◆みどりのゆび◆モーリス・ドリュオン/安東次男訳◆
(岩浪少年文庫 ISBN4-00-111019-9)


みどりのおやゆびを持った少年チトの物語。
大金持ちの両親と、素晴らしい召使たちに囲まれて幸せに暮らすチト。
でも、どういうわけか、授業中になると、どんなにがんばっても眠ってしまうのです。
で、両親は彼に、別の方法で勉強させようとします。
このへんの柔軟なところが、いいんですよね。
無理に、机に座った勉強にこだわらない。
実地で人生と、いろんなことを学ばせようとするっていうところが。
そのおかげで、チトは、庭師のムスターシュおじさんに、自分がみどりのおやゆびを
持っていることを、教わることができたんですもん。

本当に、なんて素敵な親指なのでしょう。
花や木などの植物って、人間の心をとても豊にしてくれますよね。
通りすがりの窓に、小さな鉢植えがあるだけで、なんとなく微笑ましくて、
優しい気分になれるのですから。
それが、チトの手にかかって、あちこちに、とりどりの草木が芽を吹いたら、
本当に幸せな気分になれることでしょう。
刑務所の囚人だって、貧しくてすさんだ気持ちになっていた人だって。

ムスターシュおじさんは、チトが、そうやって町に素敵なことを運ぶたびに、
彼をほめてくれます。
チトがいろんなことを質問するのに辟易してるかみなりおじさんだって、
本当は、チトが大好きなのです。
そして、チトの大事な親友の、馬のジムナスティクも。

チトのみどりのおやゆびが呼んだ3つめの奇跡。
それは、前の2つに比べて、とても大規模なものでした。
それだけに、成し遂げた後、「やったね」と快哉を叫びたくなりました。
それでこそ、チト!
本当に、もう、ファンタジーっていうのは、こうでなくっちゃ。


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