◆あした◆
(1995 日本)
原作:『午前0時の忘れもの』赤川次郎
監督:大林宣彦
出演:高橋かおり、宝生舞、原田知世、植木等
大事な人との別れが突然訪れて、別れを言うこともできない、
ものすごく切ないですね。
でも、奇蹟的な何かが起こって、別れを言うチャンスがもらえたとして、
その後、間違いなく別れがくるのが分かっているとしたら、それでも、
そういう機会があった方が幸せなのでしょうか。
たぶん、そう。
でも、でも・・・。
行ってしまったら、2度と会えないと知っているのは辛いですよね。
だって、その人は、お別れを言うためだけに、
ほんの数時間帰ってきてくれただけの人。
時間と場所だけのメッセージを、確かにその人からだと信じて、
やってきた。
また会える、それだけを思って。その後の別れのことなんて考えず。
女子高生の恵も、やくざの親分の金澤も、造船会社部長の永尾も。
立場は違っても、その想いになんの違いもありません。
不意に腕の中から奪われた愛しい者に、もう1度会いたくて、それだけで。
原作でもそうなのですが、そういう想いが、尾道の美しい風景の中で
見事に再現されていて、涙がとまりませんでした。
そんなところにまで追ってきた金澤の命を狙う男たち。
でも、大いなる奇跡の前では、そんな闘争もまるで意味のないこと。
襲ってきた奴らも、それを思い知ったことでしょう。
やがて、いやでも訪れる別れのとき。
引き止めたい、連れて行きたい、ついていきたい。
そんな想いがあふれだす。
容赦なく落ちる砂時計の砂・・・。
そして、奇跡の夜は明けて、夢のような邂逅は終わりを告げる。
それを見守る透き通る声の「わたし」とともに。