◆カオス◆
(2000年 日本)
― THE ORIGINAL BOOK
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『さらわれたい女』
作者:歌野晶午
出版:カドカワノベルズ 1992年 ISBN4-04-782302-3
― STAFF & CAST
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監督:中田秀夫
脚本:斎藤久志
出演:中谷美紀、萩原聖人、光石研、國村隼他
― SUMMARY
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「私を誘拐してください」
うらぶれた便利屋の事務所を訪れた若い女はとんでもない依頼を持ち出した。
狂言誘拐のはずが、死体まで飛び出し、事件はとんでもない方向へ転がり出す。
― COMMENT
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まず、音楽がとても印象的。
今でも、頭の中に繰り返し甦ってくるぐらい。
それにしても、小宮山佐緒理を演じた中谷美紀の持つ雰囲気。
なんて雰囲気のある女優さんなのでしょう。
夫の気持ちを自分に引き戻すために狂言誘拐まで企てる、
どこかエキセントリックな女性にまさにぴったり。
冒頭、隠れ家で口紅を引き直すときの表情。同性ながらぞくっとするほど。
あんな顔で迫られたら、男はたまんないだろうなぁ(笑)
愛人から夫を取り戻したいと訴えるその言葉にこめられた思い。
あまりにも「女」で、切なかった。
だって、どんな気持ちで言ってるかが、痛いほど分かっちゃうんだもの。
原作では、この、狂言誘拐をたくらむ理由は、夫小宮山隆之が実母にべったりの
マザコンだからということになっていて、これは、映画の動機の方に軍配ですね。
「女」を意識した方が、後々の真実にうまく効いてくる。
誘拐の伏線で、夫と食事中に、「誰かにつけられてる気がする」っていうのは、
まぁ、なくてもよかったでしょうが、あったらあったで、夫の悲嘆ぶりを強調できて
面白かったかも。もっとも、全体に、佐緒理が誘拐されて残った家族については、
原作と違ってすごくあっさりしていますね。
あくまで、佐緒理と便利屋の行動が中心。
2時間という限られた中だもの。ポイントはしぼらなくては、ということですね。
それから、登場人物も簡略化。
小宮山隆之の弟もカット。
この正志と、浜田刑事のやりとりがなかなか面白いだけに、ちょっと残念。
警察に反感を持ってる生意気な若者って構図は、ありがちだけど、なかなか笑えるし。
身代金の運び方の指示も、変更あり。
伝言ダイヤルやダイヤルQ2を使った知能犯なやり方は原作通りですけどね。
身代金を運ぶのに、あんまりタクシーって使わせないと思うんだけどなぁ。
小宮山が手に怪我をして運転できないっていう設定は分かるんですが・・・。
この辺も、まぁ、運び方の変更と言うよりは、あっさり目のするための変更かな。
それから、事件に巻き込まれた便利屋の萩原聖人。
「マークスの山」も「CURE」もよかったけれど、これもまた、素晴らしい。
お金に困っている、ちょっと人のいい便利屋さん。
原作では、借金苦に、実際の誘拐を考えたこともあるという、なんとも皮肉な設定(笑)
依頼も唐突ですが、「今、誘拐されてきました」みたいに、独断でコトを
起こされちゃうあたりのおろおろぶりがおかしい(笑)
それが、狂言誘拐に巻き込まれた挙句死体まで発見してしまう。
その後の変貌ぶりが頼もしい。
ただし、原作のイメージとは、ちょっと違います。
私が思い描いたのは、むしろ、渡部篤郎。
ちょっと不精髭かなんかはやした感じ。
脅迫電話をかけるときの、いかにもしろうとっぽいところなんて、
人のよさが伺えて好きな場面です。
彼が、死体を発見した後のくだりは、映画だと、ちょっと弱いかも。
そんな必要ないじゃんって思ってしまいました。
第一、その後でそれがああなるなんて、あんまりだ〜。
あれは、やめてほしかったです、ほんと。
必要なかったと思うんですけどね〜。
それは、あの便利屋のキャラにも合わないと思うなぁ。
隠れ家の部屋の使い方や、便利屋の子供の存在など、いろいろ違いはあります。
でも、1番、原作と映画とで違うのは、小宮山佐緒理のキャラかも。
彼女が、狂言誘拐を便利屋に依頼しに行った理由。
原作と違って映画では、まさに「カオス」の中の女性という感じ。
動機も、いかにも現実的なものから、心の闇を覗かせるものに変わっていますし。
あ、彼女の職業の変更は、あんまり意味がなかった気がします。
う〜ん。
原作の設定はそのままに、まるで違った物語が織り上げられていて、
堪能できました。
マジック・ワールド。
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