◆そして誰かいなくなった◆by夏樹静子◆
タイトルから容易に想像されるように、アガサ・クリスティの名作、
『そして誰もいなくなった』をモチーフにしています。
その設定も、豪華クルーザー、インディアナ号に招待された5人と、クルー7人。
正体不明の招待主。彼らを告発するテープの声。
おまけに、そのメンバーが1人ずつ・・・。
ここまで、『そして誰もいなくなった』と共通した設定ではありますが、
作者が夏樹静子さんですから、単に、現代日本に舞台を移しただけとは思えません。
いったい、誰が、なんの目的で、彼らをそこに集め、1人、また1人と
命を奪っていくのか、最後まで読めませんでした。
そして、こういうクローズドな舞台の中で、次々と被害者が発生するとなると、
生き残った人間の間に、当然のように疑心暗鬼が生まれてきます。
その心理戦の恐ろしさ。
これが、ゲストの1人の手記の形で記されることでいやがうえにも高まってきます。
そして、ラストに用意されている予想だにつかない結末。
うまい、うますぎます、夏樹女史。
結末を知って読み返すと、その伏線のうまさに、うならされます。
何度でも、結末を知っていても楽しめる。これは、優れたミステリの証しですね。
この作品は、『そして誰もいなくなった』がモチーフと書きましたが、むしろ、
同じクリスティ作品でも、他の作品を連想させる結末でした。
それを書くと、ネタバレになってしまいますが・・・。
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