◆かたみ歌◆朱川湊人◆
(新潮社)
収録:紫陽花のころ、夏の落とし文、栞の恋、
おんなごころ、ひかり猫、朱鷺色の印、枯葉の天使
東京下町のアカシア商店街。
ちょっと昔の<不思議>の物語たち。
なんだか懐かしい音楽に彩られた奇蹟たち。
後味のいいものばかりではないのだけど、
むしろ、悲しみが漂うお話もあるのだけど、
ラストに特別に優しい奇蹟が飾られていて、
ああ、よかったって、心の底から思う。
どの物語にも登場する古書店「幸子書房」
店主は、芥川龍之介風の、ちょっと怖そうな風貌で、
でも、実は、心の優しい老人。
この古書店が舞台となる「栞の恋」
本の栞を使った交換日記なんて、ロマンティック。
チェーンの古本屋では、まず起こりそうにない
優しい、とても素敵な奇蹟。
「ひかり猫」の、猫と人のふれあい。
優しくて、せつなくて。
光になってやってくる猫の心、
受け止める人がいて、本当によかった。
そっと手の中にしまっておきたいような
優しさが詰まった、温かな1冊。
BookTopへ
Topへ