◆アンカーウーマン◆
(UP CLOSE AND PERSONAL 1996 米)
― THE ORIGINAL BOOK
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『アンカーウーマン』(GOLDEN GIRL THE STORY OF
JESSIKA SAVITCH)
作者:アランナ・ナッシュ
訳者:広津倫子
出版:1996年 徳間文庫ISBN4-19-890496-0
― STAFF & CAST
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監督:ジョン・アヴネット
脚本:ショーン・ディディオン、ジョン・グレゴリー・ダン
出演:ロバート・レッドフォード、ミシェル・ファイファー、
ストッカード・チャニング、ケイト・ネリガン
― SUMMARY
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タリーは、ニュース番組のアンカーウーマンになることを夢見ていた。マイア
ミのローカル局に入社した彼女は、やっとのことで雑用係から天気予報のキャ
スターの座を手に入れた。彼女のボスは、かつて全国ネットのメイン局にいた
ウォーレン。彼は、次第に、ひたむきなタリーの姿に心を動かされていく。
― COMMENT
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冒頭、自己PRのデモテープを持って登場するタリーは、もう、けばけばしくて
どうしようもなく冴えない女の子でした。これじゃぁ、どう考えても、
TVのキャスターなんて無理じゃない?って感じの。
でも、彼女、ものすごく生き生きしてました。たとえ、仕事が、ウォーレンに
コーヒーを入れたり、彼のクリーニングを取りに行くことだけでも。
だけど、野心家のタリーは、チャンスを虎視眈々と狙っているのですね。
そのローカル局にウェザー・キャスターがいないことを見て取ると、すかさず
名乗りをあげるのですから。こういうパワーのある女性ってかっこいいですね。
もっとも、その割には、第1回目の放送での彼女は、さんざん・・・。
カメラを通して、たくさんの人の前に立つというのは、
それだけ大きなプレッシャーのかかるものなのですね。
それでも、その意気込みは、ボスであるウォーレンの気持ちを動かします。
おそらく、彼は、自分にもあったそういう時代を思い出して、まぶしく彼女を
見ていたのかもしれません。
タリーにとってウォーレンは、ボスであり、大先輩、よきアドバイザー。
その気持ちは、やがて恋に変わる。
そうなってからの、2人の息の合い方はさすがです。
特に、あの襲撃事件は、あの2人だからできたことだと思います。
でも、だんだん坂を登っていく恋人を見ているうち、ウォーレンも、
自分の今の立場に満足できなくなっていきます。彼女を支えるという
自分の役割も分かっていながら、それだけに収まりたくないという思い。
彼女を支えることも、自分にだけしかできないことは分かっていても、
上り詰めて行く彼女を見ていると、恋人の繁栄に比べて自分は、とか、
俺だって昔は、とか、俺だって、もっとやりたいことがあるんだとか、
いろんな思いが渦巻いてくるのでしょうね。
いつまでも上を見て行く男。
かっこいい生き方ですね。
レッドフォードに、惚れなおしました。
世間的には、タイトルもそうですし、タリーが主役なのでしょうが、私には、
むしろ、ウォーレンの物語のように見えました。
彼の、あの「靴」の使い方は、秀逸でした。
あれだけで、タリーには、「分かって」しまったのですよね。
タリーには、実在のモデルがあります。原作は、彼女の一生を綴ったノンフィクション。
彼女は、NBC(アメリカの3大ネットワークの1つ)で、最初のアンカーウーマンです。
ですが、ジェシカとタリーの人物像は、あまりに違っています。
いいえ、確かに、ローカル局からスタートし、中央のネットワークでアンカー
ウーマンとなる道のりは共通しています。でも、ジェシカの歩む道は、タリー
のそれに比べて、あまりにも苛酷です。
それは、フィクションと現実の違いかもしれませんが、様々な軋轢に苦しみ、
逃げ道を求めてもがくジェシカの姿は、あまりにも痛々しいのです。
ジェシカの周囲の多くの人物に取材したようで、その素顔が赤裸々に語られて
います。その、カメラの前に立つことへの緊張感は、タリーにも見られますが、
映画としては、やはり、とことん彼女を追い詰めることはせず、
強く支えるウォーレンの存在が、よりクローズアップされます。
タリーの恋人は、ウォーレンただ1人。
一方タリーは、夫や恋人の数を見ると、「恋多き女性」に見えます。
それは、もしかしたら、彼女のもろさを1人の男性では支えきれなかったから
なのかもしれません。
映画の中で、タリーが、自分よりずっと年上の女性キャスターの地位を
引き継ぐ場面があります。そのときの、2人の会話はとても印象的でした。
去って行く前任者の後姿が凛々しくて、
ジェシカが、そういう言葉を後輩に贈ることなく去って行くことになったのが、
残念でなりません。
こんなふうに、違っている点が数多くある2人ですが、華やかなスポットライ
トの裏に暗い影を持つ2人に心から拍手を贈りたいと思います。