◆新世界より◆貴志祐介◆
(講談社)



正直、最初は、この世界観に戸惑ってしまい、
読み進むのに、とても時間がかかってしまった。
今、生きている世界とは、あまりにも違う世界。

でも、一度、その世界に入り込むことができてからは
ぐんぐん物語にのめり込んでいった。
今よりも、(どうやら)はるか、はるか遠い世界。
人は、「呪力」という、今で言う超能力のようなものを持ち、
生活に活かして暮らしている。
子供の頃に、それを持てなかった者を淘汰しながら。

子供たちが、そんな風に消えてしまう以外は、
穏やかで平和な世界のはずだった。
戦争もなく、人が人を傷つけることもありえない世界。
理想郷のような。

でも、不穏な種は、そこ、ここに見え隠れし、
気付かないほどの不協和音を奏でている。

穏やかな毎日の中、消されていた記憶。
消えていった少年。
かすかに心に訴える違和感。

バケネズミと呼ばれる存在と関わりながら、
その記憶を奪われながら、表面上は穏やかに過ぎる。
そして、その平和が決定的に崩れ落ちる。
ここまでくると、もう、ページを繰る手は止まらない。

怒涛の展開から目が離せない。
一気にラストまで読みきってしまった。



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