想いを、
いったい、どのような気持ちで眺めていたのか・・・。
美しく、気品にあふれているお人形カトリーヌ。
原作の舞台は、17世紀のフランス宮廷。
訳文もいささか古めかしい上に、映画には出てこない宮廷の
勢力争いや、他の人物の恋模様まで描かれていて、
私には、一読しただけではうまく内容がつかめないところも多くありました。
2回目は、もっとスムーズに話に入りこみ、楽しむことができましたが。
映画化するにあたって、舞台設定を変更したことにともなって、
原作の魅力的な貴公子ヌムール公は、ロック歌手のペドロ・アブルニョーザと
変更されています。
その存在は知りませんでしたが、カリスマ的な人気を誇るロック・スターとしての
風格たっぷりに魅力的でした。
抗いようのないほど魅力的で、しかも、そんな男性が自分を想っていてくれる。
結婚前に、そのことを知っていたら、カトリーヌは、どうしていたのでしょう。
ましてや結婚してからでは、その胸に飛び込むなんて、思いも寄らないこと。
それは、母の願い。
そして、夫への尊敬や親愛の情、自分自身へ課した規律のため。
でも・・・。
行動を抑制することはできても、想いを縛ることなんてできないのです。
自分の写真を盗むアブルニョーザを、彼女が盗み見たシーンの
張り詰めたような空気。
彼もまた、自分を想っていてくれるとはっきりと知った瞬間。
そして、自分がそれを知ったことを、相手に告げることのできない瞬間。
そんな彼女のよき相談相手である親友の修道女。
原作では、彼女に相当する登場人物は出てきませんが、
静謐な修道院で、その胸の内を吐き出すカトリーヌは、美しかった。
そんな妻を、責めることもできず、肉体の不義を働いていないことは
信じられても、それ以上の強さで、その心が自分にないことに苦しむクレーヴ伯。
社会的にも立派な人物と認められ、妻にも尊敬されていても、
彼が望むのは、そんなものではないのですから。
それを、彼に知らしめたのは、とても残酷なことに思えます。
やがて、そのことが、カトリーヌ自身に返ってくるのですが・・・。
アブルニョーザより早くにカトリーヌに恋していたフランソワ。
一途な想いがなんとも切なく、なんとなく気弱そうな風貌に、
なんとなく保護欲をそそられたりして(笑)
それだけに、彼には、幸せな恋を見付けてほしかったのですが・・・。
原作とは違う、成行きが、胸に痛かったです。
それにしても、カトリーヌ。
演じるキアラ・マストロヤンの気高い美しさ。
始めのうちは、もうちょっと儚げな女性が、信念を貫こうとする方が
好みだなぁと思っていたのですが、だんだん、話にのめりこむにつれ、
それが気にならなくなるから不思議。
雰囲気のある美しい方ですね。
カトリーヌの最後の決心。
もちろん、夫を大切に思う気持ちも強かったでしょうが、
自分の恋を大切にしたいという気持ちが勝っていたのではと感じました。
その恋だけは、失いたくないから、だから、ああしたのだと。
それにしても、この作品、舞台を現代に移したのは成功だったと思いますが、
ぜひとも、コスチューム劇として、原作の舞台そのままの華麗な宮廷劇としての
ロマンスも観てみたい気がします。
この作品、どこか、『源氏物語』を思わせます。
洋の東西はありますが、宮廷における政界の勢力争いと、恋の駆引きが、
そう感じさせるのでしょう。
となると、カトリーヌは、さながら空蝉でしょうか。
それとも、朝顔。
彼女に執着するアブルニョーザは、宮廷での人気のみならず、
女性にまめなところまで、光源氏そっくり(笑)
フランソワは柏木。
こんな想像をするのも楽しいものです。
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