◆半落ち◆
(2003年 日本)


─ THE ORIGINAL BOOK ──────────────────────

『半落ち』
作者:横山秀夫
出版:講談社

─ STAFF&CAST ───────────────────────────

監督:佐々部清
脚本:田部俊行、佐々部清
出演:寺尾聰、柴田恭兵、原田美枝子、吉岡秀隆、
   伊原剛志、國村隼、鶴田真由他

─ COMMENT ─────────────────────────────


「誰のために生きているのか」
「守りたい人がいるか」

違った問いのようでいて、同じものを含んでいるかのような
2つの問い。
守りたい人ができると、人は、本当に強くなれる。

梶が、アルツハイマーを病んだ妻に「殺してくれ」と
懇願されたとは言え、手にかけたにもかかわらず、
澄んだ目でいられるのは、それらの問いにしっかりとした
答えを自分の中に持っているからなのかもしれません。

警察にも、検事にも、裁判でも、隠し通そうとした事実。
最愛の妻を殺害してから、自首するまでの空白の2日間。
その2日間に、いったい、何があったのか。(なかったのか)
事件に関わった者達を駆り立てた謎。
その答えは、梶の中にだけ。

仲のいい家族であったのに、息子を白血病でなくし、
ただ1人、残った「命の絆」であるはずの妻まで
自らの手で命を奪った梶。
その胸に去就するものは、いったい、なんなのか。

空白の2日間について、1度は、答えることを拒みながら、
警察に都合のいい答えを<自供>した梶。
そうしながらも曇らない澄んだ目。
それが、上層部のごり押しに怒りを爆発させた志木に
冷静さを取り戻させました。

その澄んだ目は、取り調べた関係者を死なせてしまったために
特捜落ちしてきたエリート検事も、
不倫の恋に心を荒ませた女記者も、
金と名誉のために弁護を買って出た弁護士も、
梶の妻と同じ病を患う父を持つ裁判官をも、
関わった人、全ての心を映し出し、
なのに、梶の瞳だけは、揺らぎもしない。
それぞれの人が、それぞれに人生を抱えて
迷いながら生きているのに。
(仕事をしていれば、正しいことができないことだってあるし、
そうでなくたって、人間関係って、思うとおりになんて
いかないことって数え切れない。)

アルツハイマーを発症し、自分が消えていく恐怖に怯えながら、
夫のことを、息子のことを思っていた梶啓子。
それでも、ある日、もう、耐えられないと感じ、
夫にすがってしまった彼女。
それに応えることは、やはり、罪なのか、、、
答えの出ない問い。
同じ病気の父を、妻と2人介護する藤林の懊悩。

人が、人を思う形には、決まった形などないのかもしれない。

映画は、あの素晴らしい原作を、うまく映像にしてくれて、
本当に、期待以上でした。
ラストに加えられた変更は、特に、、、

変更された部分で、不満がないとは言えません。
(なんで、中尾洋平が、中尾洋子になるんだ?とか、ね)
でも、そんなことは、どうでもいいと思えるぐらい、
素晴らしいラストでした。
ただ、ただ、涙が止まらなくて、、、


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