◆異人たちとの夏◆
― THE ORIGINAL BOOK
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『異人たちとの夏』
作者:山田太一
出版:1987年 新潮社 ISBN4-10-360602-9
― STAFF & CAST
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監督:大林宣彦
脚本:市川森一
出演:風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子、名取裕子、永島敏行他
― SUMMARY
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ライターの英雄は、あるとき、生地の浅草を訪れたとき、死んだはずの両親と
再会する。そんなばかな?
もう1つの出会いは、同じマンションの住人ケイ。
そうして、英雄の摩訶不思議な夏が始まった。
― COMMENT
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映画は、かなり原作に忠実に作られています。
でも、そこに、大林ワールドを持ち込むことで、死者との遭遇は、ノスタルジックで
ファンタスティックなものに形を変えます。
まず、冒頭、ずっと仕事を一緒にしてきた間宮から、自分の離婚した妻への気持ちを
聞かされた後の英雄の反応。
小説では、文字で彼の内心を表しているのみですが、映画の中での彼が、忸怩たる
思いを隠さずに、間宮の行動を自虐的になぞってみせるなんて、うまいですね。
それが、彼のすさみ方、その後のケイへの態度につながっていくわけですし。
そして、その後に、さりげなく挿入された伏線。
これは、私が鈍かったのかもしれませんが、映画を見終わって原作を読むまで
その意味に気付きませんでした。
本を読んでいて、ふっと、天啓のように、その意味がひらめいたという。
見てる時は、意味が分からなかったのですから、しょうもない(^^;
それから、映画のオリジナルでとても好きなのが「列車の幽霊」
人気のないゴーストステーション。響き渡る列車の音。
ふっと、日常の隙間に落ちるのって、こういう瞬間なのでしょうね。
そこから、浅草に出向いた英雄が、寄席で亡き父にそっくりな男に出会うまで、
ものすごく自然。
「不思議」は、静かに英雄を包み込んでいたようです。
ここからが、大林ワールドの本領発揮ですね。
12歳で死に別れた両親との邂逅。
彼らが、この世の住人でないことを知りながら、彼らのくれる心のやすらぎや、
甘えることのできる甘美な陶酔。
そんな幸せな時間を拒むなんて、どうしてできるでしょう。
決して、冷遇されたわけではなくとも、親戚の家に暮らすのと、両親の愛情の
元に暮らすのとでは、大きな違いがあるのです。それを、埋め合わせて余りある
そのひととき。
代償を、支払わなければならないことが分かっていても、それがなんなんでしょう。
失われた、いいえ、手にすることのなかった大切な時間が、この手の中にあるのに、
何を惜しむというのでしょう。
誰にも、邪魔なんてさせない・・・。
特に、握手のシーンは、もう、涙でスクリーンがにじんでしょうがありませんでした。
でも、皮肉なことに、その両親との交流で、温かい心を取り戻したからこそ、
英雄は、ケイともぐんと接近していきます。
白い服を着た寂しげな女性に。
彼女の目を通して、観客は、初めて、英雄の払っている代償を、その大きさを
知らされます。
英雄自身は、それを、いくら言われても自覚しないのですが、一瞬、ほんの
一瞬、観客には、それが見えるのです。
一瞬だからこそ、いっそう、ぞっとするような事実が。
やがて、ある決心をした英雄。
この世の者ならぬ2人のはかなく美しいこと。
でも、でもね、この後が、ちょっと・・・。
だって、あまりにもグロすぎる・・・。
ほとんど、正視できないほどに。
でも、ケイは、やっぱり美しかった。哀しいまでに。
小説の彼女だと、ちょっと感情移入できなかったので、ああ言う変更は大歓迎。
余韻を引く終わりは、とっても私の好みにあっていました。
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