◆エイジ・オブ・イノセンス
汚れなき情事◆
(THE AGE OF INNOCENCE 1993米)
原作:『エイジ・オブ・イノセンス』イーディス・ウォートン
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:マーティン・スコセッシ
出演:ダニエル・デイ・ルイス、ミシェル・ファイファー、ウィノナ・ライダー
ニューランド・アーチャーは、メイ・ウエランドとの婚約を、予定より早く発表した。
メイの従姉エレン・オレンスカのスキャンダルから、世間の目からそらすために。
だが、顔を合わせるうちに、不幸な結婚から逃れるためにヨーロッパから戻ってきた
エレンの奔放な魅力に強く惹かれ始める。
初めて、映画間で観たときには、ニューランドの恋が、とても、切なかった。
でも、数年後にTVで観たときには、エレンの想いに、もっと、もっと、泣きたく
なるほど共感してしまいました。私自身が年齢を重ねたのと、1度観ただけでは
ぴんとこなかった、ニューヨークの社交界の冷たいルールを、原作で読んで
知っていたせいだと思います。
映画を観たときには、泣いたりしなかったのですが、小説で、ニューランドの
変化を目の当たりにしたときは、ラストで、思わず涙が出ました。泣けて、泣けて、
仕方がありませんでした。
冒頭では、間違いなく、その社交界の中心的な一員でもあるニューランドが、
エレンに恋したことで、少しずつ変わっていくのです。そして、そういう目で
映画を見直すと、よけいにぐっとくるものがあります。
華麗な社交界は、その華麗な世界を守るために、たくさんの、伝統に縛られた
暗黙のルールを内に秘め、少しでもそこから逸脱する者を排斥します。
その、一部の特権階級のためだけの閉ざされた世界。
1度でもそこに属したものは、そこから逃れることも許されず、そのルールに
従いつづけることを強いられる・・・。
その中では、どんなに不幸な結婚であっても、離婚というスキャンダルは
許されません。だから、ニューランドは、弁護士として、一族の意を汲む
代理人として、エレンに離婚をしないよう説得に行かざるを得ないのです。
なんという運命のいたずら。もし、このとき、ニューランドがエレンを説得して
いなければ、2人の運命は、もっと、ずっと、違ったものになっていたはず。
そう、もし、説得に行ったのが彼でなければ、エレンの出した結論も違って
いたでしょうから。
そして、エレンが、もっと、いとこのメイのことを考えないでいられたなら。
エレンは、1つの決心をし、そのことで、自分の想いを貫こうとします。
ニューランドも、それにこたえようとします。
でも、惹かれあう心は、押さえつけることなんてできないのです。
そして、メイ!
愛らしく、無邪気で無垢なメイ!
でも、どんなに無邪気な微笑みで装っていても、彼女もまた
「少女」ではなく「女」だったのです。
一族の名誉や、愛する者を守るのです。
心に残るシーンがあります。
水辺のエレン。見離れたところから守るニューランド。遠くを行く船。
そして夕暮れ。
お互いに、相手の存在を強く感じながら、決して見詰め合うことのない2人。
もしかしたら、誰のことも不幸にしない恋なんて、ないのかもしれません。
でも、あえて誰かを不幸にしてまで結ばれることで、手に入る「本当の幸せ」
も、ないのかもしれないけれど・・・。
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