◆日の名残り◆
(THE REMAINS OF THE DAY 1993年 アメリカ)
― THE ORIGINAL BOOK
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『日の名残り』(THE REMAINS OF THE DAY)
作者:カズオ・イシグロ
訳者:土屋政雄
出版:1994年 中公文庫ISBN4-12-202063-8
― STAFF & CAST
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監督:ジェームズ・アイヴォリー
脚本:ルース・プラワー・ジャブヴァーラ
出演:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、
ジェームズ・フォックス
クリストファー・リーブ、ヒュー・グラント他
― SUMMARY
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老執事スティーブンスは、雇い主であるアメリカ人ルイス氏の帰郷に合わせて
休暇をとった。そして、かつて女中頭として同じダーリントン・ホールで
働いていたミス・ケントンを訪ねる旅に出る。
彼の中で、かつての出来事が、次々とよみがえってくる。
― COMMENT
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小説と映画とでは、変更点もありますが、原作のイメージを
忠実に再現しています。
かつての、古きよきイギリスの貴族のお屋敷の風景。
その時代を象徴するベテラン執事のスティーブンス。
アンソニー・ホプキンスの持つ気品が、こういう役には本当にぴったりです。
かつて、イギリス貴族ダーリントン卿に仕えた日々を思い返しながら、
アメリカ人の富豪ルイス氏に休暇をもらい、車を借りて、かつて女中頭として
一緒にダーリントン卿に仕えたミス・ケントンに会いに行く。
このルイス氏の設定が、原作とはまるで違います。
演じたクリストファー・リーブは、その他の、いかにもイギリスの上流階級といった
面々に対し、合理的なアメリカ人という雰囲気。けれども、原作でのルイス氏は、
ダーリント・ホールでの重要な会議において、酔った勢いで暴言を吐く、
(ある意味正論ではありますが、その言い方はあまりにもひどい)恰幅のいい人物。
だから、同じようなことを言っていても、映画と原作では、受ける印象がまるで
違うのですね。
それに、ダーリントン卿亡き後のダーリントン・ホール買い取るのも、
原作ではファラディ氏という、その問題の会議には出席していない人物。
まぁ、アメリカ人の富豪というのは同じなのですが。
そして、スティーブンスと、通い合う部分がありながらも、表情を、感情を
表に出さない彼にじれて、ついつい反発してしまう、女中頭のミス・ケントン。
エマ・トンプソンの抑えた雰囲気が、はまってました。
目をかけてきた女中が、キャリアを捨てて去って行くときの疲れた様子。
ベン氏に結婚を申し込まれたことをスティーブンスに告げたとき、そこには、
仕事の必要上話しておくという以上のものがあった気がします。
映画では、スティーブンスの、現在の旅の様子があっさりしていました。
その分、古き良き時代を堪能させてもらった気がします。
旅をして、いろんな人々と出会うスティーブンスの姿が、その分、
印象が薄くなってしまいますが。
彼が、アメリカ人の新しい主人のために、ジョークを勉強しようとするという、
なんとも涙ぐましくも微笑ましいエピソード、これがなくなったのは、
なんだか残念でした。
スティーブンスと、父、スティーブンス・シニアとの関係も、映画では、
ちょっとあっさりしていた気がします。
もちろん、2人の表情から、充分に伝わってくるものはあるのですが、
なにぶん、映画でのシニアの出番が少なかったので・・・。
倒れた後に、いい父親であったかと何度も息子に質問する、かつての
名職人の姿に、何か切ないものを感じたのですが、それが、映画では、
妻に対する言及はあるものの、あっさり、仕事の段取りを気にして
「下に行け」ですから。
原作にある、シニアのプロの執事としてのありようへのスティーブンスの
思いを、もっと、前に出してほしかった気がします。
そして、ミス・ケントンとの長いときを隔てた後の再会。
旧友との再会は、やはりいいものですね。
ラストにある趣は、原作、映画ともに捨てがたいです。
映画の最後の、あの2人の会話は、特に気に入っています。
それでこそ、スティーブンス、ですから。
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