◆アガサ愛の失踪事件◆byキャサリン・タイナン(訳:夏樹静子)◆
(THE SEARCH FOR AGATHA)


有名なミステリの女王アガサ・クリスティの人生には、失踪を遂げた
謎の11日間があります。彼女自身、自らの『自伝』の中ですら、その
真実に触れていません。それどころか、そんなことがあったことすら無視
しています。
それは、本当に発見された後で公式に発表されたように「記憶喪失」だった
のか、それとも、思い出すことすら厭うほど、辛い思い出なのか・・・。
今となっては、真相は永遠に闇の中。
クリスティは、それを、胸に秘めて持っていってしまいましたから。

でも、その間に起こったことを、いろいろ想像したくなるのも、
ごく自然なファン心理ですよね。
それを、独自の調査を元に1つの作品にして、披露してくれたのが、
著者のキャサリン・タイナン、さらに嬉しいことには、その翻訳を手がけて
くださったのが、私が大好きな夏樹静子!彼女は、『そして誰かいなくなった』を
記しているぐらいですから、クリスティをきっと好きに違いないということで、
読む前から、本を手にしただけで、期待で胸がわくわくでした。

そして、肝心の内容。
期待に違わぬものでした。
アガサが、様々な心労などから、姿を消してハイドロに滞在していた数日の
出来事。ジャーナリスト、ウォリー・スタントンとの心の触れ合い。
この作品が映像化されて、その役をダスティン・ホフマンが演じてくれたのも、
とても嬉しかったです。
まさに、そういうこともありうるだろうな、と思わせるリアリティがあります。
もちろん、クリスティが、「その通りである」と言っているわけではありませんが。
でも、全体に、クリスティへの温かい眼差しが感じられるのが嬉しい1冊です。


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